サウジアラビア 対 COVID-19



COVID-19と戦うため、サウジアラビアがどう迅速に行動してグローバル対応に協調し、国内のみならず全世界で危機の著しい悪化を防止したかのインサイドストーリー。

「これは、サウジアラビアが見えない殺人者に勝利した苦闘の物語、サウジのみならず 世界中の人々のためにそれを打ち負かした物語です。」

5月7日にリヤドのディリヤ病院で、医療従事者たちが鼻スワブ検査の準備をする。(AFP)

5月7日にリヤドのディリヤ病院で、医療従事者たちが鼻スワブ検査の準備をする。(AFP)

2020年3月2日に、サウジアラビアで最初の新型コロナウイルス感染症の症例が確認されたとき、誰も待ち受ける戦いの規模や、それによって生じる犠牲を想像することはできなかっただろう。

2022年6月13日の月曜日、内務省はついにパンデミックに対処するための予防措置の大半を解除すると発表した。この日まで、サウジアラビアは新型コロナウイルスとの2年3か月と11日にわたる闘いにあったのだ。

何百万の人々がロックダウン下に置かれ、誕生日や結婚式、記念日、果ては葬式まで、人生の大切な瞬間もより大きな目的、国民全体を守るという優先事項のために犠牲にされた。

しかし、これらの犠牲は国内でパンデミックのために命を落とした9千人以上の人々の苦しみと、その家族の悲嘆に比べれば取るに足らないものだと、だれもが理解していた。

もっとも、状況はさらに悪くなっていた可能性もある。

2019年末に現れた新型コロナウイルス感染症を中国で封じこめることができないと分かった後でも、多くの国は感染爆発が自国民の生命や経済に与えるであろう脅威をなかなか真剣に受け止めようとしなかった。

素早く行動を起こした国の一つがサウジアラビアであり、パンデミックに上手く対処できなければ、自国や周辺地域だけでなく、地球全体に重大な帰結がもたらされることを明瞭に意識していた。

サウジアラビアは、中東呼吸器症候群(MERS)が2012年に国内で発生した際の教訓から学んでおり、大規模な感染症の流行というこの経験により、同国の公衆衛生に関する優先事項の理解は飛躍的進歩を遂げた。

さらに、サウジアラビアはMERSの経験から、人類が地球規模の健康問題に直面した場合は、個々の国は自国民だけでなく、世界全体の利益が最大になるよう考えて行動する責任を負うという重要な教訓も得た。

新型コロナウイルス感染症の流行により、この責任はアラビア湾岸地域最大のアラブ民族国家であり、イスラムのもっとも神聖な地の管理者として世界中から集まる何百万もの巡礼者の健康に毎年注意を払う義務のあるサウジアラビアでは特に重く受け止められた。

パンデミックが世界に与えた影響は大変なものだが、もしサウジアラビアが無数の巡礼者が感染して世界中の何十もの国に戻っていくという危険を冒して、ハッジを普段通りの規模で行うことを許可していたら、状況はさらにどれほど悪化していただろうか。

以上の現実が、サウジアラビアの新型コロナウイルス感染症への迅速な対応の背景にあり、2020年のG20議長国として終始世界を一つにまとめ、連携してウイルスに戦いを挑む原動力となった。

これは、見えないウイルスに苦難の末に勝利を収めた物語であり、サウジアラビアは自国だけでなく、世界中の人々のために、死をもたらす敵に打ち勝ったのである。

どのようにMERSがサウジのCOVID-19の備えに役立ったか

サウジアラビアが住民たちに、MERSの感染拡大を回避すべくラクダを扱う際にはマスクを着用するよう促した。(AFP)

サウジアラビアが住民たちに、MERSの感染拡大を回避すべくラクダを扱う際にはマスクを着用するよう促した。(AFP)

2012年6月13日、特に健康上の問題のなかった60歳のサウジ市民が発熱と咳、息切れを訴えてジェッダの病院に搬送された。集中的な治療にもかかわらず、患者は11日後に進行性の肺および腎不全により亡くなった。

人間への感染が確認された6番目のコロナウイルス、MERSコロナウイルスが、その致死的な姿を現したのだ。

2015年5月にMERSと名付けられたこの病気は、地名と結び付けられる最後の感染症になるかもしれない。同じ年、世界保健機関はすべての文化的、国家的、または民族的グループへの「非難を引き起こすことを避ける」ために疾患の命名について新たな手順を定めた。

2014年5月14日、MERSに関する記者会見にて、WHO事務局長補代理の福田敬二氏。(AFP)

MERS、2002年から2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)、そして新型コロナウイルス感染症は、動物原性感染症、つまり動物から人間に感染する病気である。MERSはラクダを宿主としていたと考えられている。

2012年以来、27カ国で2千500以上のMERSの症例が報告され、死者は876名にのぼるが、患者の90%はサウジアラビアで確認されている。

MERSによる致死率は約35%で、これは新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARSコロナウイルス2よりはるかに大きな数字である。皮肉なことに、この致死率の高さから、MERSは新型コロナウイルスのように世界中で猛威を振るうことはなかった。生存する感染者だけが感染を拡大させ続けるからだ。

しかし、MERSウイルスの脅威も去った訳ではない。サウジアラビアでの最近の深刻な流行は2019年12月から2020年1月末である。6の地域から19の症例が報告され、8名の患者(内7名は男性)が亡くなった。

MERSが感染者とその家族に与えた衝撃は、新型コロナウイルス感染症によるものと同じくらい恐ろしいものである。しかし、その際にサウジアラビアの公衆衛生システムが被った深刻なショックが、新型コロナウイルス感染症との闘いにおいて非常に貴重な教訓をもたらしたということは疑いえない。

「一つ一つの流行、一つ一つのシステムへの挑戦が、サウジアラビアの医療分野の指導者たちに教訓として役立っています」とサウジ疾病予防管理センターの副CEOであるリヤド・カイナン・アル・ガムディ博士は話す。

サウジ疾病予防管理センター副CEOのリヤド・カイナン・アル・ガムディ医師が、サウジが新型コロナに対処するに当たりMERSの経験がいかに役立ったかを説明する。

博士によると、MERSがサウジアラビアに与えたのは「 医療システムの内部で、また他の関連政府機関との間で効率的な意思疎通プランを整備する良い機会」だった。

MERSに対応して作られた政策や手順が「今回多くの決定を迅速に下すのに非常に有用でした。そして政策や手順、指針における多くの経験が現在の課題への対策としてすぐに役立ったのです」と博士は付け加えている。

また、アル・ガムディ博士によれば、新型コロナウイルス感染症との闘いを経験したことで、サウジアラビアは将来のどんな流行やパンデミックにも有利に対処できるようになったという。

MERSによって、どれほど劇的にサウジアラビアの医療システムが変化したかは、2020年6月に感染・公衆衛生ジャーナルに掲載された論文「サウジアラビアにおける新型コロナウイルス感染症への備えと対応:MERSの経験をもとに」にまとめられている。

国内の複数の医療機関に所属する論文の著者たちは、MERSの出現が「サウジアラビアを新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための(必要な)どんな手段でもすぐに取れるような、高度の警戒体制に置いた」と結論づけている。

たとえば、MERSが発見された後、保健省は指令センターと、現在のパンデミックに最前線で対応しているサウジ疾病予防管理センターを設置した。

保健省はまた、感染症の検出と制御のための先進的な診断サービス供給を目的として国立衛生研究所を設立し、「診断研究所におけるバイオセーフティと、国中の病院での厳格な感染予防と管理の実施をめぐる状況は大幅に改善された」

2013年6月16日、リヤド東のフフーフ市にあるキング・ファハド病院に向かって看護師が歩いて行く。MERSの感染はサウジアラビア東部に多く集中した。 (AFP)

25以上の地域病院がMERS患者の隔離と治療のために指定されたが、これらの病院は結果として、新型コロナウイルス感染症の患者の受け入れる準備が整っていた。

さらに、著者たちによれば、サウジアラビアの医療・科学研究者のコミュニティは「過去数年にMERSウイルスの理解と制御のために大きな努力を重ねてきた。これは現在までに発表された、臨床および基礎から応用にまたがる分野をカバーした、480以上の出版物によって証明されている」

2014年5月14日、MERSに関する記者会見にて、WHO事務局長補代理の福田敬二氏。(AFP)

2014年5月14日、MERSに関する記者会見にて、WHO事務局長補代理の福田敬二氏。(AFP)

2012年以降、27カ国で2500名以上がMERSに感染し。

2012年以降、27カ国で2500名以上がMERSに感染し。

2013年6月16日、リヤド東のフフーフ市にあるキング・ファハド病院に向かって看護師が歩いて行く。MERSの感染はサウジアラビア東部に多く集中した。 (AFP)

2013年6月16日、リヤド東のフフーフ市にあるキング・ファハド病院に向かって看護師が歩いて行く。MERSの感染はサウジアラビア東部に多く集中した。 (AFP)

COVID-19はどのようにサウジアラビアにまん延したか

サウジアラビアの最初の新型コロナウイルス感染者がイランからバーレーンを経由してキング・ファハド・コーズウェイを渡りサウジアラビアへと入国した。この写真に写っている。(Shutterstock)

サウジアラビアの最初の新型コロナウイルス感染者がイランからバーレーンを経由してキング・ファハド・コーズウェイを渡りサウジアラビアへと入国した。この写真に写っている。(Shutterstock)

2020年3月2日、保健省のTwitterでサウジアラビア初のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者が発表された。イランからバーレーンを経由してキング・ファハド・コーズウェイを渡ったこのサウジアラビア人の患者は直ちに隔離され、同省は感染管理チームを派遣し、接触した人物を追跡して検査を実施した。

アラブニュースが当時指摘したとおり、その瞬間まで「中国から66カ国に広がったウイルスは、サウジアラビアには3カ月以上存在しなかった」のだ。

『アラブニュース』は、イランから帰国したサウジアラビアで最初の新型コロナウイルス感染者について報じた。

その2日後、サウジアラビアでは2人目の患者が確認された。最初の患者と一緒に旅行していたサウジアラビア人である。2人ともイランに滞在していたことを明らかにしていなかった。

その翌日、サウジアラビア王国はイラン政府に対し、感染拡大中にサウジアラビア人の入国を許可したことを公式に非難し、まだイランにいる国民や最近イランから帰国した国民に48時間以内に名乗り出るよう求め、訴追されないことが約束された。

しかし、その時にはすでに取り返しのつかない状況になっていた。

2020年3月9日までに、イギリスでは15人のCOVID-19感染者が確認され、そのうち7人がイランから、3人がイラクから入国したことが記録されていた。

つまり、イランがCOVID-19に対する地域の防御の弱点になることは、早い段階から明らかだったのだ。サウジアラビアが最初の感染者を出した3月2日までに、イラン政府はすでに978人の感染と54人の死亡を認めていた。その2日後、サウジアラビアで2人目の感染が発生するまでに、イランでは感染者数が2,336人と2倍以上に増え、77人の死亡が発表された。

しかし、それさえも、この病気の真の影響を意図的に過小評価したものであった可能性がある。2020年8月初めにBBCのペルシャ語放送にリークされたイラン政府の内部文書により、その時点でのイラン国内のパンデミックの真の規模は、政府が認めたもののほぼ2倍であったことが明らかとなった。

王国の最初の患者発生からわずか3週間後の3月25日、メディナで死亡した51歳のアフガニスタン人が、サウジアラビア初のCOVID-19の犠牲者となった。その後、感染者数と死亡者数は増加の一途をたどった。

王国の最初の患者発生からわずか3週間後の3月25日、メディナで死亡した51歳のアフガニスタン人が、サウジアラビア初のCOVID-19の犠牲者となった。

その後、感染者数と死亡者数は増加の一途をたどった。

サウジアラビアでは、2020年に1日の新規感染者数が3つの明確なピークを迎え、1日に4,919人の感染が報告された6月17日に最高値を記録したと心配した。3度目の急増で6月30日に4,387人の感染者が報告されたが、この年、過去最高の4,919人に達することは二度となかった。

ゆっくりとだが、確実にサウジアラビアは勝利を収めつつあった。7月6日以降、1日あたりの感染者数は順調に減り始め、8月29日には1000人を割り込み、987人となり、4月中旬以来の数字となった。

2021年の終わり頃、オミクロン株の出現に全世界が不意を突かれたが、サウジアラビアも同様だった。

数カ月間にわたって、一日あたりの新規感染者はわずかであったが、12月末に突然感染者が急増し、2022年1月19日に過去最多の5,928人となった。しかし、この頃にはワクチンも普及したことに加え、オミクロン株は感染が広がりやすいものの、致死率が低いことが判明した。

2020年7月5日の死者58人をピークに、2021年10月末以降、王国の1日あたりの死亡者が3~4人を超えることはなく、ゼロになる日が多くなった。

1日あたりの死亡者数は7月5日の58人をピークに、9月15日までに33人にまで減少した。

しかし、サウジアラビアがパンデミックの最悪期を脱し、徐々に平常に戻るにつれて、その犠牲について考える時が来た。

2022年6月13日までに、王国ではCOVID-19の感染者総数が780,135人に達し、9,176人の命が失われた。同日までの全世界の感染者は5億3600万人、死亡者は631万人近くに達した。

サウジアラビアでは9月15日までに 32万6,930人が新型コロナウイルスに感染した。9月15日までの世界全体での合計感染者数は2970万人であった。

今、COVID-19との戦いにおけるサウジアラビアの成績を、他の国と比較することができる。そのための最良の資料が、オックスフォード大学のOxford Martin Programme on Global DevelopmentとNPOのGlobal Change Data Labの研究者が共同で作成した「Our World in Data」と、Worldometerが行ったこのデータの分析である。

感染者数と死亡者数の合計だけでは、歪んだ印象を与える。2022年6月14日までに780,135人の感染者が発生したサウジアラビアは、世界で77番目に被害が大きい国となる。世界の死亡者数を示す表では、サウジアラビアの死亡者数は9,176人で、全体で66位である。

しかし、この数字だけでは誤解を招きかねない。人口1人当たりの感染者数、死亡者数、その他の統計値を見ることが重要である。

6月14日時点で、人口100万人あたりの感染者数は21,750人であり、同国は世界66位ではなく161位である。この基準によれば、他のすべてのGCC諸国を大きく上回る。100万人あたりの感染者数は、バーレーンは328,749人、クウェートは144,818人、カタールは132,907人、UAEは90,901人、オマーンは72,728人であった。

しかし、他にも考慮すべき点がある。サウジアラビアは、他のGCC諸国と比較して国土が広大で、7カ国と長い国境を接しているという点だ。3,500万人近い人口と広大な国土を持つサウジアラビアは、もっと小さな他のGCC諸国(UAE(人口990万人)、オマーン(510万人)、クウェート(427万人)、カタール(280万人)、バーレーン(170万人))よりもはるかに困難な課題に直面している。

死亡者数は、人口規模との関係でも見る必要がある。6 月 14 日までの死亡者数は 9,176 人であるサウジアラビアは、人口 100 万人あたりの死亡者数は 256 人で、世界平均の 812 人を大きく下回る。この基準によれば、同国は、英国、カナダ、米国、欧州諸国を含む 147 か国よりも優れている。

死亡者数は、人口規模との関係でも見る必要がある。6 月 14 日までの死亡者数は 9,176 人であるサウジアラビアは、人口 100 万人あたりの死亡者数は 256 人で、世界平均の 812 人を大きく下回る。この基準によれば、同国は、英国、カナダ、米国、欧州諸国を含む 147 か国よりも優れている。

この数字は、カタール(100万人当たりの死亡者数241人)やUAE(228人)と同レベルであり、クウェート(583人)、オマーン(795人)、バーレーン(820人)よりもはるかに少ない。

それでも、極めて重要な危機後の分析を行う際には、いくつかの難しい問題の答を見つけなくてはならない。そのひとつが、パンデミック初年度の王国の感染致死率(CFR)に関するものだ。これは、感染者数と死亡者数の比、つまり、感染して死亡した人の割合である。

しかし、状況は5月末になると逆転し始めた。2020年9月15日時点で、サウジアラビアのCFRは1.3%、つまりCOVID-19患者100人に1人以上が死亡しており、GCCで最悪であった(オマーンの0.9、クウェートの0.6、UAEの0.5、バーレーンの0.4、カタールの0.2と比較して)。

最初に改善した時期を除けば、王国の感染致死率はパンデミックの間、GCCで最も高いままであった。2022年6月13日には1.18%で、これは世界平均で米国と同じ割合となるが、オマーン(1.09)、クウェート(0.4)、UAEとバーレーン(0.25)、カタール(0.18)と比べれば高い。

サウジアラビア疾病予防管理センターの副CEOであるアル・ガムディ氏によると、CFRの違いのほとんどは、人口特性の違いに起因するものだということだ。「例えば、欧米諸国では高齢者の割合がサウジアラビアの割合よりもはるかに高く、高齢者はCOVID-19による合併症のリスクが高く、高齢者の死亡リスクも高いことが、あらゆる証拠から現在わかっています」と同氏は述べた。

同様に、アル・ガムディ氏は、「域内の他国との比較でも、同じことが言えます。慢性疾患の割合が異なり、それが結果に影響します。しかし、一般的に、サウジアラビアにおけるCOVID-19患者の治療成績は世界でもトップレベルです」と付け加えた。

これは、「サウジアラビアにいる誰もが、サウジアラビア人であるか否かを問わず、合法、不法にかかわりなく、COVID-19陽性であれば医療サービスを受けることができるとする王法のおかげです。これはサウジアラビアに大きな恩恵をもたらし、非常に良い結果につながったのです」と、同氏は述べた。

『アラブニュース』は、イランから帰国したサウジアラビアで最初の新型コロナウイルス感染者について報じた。

『アラブニュース』は、イランから帰国したサウジアラビアで最初の新型コロナウイルス感染者について報じた。

最高になった6月17日は、1日で4919人を記録した。

最高になった6月17日は、1日で4919人を記録した。

1日あたりの死亡者数は7月5日の58人をピークに、9月15日までに33人にまで減少した。

1日あたりの死亡者数は7月5日の58人をピークに、9月15日までに33人にまで減少した。

サウジアラビアでは9月15日までに 32万6,930人が新型コロナウイルスに感染した。9月15日までの世界全体での合計感染者数は2970万人であった。

サウジアラビアでは9月15日までに 32万6,930人が新型コロナウイルスに感染した。9月15日までの世界全体での合計感染者数は2970万人であった。

9月15日時点での人口100万人当たりの感染者数は9,361人となっており、サウジアラビアは16位ではなく33位となり、他の湾岸協力理事会加盟国における感染者数のほとんどを下回る記録となっている。

9月15日時点での人口100万人当たりの感染者数は9,361人となっており、サウジアラビアは16位ではなく33位となり、他の湾岸協力理事会加盟国における感染者数のほとんどを下回る記録となっている。

9月15日までのサウジラビア国内の新型コロナウイルスによる合計死者数は4,338人であり、これは人口の100万人当たり124人の死亡率となっている。この死亡率は世界平均の120.5人に近い数字となる。100万人あたりの死亡率で見ると、サウジアラビアの状況は他の54カ国よりも良好である。

9月15日までのサウジラビア国内の新型コロナウイルスによる合計死者数は4,338人であり、これは人口の100万人当たり124人の死亡率となっている。この死亡率は世界平均の120.5人に近い数字となる。100万人あたりの死亡率で見ると、サウジアラビアの状況は他の54カ国よりも良好である。

一方、サウジアラビアの死亡率は1.3%と湾岸協力理事会加盟国の中では最悪であったものの、世界平均死亡率である3.2%や、英国の11.2%、米国の3%など各国の死亡率と比較しても非常に良好であった。

一方、サウジアラビアの死亡率は1.3%と湾岸協力理事会加盟国の中では最悪であったものの、世界平均死亡率である3.2%や、英国の11.2%、米国の3%など各国の死亡率と比較しても非常に良好であった。

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、ロックダウンした世界各国と同様、ロックダウンしたサウジアラビアの通りの様子…心を揺さぶられるような美しい静けさ。

COVID-19を寄せ付けないため、サウジアラビアが行ったこと

4月3日に男性が一人、メッカにあるひとけのない通りを横切った。その前日、サウジアラビアは新型コロナウイルス感染症の蔓延を食い止めるため、イスラムの最も聖なる2つの都市に対する外出禁止令を24時間に延長した。(AFP通信)

4月3日に男性が一人、メッカにあるひとけのない通りを横切った。その前日、サウジアラビアは新型コロナウイルス感染症の蔓延を食い止めるため、イスラムの最も聖なる2つの都市に対する外出禁止令を24時間に延長した。(AFP通信)

サウジアラビアでは、コロナウイルスに対する国の対応を管理・調整するため、新たに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)フォローアップ委員会が設置され、2月1日に最初の会合が開かれた。当時、サウジアラビアの保健大臣だったターフィク・ビン・ファウザン・アル・ラビア博士を委員長とするこの委員会には、その幅広いメンバーからもサウジアラビアがいかに新しい脅威を深刻に受け止めているかということがうかがえる。

そのテーブルを囲んだのは、保健省、国防省、エネルギー省、内務省、国家警備隊、外務省、財務省、メディア省、商業・投資省、ハッジ・ウムラ省、教育省、観光省の13省庁から代表者であった。また、民間航空局、サウジアラビア赤新月社、サウジアラビア食品医薬品庁、税関総局、サウジアラビア疾病予防管理センターも出席した。

当初から、間もなくWHOが認めているように、サウジアラビアは国境に迫りつつある恐怖に立ち向かうため、可能な限りの準備をすることを決意していたのである。

アル・ガンディ氏によれば、サウジアラビアがコロナの嵐を切り抜けたのは、効果的なリーダーシップと国を挙げての協調的な対応の賜物だという。

「政府にとっても、公衆衛生・医療制度にとっても、ギャップを確認し、即座に対処するための非常に良い訓練となりました」とアル・ガンディ氏は述べた。また同氏は、「今後数か月、数年の間に振り返り、サウジアラビアが将来直面する制度上の課題に対応できるよう、必要な変更を実行する機会を与えてくれました」と述べている。

2020年3月25日の声明で、WHOの東地中海地域事務局長であるアフマド・アル・マンダリ博士は、サウジアラビアの迅速な対応を賞賛した。中東呼吸器症候群(MERS)の経験を忘れてはいないとし、同博士は、サウジアラビアは「例年のハッジ巡礼の際の大規模な集まりの管理や緊急事態への備えに関する独自の専門知識を活用」していると述べた。

3月17日、サウジアラビアはメッカとメディナにある2つの聖モスクを除くすべての礼拝所を一時的に閉鎖した。 その3日後には、2つの聖モスクも閉鎖された。(AFP通信)

2020年2月29日に開催された第10回新型コロナウイルス感染症(COVID-19)委員会の会合では、8万8,000人を超える感染者と約3,000人の死者が出て、世界中がその影響に耐え忍ぶ中、サウジアラビアは依然としてウイルスのない状態を維持していることが慎重に指摘された。

しかし、2日の間にすべてが変わってしまう。

コロナウイルスがサウジアラビアに上陸するまでには、2か月強の時間がかかった。3月2日にサウジアラビアで最初の患者が発見された時点で、世界では91,000人の患者と3,118人の死者が記録されていた。

その症例の大部分はまだ中国国内の患者であったが、中国国内でのウイルス封じ込めの取り組みは既に失敗し、国境を越えて1万人以上の感染者と172人の死者が記録されていることで明らかであった。

その症例の大部分はまだ中国国内の患者であったが、中国国内でのウイルス封じ込めの取り組みは既に失敗し、国境を越えて1万人以上の感染者と172人の死者が記録されていることで明らかであった。

サウジアラビア当局は当初から、世界を急速に巻き込んでいる大きな動きがサウジアラビアにも押し寄せることは必至と見ていたが、2か月間ウイルスを寄せ付けないでいたおかげで、最悪の事態を想定する時間があった。

8月にオンラインで開催されたリヤド・グローバル・デジタル・ヘルス・サミット(RGDHS)で、保健省副大臣のハニ・ジョクダー博士は、「私たちは他の多くの国々より少し遅れて発症したので、幸運でした」と述べました。「このため、他の国で何が起こっているかを観察しながら、体制強化のためのわずかな機会を得ることができました」

サウジアラビアはこのパンデミックに立ち向かうために早期の予防策を講じており、それには意識向上キャンペーンの開始、大勢の人が集まる場所の閉鎖、そして研究所における試験の確保などがある。(AFP通信)

サウジアラビアの猶予があったのは、運によるものだけではなかった。サウジアラビアで最初の感染者が出る1か月以上前の2020年1月28日、保健省は広報キャンペーンを開始した。同時に、大規模な検査の導入、感染が確認された患者の接触者の追跡、隔離システムの導入のための計画が立てられていた。

一刻の猶予もなかった。2月2日、武漢から10人のサウジアラビア人留学生が避難し、政府の派遣した専用機でリヤドに向かった。全員がコロナウイルスの検査で陰性だったが、それでもなお2週間は隔離された。

しかし、コロナウイルスは、まだほとんど制限されていない全世界の空の旅のおかげで、急速に移動していた。2月4日、中国の感染者数が2万人を超え、426人が死亡した日、WHOは依然として各国に渡航制限をかけるよう勧告していない。

WHO事務局長テドロス・アダノム・ゲブレイェソスは、ジュネーブでの式典を終えた後マスクを着用している。イエメンにおけるWHOの新型コロナウイルス感染症との戦いを支援するために、サルマン王は1000万ドルの予算を認可した。(AFP通信)

実際、2月4日には、WHO事務局長であるテドロス・アダノム・ゲブレイェソス博士が、フライトの禁止を、「恐怖とスティグマを強める効果があり、公衆衛生上の利益はほとんどない」と述べ、武漢からのフライトを禁止しないよう各国に要請するという異例の措置を講じた。

しかし、その2日後の2020年2月6日、サウジアラビアは国民と住民の中国への渡航を禁止した。WHOが最終的にパンデミックを宣言するのは3月11日のことで、その時までに流行していた114か国にとっては、既に疑いの余地なく明らかな事態であった。

世界各国の政府がこの脅威に対してほとんど結束せずに対応する中、サウジアラビアがこれほど長い間ウイルスを寄せ付けなかったことは注目に値すると思われた。サウジアラビアはGCC6か国の中で最後に被害を受けた国である。

2月中はずっと、保健・警備チームが駆り集められて訓練が行われ、急速に変化する世界情勢に対応するための一連の措置がとられた。

こうした手順の一部は、サウジ薬学誌5月号の「COVID-19のまん延防止における早期予防措置の重要性:サウジアラビアを例として」というタイトルの論文で報告された。

サウジアラビア食品医薬品庁、キングサウード大学、キング・ハーリド病院、タブークの地域医薬品情報ファーマコビジランスセンターの著者らによると、サウジアラビアは、「患者が出る前およびWHOがコロナをエピデミックであると宣言する前に、非常に早く予防措置をとった国の一つです」と記している。

パンデミック発生当初から、すべての入港地の健康監視センターで予防措置を強化し、コロナウイルスに見舞われた国々から来るすべての旅行者のスクリーニングと隔離、健康状態の監視を行った。

サウジアラビアの備えの一つは、危機の間、必要不可欠な医療機器を自給自足していたことであり、8月12日付のアラブニュースは、サウジアラビアの約50の産業部門が必要不可欠な医療機器の生産に忙殺されていたことを報じている。そのうちの1社であるEnayah社は、GCC近隣諸国や他のアラブ諸国、EUに製品を輸出するのに十分な能力さえ持っていた。

また、サウジアラビアはコロナの安全な検査体制を整えた最初の国の一つでもあった。3月5日には、症状のある人なら誰でも検査ができるようになった。7月13日までに200万件以上のコロナウイルス検査が実施され、8月31日までに500万件を超えた。

2月19日、国民・住民は、80例の感染者を記録したシンガポールへの渡航を延期するよう要請された。これを皮切りに、3月15日にはGCC諸国で2番目となる全国際線への渡航禁止令が出された。同時に、貨物船を除く50か国との船便が停止され、3月21日には国内の飛行機、列車、バスの旅行が禁止された。

2020年2月27日、サウジアラビアは外国人巡礼者のウムラビザでの入国を一時停止するという異例の措置を講じた。

サウジアラビア当局は3月8日、国内すべての公立・私立の大学および学校を閉鎖すると発表した。(AFP通信)

3月5日には、リヤド国際ブックフェアやサウジアラビア国際馬術大会など数十件のイベントが中止となった。その3日後には、初期の感染者が多く出た東部州の都市カティーフの全住民が隔離され、全国の学校や大学も閉鎖された。3月13日には集会や結婚式が禁止されることとなった。

3月9日、自国に迫る危機に焦点を当てながらも、WHOがコロナ撲滅のために各国に求めた要請に応え、サウジアラビアは同機関の地域対策基金に1千万ドルを寄付した。サウジアラビア国内では、自国の銀行部門、金融機関、中小企業を支援するために500億SR(約130億ドル)が割り当てられた。

2020年3月19日、サウジアラビアの全指導者がパンデミックへの備えに注力していることを示すため、サルマン国王はテレビで貴重な公式演説を行い、国民の「連帯責任感覚の高まり」を訴えた。

サウジアラビアは、「このパンデミックに立ち向かい、その影響を抑えるために、あらゆる予防措置を取り続けます。私たちは、全能の神の助けと、逆境に直面したときの皆さんの強い決意に支えられ、能力を全力で発揮することを頼みとしています」と国王は述べた。

さらに国王は、「この困難な局面で皆さんが発揮した力強さ、忍耐、決意、そして関係省庁との全面的な協力は、国家の努力を成功に導く最も重要な要素であり柱となるものです」と述べた。

3月23日、国王はイエメンのWHOに必要な機器や物資を提供するため、さらに1,000万ドルの予算を認可し、サウジアラビアはコロナに備えてイエメンの態勢を強化するため、ドバイのWHOの物流拠点からアデンへの医療機器と物資の空輸を開始した。

WHOのアル・マンダリ地域事務局長は、「今回の資金提供は、WHOがこの感染症の蔓延と闘うために地域的および世界的な対策を講じる取り組みを強化するのに役立つでしょう」と語った。

3月22日、サルマン国王は全土で午後7時から午前6時までの21日間の外出禁止令を出した。唯一の例外は、食料品店、薬局、医療サービスなど重要な産業に従事する労働者と、水、エネルギー、輸送機関の労働者である。3日後、メッカとメディナの外出禁止令は午後3時からに延長された。

また、この感染症の蔓延を防ぐには、医療援助を求める市民や住民の邪魔をするものがあってはならないことは明らかであり、サルマン国王は3月30日、サウジアラビア内のすべての新型コロナウイルス感染症患者を無料で治療するように命じた。

この命令は、居住法、労働法、国境警備法の違反者を含むすべての人に適用され、「すべての人は、官民の病院と保健所で無料で治療され、いかなる法的責任も負わないものとする」とされた。

4月6日には、特定の地域で感染者が増加したため、リヤド、タブーク、ダンマーム、ダーラン、アル・コバールの各都市と、ジッダ、タイフ、カティーフ、アルホバルの各行政区域で24時間の外出禁止令が発令された。住民は午前6時から午後3時までの間、自分の住む地域内で必要な用事に限って外出が許可された。

翌4月7日、アル・ラビア保健大臣は、今後数週間のうちにサウジアラビアで新型コロナウイルス感染症が増加する割合は、「おもに全員の協力と、当局が出した指示とガイドラインに全員が取り組むかどうか」に左右されるだろうと警告した。

サウジアラビアはその役割を果たしていた。ウイルス対策にはすでに総額80億SR(約2,800億)が割り当てられており、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は4月6日のオンライン会議の後、70億SR(約2,450億円)の追加現金注入を承認した。その後3ヵ月間で、集中治療室のベッドが2,800床以上追加され、サウジアラビアの株価は30%上昇した。

しかしアル・ラビア氏は、一部の人々が「パンデミックに真剣に対処せず、濃厚接触や集会を禁止する措置に従わなかった」と述べた。

アル・ラビア氏はさらに、疫学者が実施した4つの研究結果を明らかにし、今後数週間の総患者数は少なくとも1万人から20万人に達する可能性があると予測して、「コンプライアンス違反がある限り、感染者数は大幅に増加するだろう」と付け加えた。

サウジアラビアは4月26日、GCC諸国とともに、ラマダン開始を前に日中の制限を一時的に緩和し、メッカと一部の孤立した地区以外の全地域に対して、毎日午前9時から午後5時までの外出を許可した。5月13日、イード・アル・フィトルの祝日の間、24時間の外出禁止令が全土に再び発令された。

5月末、内務省は6月21日からの全国的な外出禁止令の緩和に備えて、いくつかの部門の予防措置と予防方針を発表した。しかし、宗教上の巡礼と海外旅行と50人以上の集会は引き続き制限された。

ムハンマド・ビン・アブドゥラー・アル・ジャダーン財務大臣兼経済企画大臣代理は記者会見で、外出禁止令の段階的解除は「世界的なパンデミック危機に直面し、サウジアラビアの経済活動が徐々に通常のレベルに戻ることに向けた新たな段階」を表わしていると述べた。

8月に開催されたリヤド・グローバル・デジタル・ヘルス・サミットでアル・ラビア氏が説明したように、テクノロジー(新しいものも、すでに広く使われているものも含めて)はサウジアラビアの新型コロナウイルス感染症との戦いにおける主要な武器となるだろう。

アル・ラビア氏はサミットで、「サウジアラビアはG20の議長国であり、パンデミックが発生する前から、パンデミック対策とデジタルヘルスを重要な優先事項として導入しました」と語った。

デジタルヘルスの重視についてアル・ラビア氏は、 「既存の対応メカニズムを強化することで、健康上の危機管理を支援する基本的な役割を果たすことが重要でした」と語った。さらに、デジタルツールは「革新的で公平な保健サービスへのアクセス、データの共有、調整の改善を可能にします」と付け加えた。

サミットではまた、公衆衛生副大臣のジョフダル氏が、新型コロナウイルス感染症の到来を注意して見守っていたサウジアラビアが「優れた医療制度を持つ国々が、公衆衛生戦略や防衛メカニズムの処理能力を超える感染者数に見舞われるのを目の当たりにした」状況について語った。

すぐに得られた教訓は、おもに病院での使用を想定して設計された既存の公衆衛生技術は、「このような大規模なパンデミックに各国が対応できるレベルに達していなかった」ということだ。

その時点で大臣たちは、サウジアラビア自身の準備態勢をじっくり検討したと、ジョフダル氏は述べた。「よし、我々のチームを立ち上げて、我々のテクノロジーを見てみて、既に現場にあるものをどうやって生かしていくかを検討しよう、と考えたのです」

「我々の指揮統制センターと緊急オペレーションセンターは、数年前から機能しています。サウジアラビアでパンデミックが発生した場合、我々のテクノロジーチームが対応できるようにするために、指揮統制センターと緊急オペレーションセンターが何を望んでいるのかを聞いてみようと考えたのです」

「そして、過去2年間の準備期間を経て約1年前に公開された、病院と一次医療業務に焦点を当てたNHCC(ナショナル・ヘルス・コマンド・センター)のダッシュボードを見て、我々は問いかけました。これを活用できないか、何か他のものに応用できないかと」

その答えは「できる」でした。

おもに病院や一次医療施設の日常業務を監視するために設置されていたNHCCは、驚くほど短期間で、新型コロナウイルス感染症との戦いのあらゆる展開を省庁の職員が把握できるようになったのだ。これは「大きな付加価値がある早期警戒システム」となった。

NHCCに情報を提供し、ウイルスとの戦いで日々下されるすべての決定を通知することは、一連のアプリやその他のデジタルシステムによって収集された連続的なデータの流れであった。一部は既に存在して危機に適応しており、他のものはそれに対処するために迅速に開発された。

たとえば、一次医療の集中予約システムであるMawidや、テキスト、電話、ビデオ会議で医師に相談したり、新型コロナウイルス感染症の検査の予約をしたり、新型コロナウイルス感染症の自己評価を行ったりできるアプリSehaなどがある。

Tabaudアプリでは、新型コロナウイルス感染症の陽性が確認された人物と接触があったかどうかを知ることができる。Takasiは、医療従事者が患者データを入力して、集団検査、標的監視、接触追跡を組織的に実施できるオンラインプラットフォームである。

一人の看護師が4月7日、メッカの移動診療所で患者の体温を計測した。一連のアプリを利用してサウジ王国は重要なデータを収集し、住民の健康管理を促進することを可能にした。(AFP通信)

2020年4月11日に公開されたTetamman(「Rest Assured(安心してください)」)は、スマートフォンの 「デジタルケアシステム」 として開発された。ユーザーは正確な教材に簡単にアクセスできて、自分の症状をアップロードすると、必要に応じて937のアドバイザーから電話がかかってくる。集団検査においては、人々がアクセス可能なドライブスルー型の検査ステーションが17都市に設置され、Tetammanがいかに価値があるかが証明された。

サウジアラビアでは、6月17日に1日の新規感染者数がピークに達し、過去最高の4,919人が報告された。その1ヵ月後、当局が言うところの「正常な状態への慎重な復帰」を国が実行したように、その数がほぼ毎日減少していることが明らかになった。7月21日の定例会見でアル・アブドゥラリ保健大臣補佐は、感染者数の減少は「すべての人々の関与によるもの」と説明した。

どの国がパンデミックにどのように対処してきたかを客観的に判断するには、社会的、文化的、経済的な要因が絡み合い、絶えず変化する複雑な世界情勢がつきまとっている。そのすべてを評価材料にすることは難しく、他国との比較は特に問題がある。

しかし、オックスフォード大学のブラバトニック公共政策大学院の研究者たちは、この危機の初期に、世界各国政府の新型コロナウイルス感染症への政策対応を監視して記録することに着手したのである。

100人以上のオックスフォード大学の学生と世界中から集まったスタッフからなるチームは、学校の閉鎖や移動制限などの封じ込めと閉鎖政策、検査体制などの経済と健康システム政策など、政府の対応に関する17の指標について、公開されている情報を丹念に収集してきた。

その結果、オックスフォード・コロナウイルス政府対策指数が作成され、そのスコアが高いほど政府の対応が厳格であったとみなされる。

今回のパンデミックを通じて、サウジアラビアの対応は一貫して、アラブ首長国連邦や英国や米国を含む他の多くの国々の対応より厳しいと評価されていることは心強い。

政府が対応をためらったり、内部政治によって公衆衛生戦略が頓挫した国々では、新型コロナウイルス感染症が蔓延している。ユーロニュースの4月3日のコメント記事によると、「パンデミックを取り巻く混乱や恐怖、不確実性によって麻痺している政府がある一方で、リヤドは大義のために厳しい決断をしてきた。そして今もそうしている」

その記事にはさらに、「サウジアラビアでは政府、メディア、市民社会が大規模に動員され、パンデミックの最中に必要不可欠な意識、集中力、連帯感が一夜にして生まれた...欧米の首都でそのような動員はなかった」と書かれている。

もちろんサウジアラビアは、新型コロナウイルス感染症の呪縛から逃れられていない。しかし、米国や英国など多くの国が本当に悲劇的な経験をした一方である。今年サウジアラビアで断固とした統治を実行しなければ、サウジアラビア国民が払った代償はもっと大きかったかもしれない。

そして9月15日、サウジアラビアにおいて毎日の新規感染者数が下降を続け、5ヶ月ぶりの低水準となる中、サウジアラビアは新年には完全に正常な状態に戻る見通しであるという、非常に象徴的な発表を行ったのである。

渡航制限が最初に課されてから6ヶ月後、サウジアラビアは、2021年1月1日以降に陸・海・空のすべての渡航制限を解除することを目指して、国際線の運行停止を一部解除していた。

3月17日、サウジアラビアはメッカとメディナにある2つの聖モスクを除くすべての礼拝所を一時的に閉鎖した。 その3日後には、2つの聖モスクも閉鎖された。(AFP通信)

3月17日、サウジアラビアはメッカとメディナにある2つの聖モスクを除くすべての礼拝所を一時的に閉鎖した。 その3日後には、2つの聖モスクも閉鎖された。(AFP通信)

サウジアラビアはこのパンデミックに立ち向かうために早期の予防策を講じており、それには意識向上キャンペーンの開始、大勢の人が集まる場所の閉鎖、そして研究所における試験の確保などがある。(AFP通信)

サウジアラビアはこのパンデミックに立ち向かうために早期の予防策を講じており、それには意識向上キャンペーンの開始、大勢の人が集まる場所の閉鎖、そして研究所における試験の確保などがある。(AFP通信)

WHO事務局長テドロス・アダノム・ゲブレイェソスは、ジュネーブでの式典を終えた後マスクを着用している。イエメンにおけるWHOの新型コロナウイルス感染症との戦いを支援するために、サルマン王は1000万ドルの予算を認可した。(AFP通信)

WHO事務局長テドロス・アダノム・ゲブレイェソスは、ジュネーブでの式典を終えた後マスクを着用している。イエメンにおけるWHOの新型コロナウイルス感染症との戦いを支援するために、サルマン王は1000万ドルの予算を認可した。(AFP通信)

サウジアラビア当局は3月8日、国内すべての公立・私立の大学および学校を閉鎖すると発表した。(AFP通信)

サウジアラビア当局は3月8日、国内すべての公立・私立の大学および学校を閉鎖すると発表した。(AFP通信)

一人の看護師が4月7日、メッカの移動診療所で患者の体温を計測した。一連のアプリを利用してサウジ王国は重要なデータを収集し、住民の健康管理を促進することを可能にした。(AFP通信)

一人の看護師が4月7日、メッカの移動診療所で患者の体温を計測した。一連のアプリを利用してサウジ王国は重要なデータを収集し、住民の健康管理を促進することを可能にした。(AFP通信)

COVID-19フリーな異例のハッジ

前例のない今年のメッカ巡礼のフィルム映像が、パンデミックに効果的に取り組むためのサウジアラビアの決意の精神を捉えた。(AFP)

前例のない今年のメッカ巡礼のフィルム映像が、パンデミックに効果的に取り組むためのサウジアラビアの決意の精神を捉えた。(AFP)

「メッカ巡礼前の巡礼者の検査や隔離から、電子ブレスレットの着用まで、あらゆる予防措置が講じられた」

メッカ南東にある「慈悲の山」としても知られるアラファト山で祈る巡礼者。6月30日。(サウジメディア省)

メッカ南東にある「慈悲の山」としても知られるアラファト山で祈る巡礼者。6月30日。(サウジメディア省)

2020年、先例のない状況となったハッジ(メッカ巡礼)に関する特異な画像が世界中に拡散した。中でも、カアバ神殿を周回する巡礼者たちをタイムラプス(微速度撮影)で撮った画像は、パンデミックに対して効果的、効率的かつ独自に対処するというサウジアラビアの決意を最もよく映し出していた。彼らは入念に振り付けされたかのように、ソーシャルディスタンスをきちんと守って巡礼を行っていたのだ。

新型コロナウイルスが最初に出現した後の数ヵ月間、結果的にかなり縮小された形であっても、本当にハッジが実行できるのかどうか分からなかった。

しかし、すぐに明確になったことがある。毎年メッカを訪れる数百万人の巡礼者への責任と、巡礼者の出身国の健康保全を考慮して、サウジアラビアは危険な賭けに出ようとはしなかったということだ。

2月27日、新型コロナウイルスの最初の感染者がサウジ国内で見つかる前、そして世界保健機関(WHO)がなお各国に武漢発の航空便を禁止しないよう促していた時に、サウジアラビアは、小規模の巡礼であるウムラのために海外からやってくる訪問者に対するビザの発給を停止し、外国人に対して聖地の閉鎖を発表した。

3月17日、他のイスラム国家らが何らかの行動をとることをためらっていた時、サウジ王国は、前代未聞だが必要な措置として、メッカとメディナの「二聖モスク」を除くすべての礼拝所を一時的に閉鎖した。3日後には、この二聖モスクも閉鎖された。

このような大胆な決断は、イランの奇異な決定とは対照をなすものだった。イランは、モスクを閉鎖したものの、毎年数百万人の巡礼者が訪れるコム(Qom)とマシュハド(Mashhad)の聖地を開けたままにしておいたのだ。3月初め、ソーシャルメディアには、シーア派教徒たちが触れ合い、キスをし、挙句の果てには礼拝堂を舐めるという眉を顰めたくなるような画像が出回った。

サウジアラビアでは、世界各地のイスラム教徒にとって極めて重要な行事である7月のハッジを行うかどうかについて、性急な判断を避けた。

多くのものが危険にさらされていた。2019年のハッジでは、250万人がメッカに集結した。このうち、サウジ国内から集まった人々は63万4000人に及んだ。2020年にも同程度の人々が集まれば、感染が猛烈な勢いで拡大するリスクが高まることは明らかだった。

さらに悪いことに、2019年には185万人以上の巡礼者が海外からやってきたのだ。このうち60%がアジア諸国、22%が他のアラブ諸国からの人々である。

新型コロナに感染した大勢の巡礼者が、巡礼後に世界の数十もの出身国に帰国する可能性があるのだ。そんな予測は、受け入れがたいものだった。最終的にサウジアラビアは、歴史的かつ象徴的な妥協策を講じることにしたのだった。

2020年、ハッジは行われることになったが、サウジ国民と、同国内に既に居住している外国人から選ばれたわずか1,000人のみが、巡礼者の代表として参加できることになった。

当時は1,000人であっても、実現の難しい人数だった。なにしろ、サウジを含めた世界各国が、ウイルスの感染を抑えるために、集会や懇親会などを懸命に制限していたのだ。しかし、サウジ当局がハッジの一連の複雑な儀式を管理するという方法は、世界中から称賛されることになった。

アル・ラビア保健相が8月の「リヤド・グローバル・デジタル・ヘルス・サミット」で説明した通り、「非常事態の中で、サウジアラビアが典型的な世界最大規模の宗教的集会の管理に成功」したのは、デジタルツールを使用したことと、「卓越した安全衛生措置を講じた」ことが功を奏したからだ。

「聖都メッカに到着した巡礼者たちには、健康状態を監視、記録し、検疫所で各個人を帰国・帰宅時に追跡するための電子タグ付きのブレスレットをはめてもらった」。アル・ラビア氏はこのように説明した。「結果として、非常に幸いなことに、今年のハッジ期間中に新型コロナウイルスに感染した人は一人もいなかった」

この時は、ハッジ前の巡礼者のスクリーニングと隔離から、巡礼者の電子ブレスレットの装着に至るまで、あらゆる予防措置が講じられた。各50人の礼拝者グループを、医療資格者のガイド1人が引率するようにした。マスク着用を義務づけて、事前にボトルに入れたザムザム(聖地メッカの泉)の水のみを飲めるようにした。また、巡礼を象徴する儀式の一つである投石のための小石は、通常は巡礼者自身がムズダリファの地で集めるのだが、この時は事前に集められ、消毒され、袋詰めされて提供されたものが使用された。

結果的に、ハッジ期間中には一人のコロナ感染者も出なかった。この公衆衛生の国家的勝利は、巡礼者の勝利でもある。彼らの振る舞いと新しい規則を順守する姿勢は、称賛に値するものだった。

厳しい予防措置を守ることで、巡礼者を代表して1,000人がメッカ巡礼を続けることができた。(サウジメディア省)

厳しい予防措置を守ることで、巡礼者を代表して1,000人がメッカ巡礼を続けることができた。(サウジメディア省)

メッカ巡礼は、マスクの使用を規定した新たなルールに対する巡礼者の模範的な順守にとって、公衆衛生上の勝利であることを証明した。(サウジメディア省)

メッカ巡礼は、マスクの使用を規定した新たなルールに対する巡礼者の模範的な順守にとって、公衆衛生上の勝利であることを証明した。(サウジメディア省)

保健相のアルラビア博士は、サウジアラビアの安全対策がメッカ巡礼の複雑さを乗り切る助けになったと説明した。(サウジメディア省)

保健相のアルラビア博士は、サウジアラビアの安全対策がメッカ巡礼の複雑さを乗り切る助けになったと説明した。(サウジメディア省)

巡礼者50人で構成されるグループが、それぞれ医学的な資格を持つガイドに率いられた。(サウジメディア省)

巡礼者50人で構成されるグループが、それぞれ医学的な資格を持つガイドに率いられた。(サウジメディア省)

厳格なソーシャルディスタンス措置がメッカ巡礼の成功と安全に貢献した。(サウジメディア省)

厳格なソーシャルディスタンス措置がメッカ巡礼の成功と安全に貢献した。(サウジメディア省)

巡礼者はメッカ巡礼の前に検査を受け、隔離された。(サウジメディア省)

巡礼者はメッカ巡礼の前に検査を受け、隔離された。(サウジメディア省)

医療情報を内蔵した電子ブレスレットは、当局が巡礼者の面倒を見たり、本人確認したりするのに役立った。(サウジメディア省)

医療情報を内蔵した電子ブレスレットは、当局が巡礼者の面倒を見たり、本人確認したりするのに役立った。(サウジメディア省)

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厳しい予防措置を守ることで、巡礼者を代表して1,000人がメッカ巡礼を続けることができた。(サウジメディア省)

厳しい予防措置を守ることで、巡礼者を代表して1,000人がメッカ巡礼を続けることができた。(サウジメディア省)

メッカ巡礼は、マスクの使用を規定した新たなルールに対する巡礼者の模範的な順守にとって、公衆衛生上の勝利であることを証明した。(サウジメディア省)

メッカ巡礼は、マスクの使用を規定した新たなルールに対する巡礼者の模範的な順守にとって、公衆衛生上の勝利であることを証明した。(サウジメディア省)

保健相のアルラビア博士は、サウジアラビアの安全対策がメッカ巡礼の複雑さを乗り切る助けになったと説明した。(サウジメディア省)

保健相のアルラビア博士は、サウジアラビアの安全対策がメッカ巡礼の複雑さを乗り切る助けになったと説明した。(サウジメディア省)

巡礼者50人で構成されるグループが、それぞれ医学的な資格を持つガイドに率いられた。(サウジメディア省)

巡礼者50人で構成されるグループが、それぞれ医学的な資格を持つガイドに率いられた。(サウジメディア省)

厳格なソーシャルディスタンス措置がメッカ巡礼の成功と安全に貢献した。(サウジメディア省)

厳格なソーシャルディスタンス措置がメッカ巡礼の成功と安全に貢献した。(サウジメディア省)

巡礼者はメッカ巡礼の前に検査を受け、隔離された。(サウジメディア省)

巡礼者はメッカ巡礼の前に検査を受け、隔離された。(サウジメディア省)

医療情報を内蔵した電子ブレスレットは、当局が巡礼者の面倒を見たり、本人確認したりするのに役立った。(サウジメディア省)

医療情報を内蔵した電子ブレスレットは、当局が巡礼者の面倒を見たり、本人確認したりするのに役立った。(サウジメディア省)

グローバルパトナーとの前進

サウジアラビアは、ロシアで開発されたCOVID-19ワクチンの臨床試験で協力。(AFP)

サウジアラビアは、ロシアで開発されたCOVID-19ワクチンの臨床試験で協力。(AFP)

2020年の大半をG20議長国として務めたサウジアラビアは、ウイルスとの世界的な戦いをより組織的、効果的、公正なものとし、世界が次の猛威に適切に備えるための取り組みの最前線で指揮を執った。

同国は、早くも2020年3月18日の時点で、G20首脳による臨時バーチャルサミットを要請し、「人々を守り、世界経済を保護するための協調した政策を提唱」した。

1週間後にサルマン国王が主催した会合では、各国の大統領、首相および元首は、感染症対策ならびに経済および金融危機に立ち向かうため、5兆ドルを支出することを約束した。

サウジアラビアは2020年5月、COVID-19ワクチン開発に向けた資金を70億ドル超に増額した、欧州首脳が主催した世界的なドナー会議を組織する支援を行った。さらに7月、同国はG20財務大臣および中央銀行による緊急バーチャル会議を開催し、「利用できるあらゆる政策手段を継続的に使用して、人々の生活、雇用、収入を守り、世界経済の回復を支援し、金融システムのレジリエンスを強化する」ことを誓い、パンデミックによる経済的影響から世界が回復するための支援を行った。

同国は、世界で最も効果的なワクチンプログラムを迅速に導入し、2022年6月14日までにワクチン接種回数は、66,544,534回に上った。しかし、パンデミックに直面したとき、薬は国の武器の一部にすぎないため、サウジアラビアは、現在および今後のパンデミックの両方を見据え、迅速に対応し、感染症の蔓延を監視し制御するための能力を向上させてきた。

同国は、COVID-19の蔓延を監視し、対応策を確立するために、デジタル技術を早期に採用したことにより、悪化の流れを食い止めることに成功した。国家警備隊とG20サウジ事務局が、国際戦略パートナーシップの一環としてサウジセンターと共同で開催した2日間にわたるバーチャル会議、リヤド・グローバル・デジタル・ヘルス・サミットが8月11日から12日にわたって開催され、110か国からの135,000名を超す登録参加者の関心を呼び寄せた。

最終日、国家警備隊保健局のCEOであり、キング・サウド・ビン・アブドゥル・アジズ健康科学大学の学長を務める、同サミット議長のバンダル・アル・クナウイ博士は、主催者たちが「世界中の熱狂レベルにとても圧倒された」と述べ、「これまでで最大規模のバーチャルイベントになった」と加えた。

サミットでは、サウジアラビア、英国、米国、フランス、オーストラリア、韓国の有識者による会議を何度も実施し、「現在および将来のパンデミック対策におけるデジタルヘルスの役割」についてのマニフェストである、リヤド宣言が採択された。

サルマーン国王主催のバーチャルG20サミットで、各国首脳はパンデミックと闘う措置に5兆ドル支出を公約。(SPA)

このサミットは、COVID-19との戦いは続いているものの、科学者と政府関係者が、多くの人が必然的に向かうと信じる次のパンデミックに注目しているという現実を映し出すものでもあった。

2020年4月、スミソニアンのグローバルヘルスプログラムと協働する科学者は、ミャンマーに生息するコウモリから新たに6種類のコロナウイルスを発見した。「ウイルスのいずれもSARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2と密接な関係はない」ものの、PLOS Oneジャーナル誌で、この新しいウイルスが人間に害を及ぼす可能性があるかどうかは、まだ明らかではないと報告した。

しかしその可能性がない場合であっても、コウモリだけで3,000種類以上の発見されていないコロナウイルスを隠し持っていると考えられ、新たなコロナウイルスの脅威が出現する確率は高い。

パンデミックによる人的コストと経済的コストの最終評価は膨大なものになると思われるものの、「現在の危機的状況はいずれ終わりを迎える」とミネソタ大学の感染症研究政策センター所長であるマイケル・オスターホルム教授は2020年7月、フォーリン・アフェアーズに書き記した。

しかし、同教授は「公衆衛生コミュニティでは何年もの間、次の大規模なパンデミックがまもなく生じ、そしてその次のパンデミックが起こり、さらに今後の微生物発生ではさらに規模が拡大し、より致命的になることがはっきりと分かっていた」と警鐘を鳴らした。

オスターホルム教授は、COVID-19のパンデミックは「恐らく『最大のもの』ではなく、それを予想し、世界中の疫学者や公衆衛生の関係者が悪夢にうなされている」と加えた。

ロシアの新COVID-19ワクチンをボランティアに接種する看護師、2020年9月10日。(AFP)

サウジアラビアはG20議長国の旗じるしの下、次にやってくる避けられない微生物の敵を撃退するために十分な備えを行うには、世界的な協力が唯一の方法であることを認識し、世界を一つにまとめてきた。

このメッセージは、COVID-19の発生が国際的な懸念事項として公衆衛生上の緊急事態に指定されてから6か月目の節目を迎えた、2020年8月13日のWHO事務局長の講演によってさらに強化された。

事務局長は1月の時点では、当時中国国外での感染例はわずか100例であり、死者はいなかったと述べ、それ以降、「感染者数は急増し、世界のすべての国が影響を受けてきた」と加えた。

ロシア直接投資基金(RDIF )キリル・ドミトリエフCEO。サウジアラビアは、RDIFの助成金でロシアで開発されたCOVID-19ワクチンの臨床試験のパートナーである。(AFP)

事務局長が講演を行った8月13日までに、全世界で感染者数は2,100万人、死者数は756,000人を上回っていた。

ゲブレイェスス事務局長は「すべての人が、どうすれば『普通』に戻れるのかと考えている。そして今日、どうやって戻るかではなく、どうやって進むかを語りたい。前進するための最良の策は、一丸となることだ」と述べた。

この抱負を達成するため、この特別な2年間にわたって世界という舞台でサウジアラビアの地位が非常に高まった。同国は先頭に立って導いているのだ。

サルマーン国王主催のバーチャルG20サミットで、各国首脳はパンデミックと闘う措置に5兆ドル支出を公約。(SPA)

サルマーン国王主催のバーチャルG20サミットで、各国首脳はパンデミックと闘う措置に5兆ドル支出を公約。(SPA)

ロシアの新COVID-19ワクチンをボランティアに接種する看護師、2020年9月10日。(AFP)

ロシアの新COVID-19ワクチンをボランティアに接種する看護師、2020年9月10日。(AFP)

ロシア直接投資基金(RDIF )キリル・ドミトリエフCEO。サウジアラビアは、RDIFの助成金でロシアで開発されたCOVID-19ワクチンの臨床試験のパートナーである。(AFP)

ロシア直接投資基金(RDIF )キリル・ドミトリエフCEO。サウジアラビアは、RDIFの助成金でロシアで開発されたCOVID-19ワクチンの臨床試験のパートナーである。(AFP)

COVID-19パンデミックと光明をやっと見つけた方法をサウジアラビアのトークで毎日視聴しよう。

クレジット

編集:Mo Gannon
クリエイティブディレクター:Simon Khalil
デザイナー:Omar Nashashibi
グラフィックス:Douglas Okasaki
ビデオプロデューサー: Eugene Harnan
ビデオ編集:Hassenin Fadhel
ビデオインタビューアー:Hussam Al-Mayman、Rawan Radwan
ビデオグラファー:Mohammed Al-Baigan、Huda Bashatah、Nuaf Al-Mutery、Abdullah Almdefer
フォトリサーチ:Sheila Mayo
コピー編集:Sarah Mills
ソーシャルメディア:Mohammed Qenan
プロデューサー:Arkan Aladnani
編集長: Faisal J. Abbas

リヤドにあるサルーマン国王の壁画を通り過ぎた、COVID-19予防用マスクを着用したサウジアラビア男性、3月15日。(AFP)

リヤドにあるサルーマン国王の壁画を通り過ぎた、COVID-19予防用マスクを着用したサウジアラビア男性、3月15日。(AFP)