カーラ・シャルール＆ダイアナ・ファラー

新型コロナウイルスの集団発生拡大に伴い、パンデミックのおかげでファッション業界は仕事をしていない状態になってしまった。世界中でサプライチェーンが崩壊し、店舗が閉鎖され、ファッションショーがキャンセルされたのだ。

その今、高級ファッションレーベルやコングロマリット、デザイナーたちが、ウイルスの打撃を最大に受けている国々で医療用防護具の不足を克服するための支援に乗り出した。

プラダ

トスカーナ（イタリア）のプラダ工場で機械縫いされるマスク。（プラダ）

革製のハンドバッグ、トラベルアクセサリー、靴、香水、その他のファッションアクセサリーを専門とするイタリアの高級ファッション会社プラダ（Prada S.p.A.）は、新型コロナウイルス危機から生じるニーズを満たすため、生産ラインのシフトを行う。

プラダは3月23日、新型コロナウイルス感染拡大に対する同社の取り組みについて発表した。フェイスマスクやオーバーオールといった医療用防護具・防護服の不足解消に専心するという。

同ブランドは、4月6日までにマスク11万枚と医療用オーバーオール8万枚を製造し、医療従事者に配布することを明らかにした。

このイニシアチブは、トスカーナ地方から支援の要請を受けたことをきっかけに生まれた。

製品はすべてイタリアのモントーネにある同社の工場で製造される。同社はこの目的のためにこの工場を休業させていなかった。マスクとオーバーオールは地域の医療従事者に毎日届けられる。

同社はまた、このイニシアチブ達成に協力してくれる「イタリアの外部サプライヤーネットワークのサポート」に感謝を捧げた。

プラダはこれに加え、完全装備の救急蘇生・集中治療室２室をサッコ、ヴィットーレ・ブッツィ、サン・ラッファエーレなどミラノの3病院にすでに寄付しているほか、ミラノ最大級の病院の数多くにも医療機器を寄贈している。

イヴ・サンローランとバレンシアガ

高級ブランドのイヴ・サンローランとバレンシアガは、普段は高級衣料品の製造に使う自社小工場を利用して、新型コロナウイルス（COVID-19）に最前線で戦う医療従事者向けにサージカルマスクの製造を始めた。

両ファッションレーベルの親会社であるケリンググループは、「新型コロナウイルスとの闘いに貢献」すべく、マスク300万枚を中国から輸入しフランスの保健医療サービスに寄付すると声明で発表した。

BBCによると、同グループはパスツール研究所への寄付も約束している。

パリを拠点とする同社は、次のように述べている。「ケリングのクチュールハウスであるバレンシアガとイヴ・サンローランのフランスの小工場では、スタッフの健康保護対策を非常に厳格に遵守しながらマスクの製造準備を進めており、製造過程や材料が関係当局により承認され次第、直ちに製造を開始します」

エスティローダー社

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エスティローダー社は3月23日、新型コロナウイルスとの闘いを支援し医療従事者が困っている手指消毒剤不足問題を解消するために、手指消毒剤の製造を開始すると発表した。

「エスティローダー社では、メルビルの製造施設を今週再開し、最前線の医療従事者など必要性の高いグループや住民向けの手指消毒剤を製造することで、新型コロナ救援活動に幅広く貢献できることを誇りに思います」と同社は声明で伝えている。

手指消毒剤の製造に加え、エスティローダー社とエスティローダー慈善財団（ELCCF）は、世界規模でいくつかの組織に資金を提供している。

中国では、中国赤十字社、上海慈善財団、Give2Asiaを支援する救援活動に80万ドルを寄付した。これとは別に、第一線の医療従事者支援に向け140万ドル相当の現物寄付を行った。

米国では、ニューヨーク市（同社の本拠地）にコロナ対策ファンド設立支援資金として7,500万ドルを寄付した。「The NYC COVID-19 Response＆Impact Fund」という名のこのファンドは、ニューヨーク市の重要な社会サービスや文化コミュニティ組織に不可欠な支援を提供するファンドである。

世界的には、200万ドルの助成金を国際的な人道主義の医療非政府組織である「国境なき医師団」に授与した。同組織の世界各地における取り組みや、深刻な影響を受けながら資金が不足している国におけるコロナ対策を支援するものである。

LVMH

ディオール、フェンディ、ルイヴィトン、ジバンシーを所有するフランスの高級ブランドグループLVMHは日曜日、フランスにある自社香水・化粧品工場３か所で消毒用ハンドジェルの製造を開始し、新型コロナ集団発生と闘うフランス国内の病院に配布すると発表した。

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「今週の月曜日から、パルファムジバンシィはパルファムクリスチャンディオール＆ゲランとともにエタノール製ハンドジェルの製造を開始し、フランス保健当局に無償で大量に提供させていただきます。LVMHパフューム&コスメティックスは、必要がある限りこの責任を果たし続けます」と同社はInstagramでの声明で述べた。

通常はクリスチャンディオール、ゲラン、ジバンシーブランドの香水やメイクアップ製品が製造される3つの工場で、早ければ今週中にも12トンのハンドジェルが製造されることになる。

ジェルは仏保健当局、特にパリ市内の公立病院39施設に「無償で」届けられる、と同グループは述べた。

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「LVMHの迅速な対応に感謝したい。同社は土曜日の午後9時（グリニッジ標準時午後8時）にこの申し出をしてくれ、日曜日にそれを確認してくれた」とパリ公立病院連合の会長を勤めるマルティーヌ・イシュ氏がAFPに語った。

パリの病院では在庫切れはまだ起きていないが、状況は「切迫している」、とパリ医療制度の広報担当者は述べ、他の企業からも供給提供の申し出がある、と付け加えた。

フランスでは新型コロナウイルスに感染する恐怖から国中でハンドジェル買いに走る人が急増し、1人につき小型ボトル1本までの購入制限を設ける薬局も多い。

一部の小売業者が便乗値上げをしようとしているとの報告を受けた政府は法定価格を発表し、100ミリリットルのボトルの価格が3ユーロ（3.30ドル）を超えないようにした。

当局のコロナ集団発生抑制措置の一環として厳格な手洗いが勧められていることから、フランス全土の製造業者では臨時労働者を雇って需要の急増に対応していると述べている。

コティ社

カバーガールやカルバンクラインといったメイクアップやフレグランスブランドを擁する米国の多国籍美容企業コティ社も、生産ラインの一新を決定した。コティ社は3月18日、新型コロナウイルスとの闘いの取り組みとして、自社製造工場を利用してエタノール製ハンドジェルを製造、医療サービスや救急サービスに無償提供することを発表した。

「このかってないほど大変な時に、当社は地域社会の皆様に寄り添ってまいるつもりです」と同社はInstagramで発表された声明で述べている。

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新型コロナウイルス（COVID-19）はファッション業界に途方もない影響を及ぼしており、その影響は今後も続くと考えられる。それにも負けず、この分野のリーダーたちは、香水蒸留所をエタノールジェル（手指用消毒剤）の製造拠点に、衣料品工場を医療用防護服製造ユニットへと転化させた。

そうすることで彼らは、自社の資金、影響力のあるプラットフォーム、生産ラインを慈善的に利用し、3月26日の時点ですでに世界中で21,313人の命を奪ったウイルスとの世界的な闘いを支援する方法を見いだしたのだ。