【ニューヨーク時事】米ニューヨークの日本食レストランが窮地に陥っている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業停止で収入が途絶え、家賃負担の重さなどに耐え切れずに廃業する店も多い。日本発のステーキ店チェーン「いきなり!ステーキ」もコロナ禍を機に撤退を決めた。
米国の新型コロナ感染の「震源地」となったニューヨーク市では、飲食店は3月半ばに持ち帰りや宅配以外の業務を禁止された。市内には900店近い日本食レストランがあるとされるが、すし店やラーメン店といった業態は宅配などへの対応が難しく、完全に営業を停止した店も多かった。
6月末には市中心部のグランドセントラル駅近くにあった人気の居酒屋が閉店。電車で郊外に帰宅する前に立ち寄っていた日本人駐在員の常連客からは惜しむ声が聞かれた。
一方、2017年にニューヨークに進出した「いきなり!」は短期間に11店まで増やしたものの、客足は低迷。店舗数を減らして反転攻勢を図っていた矢先にコロナ禍に襲われた。
米国では、西部や南部を中心に新型コロナの感染者が再び急増。ニューヨーク市は「第2波」を警戒し、予定していた6日からの飲食店の屋内営業再開を延期した。今後再開しても、対人距離の確保などで客入りや売り上げがコロナ危機前の水準に戻ることは当面ないとみられ、日本食店の苦境は終わりが見えない。
JIJI Press