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パンデミックが終われば、「旅行需要が津波のごとく押し寄せてくる」

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05 Jul 2021 09:07:53 GMT9
05 Jul 2021 09:07:53 GMT9

フランク・ケイン

ドバイ:パンデミックで打撃を受けた航空産業は乗客数がまれにみるほど急増しており、エミレーツ航空は来年の夏にはフル稼働に戻るだろうと、同航空会社の社長、ティム・クラーク卿はアラブニュースに対し述べた。

「短期的に見ると、あと6カ月はたいへんだと思います。2022年の夏はどうなると思うかと問われれば、全く今とは違っていると私は思います。かなり自信を持って言えますが、来年は全く違った状況を目の辺りにし、エミレーツ航空などの航空会社はきっとフル稼働に回復しているでしょう。私たちが当初考えていたよりも6カ月遅いかもしれませんが」と、彼は述べた。

「パンデミックが終われば、旅行への要望が非常に多く起こるでしょう。友人、親戚、セカンドハウス、ビジネス、レジャーなど、多くの部門で要望は過去15~16カ月の間、抑制されていました」と、クラーク氏は言い添えた。

彼は、影響力のある政策立案者や企業家とのビデオ・インタビュー・シリーズ、「フランクリー・スピーキング(率直に言えば)」で、自信に満ちた予測を述べた。

ドバイを本拠とするこの運輸会社と航空産業について世界的な幅広い討論の中で、クラーク氏は、昨年55億ドルを損失したエミレーツ航空の財政状況の改善や、ライバル会社、アブダビの、エティハド航空との合併の可能性などについて語った。

また、彼は昨年パンデミックに見舞われてから使用されていない航空機、エアバスA380の将来についても述べ、また第2の国際航空の設立を計画しているサウジアラビアに対し、いくつかの専門的な助言をした。

彼は、ますます拡大する航空・旅行市場に対し、ドバイのハブを通じ世界的なコネクティビティを提供しているエミレーツ航空のビジネスモデルは、「永遠に」効力を失わないだろうという揺るぎない考えを持っている。

「人々が旅行しない、パンデミックの前にはしていたことすべてをしたくない、とおっしゃるのですか? あなたと私はこのビデオ会議プラットフォームで話していますが、それが出張旅行の必要性を消滅させてしまうとお思いですか? 休暇やレジャー、友人や親せきを訪ねたり、世界中を旅する様々な目的のために、人々は旅行しないとお思いですか?」と、彼は問いかけた。

「ドバイは世界的なスーパー・ハブとしての立場を維持し、再浮上します。それは一層強化されます。空港は強化され、今後3~5年以内にそのネットワークにもっと都市が増えるでしょう。どうなるかお待ちになってごらんください」

パンデミックが世界中で猛威を振るい、ウイルスの新たな変異種が現れても、ドバイが昨年、経済や航空運航を再開したのは正しかった、とクラーク氏は主張する。

「思い出してください、彼らは先行して、昨年4月、5月にロックダウンを開始しました。彼らは、最終的にワクチンが問題を解決するという考えを早期に受け入れていたからです。彼らは正しい決定をしたか?そうです。新たな変異種が現れて景気が下降したときと同じく、エミレーツ航空はかなり迅速に適応しましたが、街、市(ドバイ)は再び、うまく適応していくでしょう。ドバイはその適応性により知られています」と、彼は述べた。

世界中でワクチン接種が開始され、感染に対する医療が向上している中で、まず米国の航空旅行市場がかなりの拡大を示し、その後、ヨーロッパやその他の世界が「断続的に」拡大していくだろう、と彼は述べた。しかし、UAE(アラブ首長国連邦)の重要な英国との航空路が、隔離や、市場を沈滞させる他の制限なしに、いつ再開するかという点に関しては、彼は確信を示さなかった。

「私自身の考えはかなり強力に英国政府に表明しており、UAEの外務省もこれに関しては相当積極的な主張をしてきていることを、私は知っています。私の考えでは、UAEが渡航レッドリストに載るような理由は全くありません。特に、私たち、UAEはかなり問題をうまく処理してきていますので」と、彼は述べた。

英国は今月の後半、7月19日に経済を完全再開すると述べたが、UAEとの航空便が完全再開となるかは定かではない。

「もちろん、英国は国民がワクチン接種を受けどこにでも渡航するなら、その逆も実施されるべきだと受け入れなければなりません。そのようなことから、おそらく8月、9月頃には入国や旅行の制限がもっと緩和されるという兆しが現れるのではないかと思う」と、彼は述べた。

クラーク氏はまた、ドバイとサウジアラビアでビジネスの中心地を結ぶ利益の多い路線を、サウジアラビアが秋までに再開することを願っている。これらの路線はパンデミック警戒のため閉鎖されている。彼は10月にドバイで始まる2020年国際博覧会が航空会社の事業を「刺激」してくれることを期待している。

サウジアラビアの政策立案者がサウディア航空に加えて、第2の国際航空を計画していることについて、クラーク氏はこう助言した。

「こういったことはすべて、ビジネスを熟知している適切な人材がいなければなりません。当然、事を進めるために多額の資金が必要で、それに関しては国内で所有しているでしょう。できるなら、やや違ったビジネス・モデルで運営する、もう一つの航空会社が必要だと考えるなら、きっと何とかうまくやっていくことでしょう」と、彼は述べた。

エミレーツ航空はパンデミックによる都市封鎖の間、2カ月、全航空機の運航を停止し、財政的に困窮し、昨年の夏から一部を再開した。クラーク氏は「おそらく来年か再来年には」損失が出なくなるのではないかと予測する。もっとも、エミレーツ航空はすでに受け取っている31億ドルに加えて、ドバイ政府からの支援がさらに必要かどうかはまだはっきりしない。

「これは誰にも分かりません。多くは、6~9カ月間に何が起こるかにかかっています。資金燃焼は緩やかになっており、当面は資金的にきわどい状態というわけではありません。ドバイ政府はエミレーツ航空の経済的安定のため必要なことをしてくれると100%確信しています」と、彼は語った。

パンデミックによる経済的打撃は、エミレーツ航空とエティハド航空の合併の問題を再浮上させたが、これは「私の賃金等級をはるかに超えた」問題だとクラーク氏は述べた。両航空会社間での運行上や舞台裏の協力は増えるかと彼は考えるが、ドバイとアブダビの政府の間でやりとりを必要とするような本格的な合併は意味していなかった。

エアバスA380、ワイドボディ旅客機は、パンデミックが襲うからエミレーツ航空の拡大と収益に不可欠だったが、100機以上が昨年から離陸していない。この夏、何機かを運航に戻す計画があり、クラーク氏はこの航空機の長期的な未来に自信を持っている。

エミレーツ航空は新品のA380を2機受け取ったばかりで、もう3機が11月に到着する予定だが、ヨーロッパのこのメーカーは、もうこれ以上この航空機は建造しないと述べている。「だから、もちろんしかるべき時が来れば、引退させなければならないでしょうが、それまではこの航空機に手間をかけ、お金をかけ、磨き直して、このプロダクトを向上させ、さらに魅力的にするつもりです」と、彼は述べた。

35年エミレーツ航空に勤めているクラーク氏は、昨年引退するはずだったが、パンデミック対策で最高職に留まることに同意した。退職日が新たに決まっているのかについては、彼は発言を控えた。

「私には協力してくれる非常に多くの人たちがいて、これまで20年間、共に働いてきました。だからビジネスに関して、株主には選択や実行など多くの機会をもたらしてきました。全体の状況から見ると、私がここにいるかいないかは、あまり関係ないのです」と、彼は述べた。

社長職から退いた後は、顧問としての立場でこの航空会社に留まり、エミレーツ航空財団などの慈善活動に集中したいと、彼は付け加えた。しかし、彼は世界的な航空産業でまた大仕事をする可能性を排除はしなかった。

「頼まれてもやらない、とは言っていませんが、私はビジネス以外のことにどちらかというと関わりたいのです」と、クラーク氏は述べた。

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