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オリンピックの延期がサムスンの日本市場における攻略計画の妨げに

 新型コロナウイルスによる東京オリンピック2020の延期はスポーツ界全体に衝撃を与えたが、ビジネスの世界も衝撃を受けた。(AFP)
新型コロナウイルスによる東京オリンピック2020の延期はスポーツ界全体に衝撃を与えたが、ビジネスの世界も衝撃を受けた。(AFP)
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29 Mar 2020 01:03:41 GMT9
29 Mar 2020 01:03:41 GMT9
  • 延期は韓国のテクノロジー大手が重大な好機を逃したことを意味しているかもしれない

ソウル:サムスン電子にとって、東京オリンピック2020は、アップルが独占している収益性の高い日本のスマートフォン市場に大きく食い込むというかねてからの目標の達成への弾みになるはずだった。

だが、新型コロナウイルスのパンデミックが原因でオリンピックが2021年に延期された今、長年にわたってオリンピックの協賛企業を務めているサムスンの新しいS20スマートフォンを中心とするマーケティング計画は頓挫を余儀なくされた。

オリンピックの延期は韓国のテクノロジー大手が重大な好機を逃したことを意味しているかもしれない。オリンピック広告で5G機能をアピールすることで、アップルが5G製品を市場に投入する前に、オリンピック観戦に興奮する日本人の関心を最先端テクノロジーに引き寄せるのがサムスンの目論見だった。

「サムスンは日本で開催されるオリンピックという好機を利用することに強い意欲を示していました。その点で、延期はサムスンを苦境に陥れることになります」とサムスンの経営に詳しい情報筋はロイターに語った。

「オリンピックに向けたスマートフォン需要の高まりの機運も大きく低下するでしょう」

サムスンの元役員やアナリストは、サムスンが来年発売される新しい主力スマートフォンの宣伝に向けて体制を立て直す公算が大きいと見ている。

オリンピックの延期がサムスンの日本市場向けの戦略に及ぼす影響について問われたサムスンはコメントを避け、オリンピックがいつ開催されるかに関係なく、日本の顧客に向けて革新的なテクノロジーを提供し続けると述べるにとどまった。

サムスンのスマートフォンは販売量では世界一かもしれないが、日本市場のごく一部しか占めていない。

それと対照的に、2008年に日本でiPhoneの販売を開始したアップルは、当時アップルの総代理店だったソフトバンクによる積極的な広告と特別価格キャンペーンが功を奏して、シェアを獲得した。それ以来、日本はアップルにとって手堅いプレミアム市場、重要な利益の源泉になった。

カウンターポイント・リサーチによれば、現在アップルは日本市場の53%を占めており、それに続くシャープが12%、ソニーが7%を占めている。2013年以降シェアが低下しているサムスンの現在のシェアは4%だ。

日本で販売するスマートフォンからサムスンの名前を外してGalaxyブランドだけを残すという2015年の決断からはサムスンの苦悩が見て取れる。スマートフォンからサムスンの名前を外した市場は日本以外にない。一部のアナリストは、韓国と日本の間でしばしば起きる緊張関係がその戦略の原因だと考えている。

「サムスンがそうしたのは、購入にあたって政治的要素を考慮に入れる日本の消費者が増えているからだと思います」とCanalysのリサーチアナリスト、Shengtao Jinは言う。

アップルの牙城に挑むサムスンは、組織的攻撃の下準備を行った。

昨年3月、サムスンは、若者のファッションとポップカルチャーの発信地として知られる東京の人気のショッピングエリア、原宿に世界最大のGalaxyストアをオープンした。8つのフロアからなる派手な建物の外壁には千台以上のスマートフォンが飾られている。オリンピック開催日まで500日となったオープニングセレモニーには、サムスンのモバイル・ネットワーク部門を率いるコー・ドングジン、国際オリンピック委員会および東京オリンピック委員会の役員らが出席した。

そして、5月には、サムスンの後継者であり、事実上のトップであるイ・ジェヨンが日本を訪れ、携帯電話会社のNTTドコモおよびKDDIの幹部と面会し、5Gでの協力について話し合った。

ドコモと、ソフトバンクグループの日本国内の通信部門であるソフトバンクは現在5Gサービスを展開している。だが、アナリストによれば、オリンピックの延期は、アップルが5G対応iPhoneを発売するまで5Gの勢いが本格化しないことを意味している。

その5G対応iPhoneは2020年の年末に発売される予想だが、一部の報道によれば、発売時期はパンデミックによって遅れる可能性がある。

「サムスンは5Gの分野でリードを奪えたはずですが、オリンピックの延期はその妨げになります」とLGモバイルの元役員であり、現在ソウルの西江大学校で教授を務めるJeong Ok-hyunは言う。

「新型コロナウイルスは5G市場の成長を遅らせる可能性がありますが、そうなればアップルは安堵するでしょう」

5G機能を持ったS20のオリンピック限定モデルを発売する計画をサムスンが進めるかどうかは、差し当たり不明だ。ドコモが販売するサムスンのスマートフォンの発売は6月に予定されており、サムスンは今月、先行予約を開始した。

ロイター

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