日産自動車が28日発表した2020年3月期連結決算は、6712億円の純損失を計上し、11年ぶりの赤字に転落した。赤字幅はリーマン・ショック時の09年3月期(2337億円の赤字)を超えた。ゴーン体制下で膨張した過大な生産能力の削減など構造改革費用が収益を圧迫。世界的な新型コロナウイルス流行で販売も打撃を受けた。立て直しへ、海外2工場の閉鎖を含むリストラを加速する。
前期は3191億円の黒字だった。オンラインで記者会見した内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は、「選択と集中を徹底する」と再生へ決意を示した。
20年3月期は、新車投入の遅れなどが響き、主力の北米をはじめ幅広い地域で販売が低迷。世界販売台数は7年ぶりに500万台を下回る493万台に落ち込んだ。期末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大も不振に追い打ちをかけた。固定資産の減損損失は5220億円を計上した。21年3月期の業績予想は公表していない。
同時に、前会長カルロス・ゴーン被告が進めた拡大路線からの脱却に向けた中期経営計画を公表。生産目標を従来の660万台から540万台に下方修正した。世界規模で生産能力を20%以上削減し、工場稼働率は8割以上を目指す。
具体的には、インドネシア工場を閉鎖し生産をタイに集約するほか、スペイン・バルセロナ工場も閉鎖に向け協議を進める。一連のリストラで3000億円の固定費を削減する。
一方、北米や日本、中国を重点地域と位置付けて経営資源を集中。今後1年半の間に世界で12の新型車を投入する。
JIJI Press