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サウジアラビアのNEOMギガプロジェクトの潜在力を証明する3つのプロジェクト

異世界のようなバジダの赤い砂丘と奇岩はNEOMの荘厳な風景の一つになっている。(提供)
異世界のようなバジダの赤い砂丘と奇岩はNEOMの荘厳な風景の一つになっている。(提供)
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29 Oct 2021 05:10:41 GMT9
29 Oct 2021 05:10:41 GMT9
  • NEOMはデジタル接続、グリーン水素、クリエイティブアートなどのイノベーションにより未来ビジョンを提供する
  • NEOMは2017年のフューチャー・インベストメント・イニチアチブ(FII)フォーラムで初めて発表され、いま現実になりつつある

ワエル・マフディ、ラマ・アルハマウィ

リヤド:NEOMは2017年に開催されたFIIフォーラムでムハンマド・ビン・サルマン皇太子が語ったアイデアからスタートした。この野心的なプロジェクトは現実のものとなり、調和しつつ自然と結び付いたスマートテクノロジーのパワーを活用して人類のニーズに理想的に応える世界を示す未来ビジョンになっている。

紅海沿岸のタブーク州にあるスマートシティNEOMの開発事業者は、第一期事業は2024年までに観光客などの訪問者を受け入れる準備が整うことを発表した。だが、その目標の実現に向けた現地の実際の動きはどうなっているだろうか?

アラブニュースではNEOMの幹部3名にインタビューして、未来都市の投資と開発の現状や進捗状況について教えてもらった。

クラウドパーク

NEOMテック・デジタル・ホールディング・カンパニー(NEOM Tech and Digital Holding Company)のジョセフ・ブラッドリーCEOは、「100パーセント再生可能エネルギー、イノベーション、環境に優しい規制エコシステム」と、このプロジェクトについてアラブニュースに説明した。

「NEOMは人類の進歩を加速させる。一部の人間にとってではなく、全人類にとっての進歩だ。そのためには、接続を通じて私たちが「デジタルエア」と好んで呼ぶ環境を創り出したい。これはどこにいてもWi-Fiや何かに接続することに思い悩む必要がない環境を意味する」

究極的には、人間の居住地かどうかにかかわらずこの都市のあらゆる場所がカバーされて、デジタル接続がまったく問題にならないことを意味する。

ブラッドリー氏は「いま目にしているのはこの戦略の実施状況だ。光ファイバーを地中に埋め、5Gを地中に埋め、容量30テラビットのSub-Cを購入し、クラウドパークの構築を開始した」と語った。

ブラッドリー氏によると、5Gサービス用の光ファイバーの埋設は高コストなので、NEOMでは代わりに人工衛星で高稼働アプリケーションを提供するという。

グーグルやアマゾンなどのクラウドサービスを企業向けに提供するハイパースケーラーにも、収益拡大の巨大なチャンスがあるとも述べた。

「ある環境でクラウドサービスを展開すると、クラウドの普及率と経済成長にはほぼ1対1の相関が見られる」

これは転じてサウジアラビア王国の国内総生産を押し上げ、雇用もさらに増加する。

「私たちはNEOMの物理的な世界だけでなくデジタルの世界も構築しており、構築している者だけが実現の可能性を与えられる、両世界のきわめて独特な体験を創出しようとしている」とブラッドリー氏は述べた。

NEOMは2017年のFIIフォーラムで初めて発表され、いま現実になりつつある。(AFP)

グリーン水素

NEOMでは再生可能エネルギーで100パーセントの電力を供給することを目指しており、そのエネルギー源の一つがグリーン水素だ。既にNEOMは初のグリーン水素製造施設を開発に向けた、ACWAパワーおよびエアープロダクツとの合弁契約を締結している。

NEOMのエネルギー・水・食料部門マネージングディレクターのピーター・テリウム氏は、「事業パートナーの一つはACWAパワーで、2024年までにNEOMに電力を供給する」とアラブニュースに語った。

NEOMが地元で生産される再生可能エネルギーで全面的に電力供給を受けるようになるまでには、業界の準備や建物の用意などの進捗状況に応じた段階的な作業を通じて今後数年が見込まれる。

テリウム氏は「2千メガワットの電解槽容量を持つ世界初の大規模グリーン水素プラントがNEOMで建設中であることを誇りに思う。現行のプラントからは実に大きな飛躍だ」と述べた。

世界各地の同種のプラントのほとんどはおよそ100から150メガワットで稼働しているという。

「これはNEOMの目標だ。NEOMは触媒であり、フロントランナーだ。NEOMが先導して、方向性を示しており、サウジアラビアの多くの企業が喜んで後を追ってくるだろう」

NEOM初の国際映画

NEOMが長足の進歩を遂げているもう一つの分野はメディア戦略だ。メディア・クリエイティブ産業はスマートシティNEOMで展開される16部門の一つで、NEOMはコンテンツ制作の地域ハブを目指している。

プロジェクトのメディア・文化・エンターテインメント部門マネージングディレクターであるウェイン・ボルグ氏は、「ここNEOMでは、メディア産業を未来の産業と捉えている。メディア産業はアイデンティティを国内外に向けて発信する物語を紡ぐその能力を通して、社会の結束を促す」と語った。

NEOMの多様な景観と天然資源は、国内外の映画制作者に無限の可能性を与える。ボルグ氏は「このプロジェクトが技術主導型の理念を抱いているのは、映画やテレビからアニメ・ビデオゲームに至るメディアのあらゆる側面を提供するコンテンツ制作ハブを生み出せるということだ」と語った。

「その核となるのは、物語を紡ぎ、エンターテインメントを生み出すことだ。そのクリエイティブなコミュニティをまとめ上げ、物語を紡ぐ機会を提供することに注力していきたい」

NEOMにはこれらの制作を支援して促進するインフラと機能が備わっているとも述べた。

「現在、予算額約1億ドルの国際長編映画の撮影がNEOMで行われている。撮影現場には毎日400人か5000人がいる」とボルグ氏は明かしてくれた。

この映画はロケ地10カ所と多くの舞台装置で撮影されており、この地域では史上最大の映画制作だという。NEOMではこれまでに21本以上が制作されており、今年はスタジオインフラがオンライン化される予定で、2022年にはさらに10本の制作が契約済みだとボルグ氏は付け加えた。

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