• Wa’edは、商業的に有望なベンチャー企業に、融資やベンチャーキャピタル投資の形で最大1億リヤル（約29億5千万円）を提供する態勢を整えている。

ルバ・オベイド

ダーラン：サウジアラムコの起業支援を専門とする子会社・Wa’edは16日、次世代のサウジアラビアの起業家を発掘し援助する目的で、初の主要都市巡回イベントを開始した。

Wa’edは、現在のサウジアラビア経済における産業の多様性不足の改善に向けて、商業的に有望なベンチャー企業に、融資やベンチャーキャピタル投資の形で最大1億リヤル（約29億5千万円）を自社の判断で提供できる態勢を整えている。

新しい雇用を生み出す革新的なアイデアを支援することを目的としたWa’edの起業支援イベントは、9月から12月までサウジアラビアの6都市を巡回して開催される。

同イベントの開催地はジュバイル、ヤンブー、リヤド、ジェッダ、メッカ、メディナの6都市で、以下のWa’edの主要なパートナーの協力を得て実現される：ジュバイルとヤンブーの王立委員会 （RCJY）、中小企業庁（Monsha’at）、ナマー・アルムナワラ（開発会社）およびワディ・マッカ（投資会社）。

「パートナーの皆さんと一緒に取り組んでいるこの一連のイベントは、サウジアラビアの起業家たちのエコシステムの価値を増し、国の経済多様化のペースを速める新しい起業家を発見し、資金面での援助を提供するためのものです」と、Wa’edのマネージングディレクター、ワシム・バスラウィ氏は説明する。

Wa’edは、サウジアラビア経済の発展と多様化に大きく貢献する可能性を持った、大胆なアイデアを探しているとのこと。

「私たちが過去に支援した100を超えるスタートアップのうち70社は、自ら新分野の開拓している企業で、私たちの支援が初めての投資援助でした。今回のイベントにおける私たちの支援対象も同様で、可能性は抜きん出ているがまだ支援を受けられていないスタートアップやアイデアを発掘したいと思っています」とバスラウィ氏は付け加えた。

サウジアラビアを拠点とするすべての起業家を対象とした今回の支援へのオンライン応募は、16日に開始された。 二次審査を通過した応募企業は各都市でのイベントに招待される。イベントでは、　米国のテレビ番組「シャークタンク」スタイルのスタートアップによるプレゼンテーションコンテスト、関連業界人のディスカッションや討論などが行われる。

この募集・選考イベントが特に重視するのは、金融・農業・環境各分野の技術、工業利用、リバースエンジニアリング、ドローン、石油化学製品、サプライチェーン、観光などの分野である。

Wa’edの起業支援およびメンターサービスに加えて、参加社/者は、最大500万リヤルの融資、または最大1900万リヤルのベンチャーキャピタル投資を含む迅速な資金調達、および25,000リヤル、50,000リヤルおよび75,000リヤルの各金額の返済不要の助成金を獲得するチャンスが与えられる。

アラムコのアミン・ナセル最高経営責任者は、次のように述べている。「Wa’edは、2011年以来長期に渡って、才能のある国民を支援して、彼らの事業のアイデアを成長と革新の真の推進力に変える手助けを行い、大きな成果をあげてきました」

「しかし、テクノロジー、Eコマース、再生可能エネルギーなど、新しいビジネスが成長している分野で次世代のチャンスが生まれている昨今、サウジアラビアの変革のペースが加速していく中で、今後10年間は​​起業家のエコシステムにとって一層重要になってきます。

「だからこそ、サウジアラビアにおいてより活気に満ちた起業文化を育み、可能にする、そうした新たな成長のチャンスを最大限に活用するために、我が国の6都市でWa’edが開催するイベントには大きな意義があるのです。」

イベントに参加するすべての企業/個人は、1,500を超えるサウジアラビア内外のメンバーと約400人のメンターを擁するWa’edの変革エコシステムコミュニティーに参加し、活用していくことができる。

各イベントでは、プレゼンテーションコンテストに先立って、刺激に満ちたスピーカーとのエンリッチメントイベントやミーティング、インタビュー中心のポッドキャスト、ワークショップ、ウェビナー等が開始され、プログラムの終了まで継続される。これら諸サービスは、このイベントからできるだけ多くの潜在的な受益者たちに価値ある内容を提供するものとなる 。

今回のイベントを通じて、Wa’edはポートフォリオを全国により均等に拡大していく予定とのことだ。現在は、同社の投資の約60％が東部州で行われ、残りがサウジアラビア全体に分配されている形だ。

Wa’edはまた、サウジアラビア国内の起業家のエコシステムを支援し、テクノロジー、Eコマース、再生可能エネルギーなどの重要分野における変革と新たな機会の成長速度に追いつくため、2023年までに年間の融資とベンチャーキャピタル投資額を2倍にするという目標を設定した。

Wa’edは現在、創造的なアイデアを持つ起業家やスタートアップへの必要な財政的支援、ガイダンス、ツールの提供を通じて、サウジアラビアの100を超える起業家ビジネスを支援している。

サウジアラムコの起業家支援の中核を成すWa’edは、サウジアラビア経済の発展への支援に注力するべく、サウジアラビアの起業家とその事業の育成を使命として、2011年に設立された。創業以来、同社は1億ドル以上を投資してきた。

Wa’edは、サウジアラビアを拠点とする新興企業に対する唯一の無担保の貸し手であり、最大の機関投資家でもある。