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設立60周年のOPEC、重大な局面を迎える

史上空前の価格暴落を受け、5月に開催されたOPECプラスの会合では生産量を5分の1まで激減させるとの決定がなされた。これにより、原油価格は現在の1バレル約40ドルの水準にまで急上昇した。(Shutterstock)
史上空前の価格暴落を受け、5月に開催されたOPECプラスの会合では生産量を5分の1まで激減させるとの決定がなされた。これにより、原油価格は現在の1バレル約40ドルの水準にまで急上昇した。(Shutterstock)
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28 Sep 2020 05:09:52 GMT9
28 Sep 2020 05:09:52 GMT9
  • OPECの声明により、原油価格が大きく変動する可能性は依然として大きい

ロンドン: 石油輸出国機構(OPEC)は、コロナ禍により原油の需要と価格が押し下げられ、加盟国内で意見の不一致が生じ、世界がよりクリーンなエネルギーを求めるなか、重大な局面を迎えている。

1960年9月14日に設立されたOPECは、アフリカ・ラテンアメリカ諸国を含めた13カ国で構成されている。

今年で創設60周年を迎えた「OPECはその歴史の中でも重大な局面を迎えています」と、イタリアのメガバンク「ウニクレディット」のアナリスト、エドアルド・カンパネラ氏が語った。

さらに「石油価格市場を自らに有利になるよう操作する力が、これまでになく弱まっています」と述べた。ウィーンに本拠地を置くOPECは、市場の需要と供給状況を査定するため定期的に会合を開いており、その声明により原油価格が大きく変動する可能性は依然としてある。

しかし近年は影響力が薄れており、ロシアを含めたOPEC非加盟の産油国と協力して石油減産を実施している。

OPECプラスの発足は本来、米国のシェールオイル生産の急増に対抗し、供給過剰により世界市場での原油価格値崩れの防止を目的としていた。

今日、OPECは世界の原油の約3分の1を生産しているが、OPECプラスだとほぼ50%を占めることになり、影響力は大きくなる。

イギリスの証券会社「アクティブトレーズ」のトレーダー、カルロ・アルベルト・デ・カサ氏は、OPECが市場に「関与する」影響力を保持していると主張し、その影響力が「今後は弱まる」という見方を退けた。

「OPECの影響力は以前と比べて若干弱まっていますが、理由の一部としてOPEC非加盟国の原油増産と新たな石油掘削技術の登場もあります。しかし、それでもOPECの影響力は依然として大きいと思います」とAFPに語った。

悪化の一途をたどるコロナ禍と相まって、価格競争により原油価格は暴落し、さらに4月にはニューヨークの「軽質スウィート原油」の先物価格が一時的にマイナスになるという事態が発生した。要するに売り手が買い手にお金を払って原油を引き取ってもらったわけだ。

史上空前の価格暴落を受け、5月に開催されたOPECプラス会合では生産量を5分の1まで激減させるとの決定がなされた。これにより、原油価格は現在の1バレル約40ドルの水準にまで急上昇した。

OPECプラスの減産に加え、現在世界最大の石油産出国となった米国では、高価なシェールオイルの生産量を減らした。

エネルギー調査会社「リスタッドエナジー」のアナリスト、パオラ・ロドリゲス-マシウ氏は、OPECが近年原油市場に占めるシェアを失ったことを認めながらも、掘削が容易な原油の埋蔵量に関しては最大のシェアを持つため、OPECの役割は依然として重要だと語った。掘削が容易だと、その分二酸化炭素の排出量が少なくて済む、と彼女は語った。

「OPECの果たす役割は今後ますます重要になると強く思います」と結論付けた。

AFP通信

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