東京:日本製鉄は110億ドルの投資と操業技術や先端技術の移転を通じてU.S.スチールの利益を増やし、生産能力を拡大し、高品位製品を増やす計画だと幹部が語った。
日本製鉄による149億ドルをかけたU.S.スチールの買収は6月に完了し、バイデン政権とトランプ政権の政権移行期における政治情勢の変化に巻き込まれていた1年半のプロセスに終止符が打たれた。
2028年までの投資と専門知識の移転により、U.S.スチールの年間利益貢献は、2026年の1500億円、今年の800億円から、早ければ2028年度には2500億円(17億ドル)になる見込みだ。
日本製鉄の森高弘副会長は24日、ロイターに対し、「投資による実質的な効果は2028年以降に現れるだろう」と述べ、収益性は2500億円を超えて拡大する可能性もあると付け加えた。
U.S.スチールのペンシルベニア州モンバレー製鉄所では熱間圧延機の新設、インディアナ州ゲーリー製鉄所ではNo.14高炉の改修、電磁鋼板ラインの新設やその他の能力拡張が計画されている。
「私たちはグリーンフィールドからの新工場の建設を考えています」と森氏は述べ、アーカンソー州のビッグ・リバー第2工場と同様の300万トンの電気アーク炉などの選択肢を挙げた。
この取引の交渉責任者であり、現在はU.S.スチールの会長である森氏は、この投資によってU.S.スチールの国内粗鋼生産能力は、1700万トンから2000万トン程度に引き上げられるだろうと述べた。
また、この買収により、日本製鉄の世界における年間粗鋼生産能力は8,600万トンとなり、長期的な目標である1億トンに近づくことになる。
詳細な投資計画は、日本製鉄の新中期事業戦略の一環として、今年後半に発表される予定である。
日本製鉄は7月、今回の買収資金を調達した2兆円のつなぎ融資を一部返済するため、劣後ローンにより5,000億円を調達すると発表した。
森氏は、新日鉄にはハイブリッド・ファイナンスの柔軟性もあり、転換社債や社債を検討する可能性もあると述べた。
「最適な資金調達戦略を追求するため、最適なタイミング、金利、円建てとドル建てのどちらが望ましいかを見極めていく」と森氏は述べ、株式による資金調達も可能だが、株主の希薄化を避けるため、限度額の範囲内であると付け加えた。
U.S.スチールは当初110億ドルの投資資金を提供し、資金不足が判明した場合は日本製鉄が出資すると森社長は述べた。
森氏は、U.S.スチールは8月にペンシルバニア州のクレアトン工場で起きた爆発事故の影響を精査中であり、日本製鉄への今年度の利益貢献見込み額800億円を大きくは下回らないものの、下回る可能性があると述べた。
ロイター