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東芝株主総会、取締役会議長の再任否決

綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は、永山治氏と監査委員の再任が株主総会で否決されたと述べた。日本の旧態依然とした企業環境を見てきた人々を驚かせる結果となった。(ファイル写真/ロイター)
綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は、永山治氏と監査委員の再任が株主総会で否決されたと述べた。日本の旧態依然とした企業環境を見てきた人々を驚かせる結果となった。(ファイル写真/ロイター)
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25 Jun 2021 09:06:22 GMT9
25 Jun 2021 09:06:22 GMT9

東京:6月25日金曜日、スキャンダルや損失に見舞われ、最近も物議を醸した東芝の株主総会で取締役会議長の再任が否決された。「日本株式会社」においては珍しく「物言う投資家」が勝利した。

綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は、永山治氏と監査委員の再任が株主総会で否決されたと述べた。日本の旧態依然とした企業環境を見てきた人々を驚かせる結果となった。

綱川社長が取締役会議長の支持に回り、第三者による調査で暴露された不利な状況から、信頼回復に努めることを約束したにもかかわらず、再任否決となった。

東芝はこの結果を受けて、「一部の取締役の選任が否決されたことについて、真摯に受け止めている」と述べるに留めた。

今月初め、問題となっている財閥の東芝が、2020年7月の協議で「株主提案権と議決権の行使を効果的に阻止する計画を策定した」ことが、調査により明らかになった。

「物言う株主」であるアクティビストの提案が否決された総会は、「公正に運営されたものとはいえない」と、140ページにおよぶ報告書は結論付けた。

また、報告書には、東芝が議決権行使に影響を及ぼそうとして、どのように経済産業省の介入を求めたかについても詳細に記されていた。

株主からの圧力があって、ようやく調査は始まったのだった。

東芝は報告書が公表されてから謝罪し、取締役2名を解任すると発表したが、政府と一体となって株主投票に介入しようとしたという疑惑については言及しなかった。

今年の4月、当時の最高経営責任者だった車谷暢昭氏と関係があったプライベート・エクイティ・ファンドから予想外の買収提案を受けたことで、東芝は数ヶ月にわたり混乱を極めた。

買収提案は騒動を引き起こし、他にも買収の可能性があると報じられた。車谷氏は4月に辞任したが、この騒動とは関係ないと主張した。

東芝はかつて、日本の先進技術と経済力を象徴する企業だった。ここ数年、スキャンダルや巨額損失から回復に向かっていたが、揺らいでいた。

25日金曜日の総会では、綱川社長は株主から永山氏への支持を集めようとした。

綱川社長は、取締役2名の解任と候補者2名の辞退を挙げて、「取締役会議長は調査後、直ちに行動を起こし」、「予防措置」の策定に取り掛かった、と述べた。

綱川社長はまた、最近の危機的状況を「真摯に」受け止め、「透明性のあるコミュニケーション」を約束すると株主に語った。

しかし、永山氏の支持は株主を納得させるのに十分ではなく、一部のアナリストはその結果に驚きを隠さなかった。

東京のエース経済研究所のアナリスト、安田秀樹氏は、「投票結果は五分五分になるだろうと思っていました」と、語った。

「会社の提案がすんなりと承認される日本の商慣行を考えると、結果はショックでした」と、AFPに語った。

東芝は混乱しており、方向性を決めることができる新しい経営陣が必要だという。

「株主がはっきりと分かれていて、リーダー的な存在も見当たらず、会社をひとつにまとめるのは難しいでしょう。経営陣の刷新は緊急の課題でしょうが、非常な困難を伴うでしょう」

また、「株主が経営陣を非難するには、再任を否決するしか選択肢はなかった」と、語る人もいた。

「これは旧約聖書にある報復行為ではなく、信用の問題なのです」と、CLSAで日本株のストラテジストを務めるニコラス・スミス氏はいう。

「取締役会は主要な株主から信用されなくなったと思われます。株主には、信用を失った人を投票で否決する権利と信認義務があるのです」と、語った。

ユナイテッド・ファースト・パートナーズのアジア調査責任者、ジャスティン・タン氏は、永山氏が「責任を取るのを思いとどまった」と、AFPに語った。

永山氏を確実に解任するためには、国内外の投資家が共同して再任に反対票を投じる必要があった。そして、永山氏の解任は、「国内でもコーポレート・ガバナンスの改革の効果が出てきており、改革に真剣に取り組む必要があるというメッセージを、『日本株式会社』に送ることになるでしょう」。

AFP

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