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日本マンガ、ウェブトゥーン『デッドプール』で世界へ

画像出典:笠間三四郎氏作『デッドプール:SAMURAI』(2021年に日本語、2022年2月に英語で出版)。同作は、マーベル社が日本マンガの出版者である少年ジャンプと提携した最初のコラボ作品である。(AP)
画像出典:笠間三四郎氏作『デッドプール:SAMURAI』(2021年に日本語、2022年2月に英語で出版)。同作は、マーベル社が日本マンガの出版者である少年ジャンプと提携した最初のコラボ作品である。(AP)
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28 Feb 2022 09:02:06 GMT9
28 Feb 2022 09:02:06 GMT9

東京:デッドプールがオールマイトと共演。

日米のスーパーヒーローの共演ほど、マンガ(日本発祥のマンガ、アニメ)の世界が世界中に広がった様子を示すものはないだろう。

『デッドプール:SAMURAI』では、マーベル社のデッドプールが敵との闘いの中で、『僕のヒーローアカデミア』(全世界で6,500万部も売れている日本マンガのヒット作)のマッチョなヒーロー、オールマイトの支援を受ける。

『デッドプール:SAMURAI』は昨年日本語で出版され、今月その英訳版が出版された。

日本語版の『デッドプール:SAMURAI』は昨年、オンラインで100万ビューを超え、マーベルコミックスのベストセラーとなった。同作は、マーベル社が日本マンガの出版者である少年ジャンプと提携した最初のコラボ作品である。

『デッドプール:SAMURAI』の作者、笠間三四郎氏は、自分はずっとマーベル社のヒーローを愛し、より多くの日本人にデッドプールを愛してほしいと考えていたため、この仕事を引き受けることになって感激したと述べた。

「私は一も二もなく快諾した。本当にやりたいと思った。『デッドプール』のようなマンガを作りたいと常に願ってきた人間が、本当に『デッドプール』を担当することになるなど、信じられないほどの幸運だ。とても興奮した」と笠間氏はAP通信社に語った。

1つの大きな課題は、マーベル社は自社のキャラクターを守りたい気持ちが強く、すべての行動がデッドプールのキャラクターに根ざしていることに、強くこだわりを示したことだった。デッドプールが誰かを撃つワンシーンでは、銃をペイント銃に変更する必要があったと笠間氏は述べた。

『デッドプール:SAMURAI』の作画は、笠間氏のコラボレーション相手である植杉光氏が担当したが、オールマイトが出てくるシーンには、原作を作成したマンガ家、堀越耕平氏の絵が使われた。『デッドプール:SAMURAI』は、マンガ出版とアニメ配給を手掛ける米国のVIZメディア社とマーベル社の初めてのコラボ作品だ。

マンガは、グラフィックノベル部門(マンガを含み、『僕のヒーローアカデミア』が典型例)で米国売上トップの大人向けフィクション作品分野にすばやく成長した。このような市場動向を追跡しているNPDグループによれば、同部門は2021年に1年間で160%も成長しており、この成長スピードは大人向け書籍市場全般の15倍に相当するという。

グランドビューリサーチ(サンフランシスコに拠点を置く調査コンサルタント会社)によれば、2020年の時点で、45%を占める日本は依然として世界最大のマンガ市場だが、日本以外を合計した世界市場が急速に追い上げてきている。また同社は、世界のマンガ市場は、2020年には235億ドル規模と評価され、2028年には480億ドル規模まで膨れ上がると予測されている。

マンガ『てだしろのかみうた』の作者、Julia Mechler氏は、沖縄の女性が登場する同作には、同作を政治色の強いニッチ作品と見た日本の出版社より米国の出版社のほうが強い関心を寄せていることに気づいた。

Mechler氏は、第二次世界大戦末期の数年間に恐ろしい陸戦があった日本南西部の島、沖縄の声を伝えたいと願っている。

「思うに沖縄の美点とは、人々が心から平和を大切にしていることだ」と、沖縄県民の母、米国人の父から生まれたMechler氏はいう。

「平和は世界で最も大切なものだと教わった。平和と生命が大切だと。言い古された言葉のように聞こえるが、世界を見渡してみると、本当に達成するのは非常に困難だ」
マンガの世界が次第に世界中に広まっている今、日本のマンガと日本人以外の作品の境界はあいまいだとMechler氏は考える。

Netflixでは、「アニメ」と呼ばれる日本のアニメーションの人気が高い。『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』のような番組は、最初はマンガで出版された。Hulu、Disney+といった他のストリーミングサービスと同様に、Netflixは今年、さらに多くのアニメを予告している。

東京近郊の中流家庭の不倫に焦点を当てた『金魚妻』のように、スター俳優やスター女優が出演するNetflixの人気シリーズの影にも、マンガがある。同様の番組は、日本人だけでなく米国人、そして他の世界中の視聴者も魅了している。

ゾンビが高校を襲うNetflixの別の人気番組『今、私たちの学校は…』は、「ウェブトゥーン」という韓国発のマンガ形式がベースだ。

マンガが多年にわたりKindleやApple Books、Google Playを通じてオンラインでも提供されてきた一方、ウェブトゥーンは携帯電話での閲覧を前提としているため、コマが縦に並んでおり、指一本でコマ移動ができる。

紙面でマンガを読むときは、ストーリーが横向きに進むようコマ割りされている。一部の日本マンガファンは今も、オンラインで読む場合すら、この昔ながらの読み方を好むが、新興のマンガファンは急速にウェブトゥーン形式でマンガを楽しむようになっている。

2004年に起業した韓国のNaver Webtoonを含むWEBTOON worldwide service、日本のLINEマンガ、欧米およびその他の国々の各種サービスは最近、月間ユーザー数が8,200万に達した。米国では特に成長が著しい。

日本でのウェブトゥーン事業を統括するLINEデジタルフロンティアの平井漠氏は「一プラットフォームとして、当社は読者規模でも、もちろん利益面でも最高の環境を提供する形で、作家に報いたい」という。「作品が当社のプラットフォームに載ることで、国内と海外の両方で拡散されれば、世界的ヒット作になる可能性も出てくる」

日本はウェブトゥーンは韓国から20年遅れで始まったが、定着する模様だ。
多様なプラットフォーム向けにウェブトゥーン作品を制作するSORAJIMA Studio(本拠地:東京)のCEO、萩原鼓十郎氏は、ウェブトゥーンの良さとマンガの良さを統合して、多くの作品が日本で開発中だという。

「とにかく必要なのは、普段ウェブトゥーンを読まない人々の関心まで引き付ける大ヒット作だ。実現するには、NetflixやAmazon Primeでシリーズ化されるウェブトゥーン作品を作り出す必要がある」と萩原氏は語った。

2021年に起業した同スタジオは、集英社や小学館といった日本の伝統的なマンガ出版社から投資を集めた。同スタジオはこれまでに3作を発表し、米国で出版した1作も含め、いずれも黒字となった。同スタジオは今年中に26作品、来年は韓国のウェブトゥーンスタジオの生産性と同等の50作品を予定している。

「状況はすこぶる順調」と萩原氏は語った。

AP

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