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共通のビジョン、統合へのコミットメントが湾岸通商協定の根底に

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09 Dec 2021 09:12:15 GMT9
09 Dec 2021 09:12:15 GMT9
  • サウジの企業は、オマーンの企業との100億ドルに値する諸合意に署名した
  • サウジアラビアと同じくオマーンも、強力な財政基盤をもったポスト石油経済を築く戦略をかかげている

ワエル·マフディ

ドバイ:サウジアラビア·オマーン間の300億ドルに相当すると伝えられる新規の投資協定が署名されたことは、湾岸協力理事会(GCC)加盟国間の協力の強化にとって有益な進展であることは疑いない。しかし、まず頭に浮かぶ疑問は、なぜオマーンと?なぜ今?である。

地政学的見地からいうとサウジアラビアのこの動きは、同国が北のイラクから始まり今や東南のオマーンまで、同国より小さい近隣諸国を支援するために強い経済的影響力を利用するなか、重要なものである。

この地域の将来の社会的·政治的安定には経済的安定が必要であるということは、広く受け入れられている。サウジアラビアの近隣諸国の多くは、石油産出国であり、これらの諸国にとって他の産業や市場を活用するための経済の多様化に向かう道程は始まったばかりである。

投資は、これらの国々が石油から離れ他の分野でより多くの仕事を創出することを助けるために、効果的な方法であるとみられている。しかし、サウジアラビアの投資が長期的に有益な重要性ををもつためには、両国の国家としての目標、戦略的目標と合致するものでなければならない。

サウジアラビアと同様にオマーンも、オマーン·ビジョン2040として知られる独自の改革計画をもっている。これは、同国を、持続可能な財政的·経済的基盤をもった経済大国に変えることをめざしている。この大胆なビジョンを実現するためにオマーンが必要とするのは、経済を拡大するのに必要な金融資本を手に入れることである。

油井と貯蔵所が経年化するなか、オマーンの石油産業は現在の容量を維持するためには莫大な投資を必要とする。将来、石油は唯一の歳入源ではないということに、同国は明らかに気づいている。実際、同国の2021年の予算は石油1バレル当たり45ドルという微々たる額に基づいてたてられた。

オマーンがポスト石油の可能性を実現するのを支援するため、サウジアラビアの企業はオマーンの企業との多数の通商およびインフラストラクチュアにかかわる合意に署名した。これはオマーンに対する外国からの直接の投資を増加させるだけではなく、同国の経済の多様化を増進するものでもある。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪問の一環として、サウジとオマーンの企業は経済分野での共同事業に関連した13の覚書に署名した。(SPA)

とりわけエネルギー投資に目を向けると、最初の合意は、サウジアラビアが紅海西岸の新しいハイテク·スマートシティであるNEOMで行っていることの複製を伴っている。

オマーンのエネルギー供給会社OQグループは合意のうちの3つに署名した。最初の合意は、サウジアラビアのACWAパワーとエア·プロダクツとの石油化学、再生可能エネルギー、グリーン水素の分野における合意である。

この合意によってサウジアラビアはそのグリーン水素計画を国境をこえてオマーンにまで拡大し、これはGCC諸国からの水素供給量の全体を増加させることになる。

水素は、環境に有害な化石燃料からのエネルギー移行にとって、実行可能な候補である。NEOMが水素をヨーロッパ市場に輸送するのに適した場所にあるのに対し、オマーンは、水素を東南アジア、および東アジアの市場に供給するのに理想的な場所に位置している。

エネルギーに関する2つ目の合意は、石油の貯蔵に関連するもので、サウジアラムコとの間に成立した。3つ目はオマーンのドゥクムの石油化学コンプレックス·プロジェクトの開発に関連し、サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)との合意である。

サウジアラムコの戦略は、貯蔵場所をホルムズ海峡を越えて拡大するものである。狭い海峡を避けることによって、世界の石油価格に大混乱を引き起こす危険のある封鎖や海賊が輸送に与える脅威を減少させることになる。

SABICの合意に関していうと、クウェート·オマーン共同製油所が完成に近づく今、ドゥクムは一層の注目を集めている。この合意によってSABICはオマーンの製品を利用しつつ原料を利用するのが容易になる。この影響は、仕事の創出やドゥクムの新石油化学拠点、そして貴重な知識の譲渡などにみられることになろう。

オマーンのスルタンが、兄弟のような絆、良好な関係、建設的な協力のお礼に皇太子殿下にオマーン市民勲章一等を授与。(SPA)

これらの合意の恩恵を受けたのはエネルギー分野だけではない。オマーンの観光業も、新しい投資の殺到を期待できる。オムラン·グループはサウジのダル·アル·アルカン(Dar Al-Arkan)不動産開発会社と、オマーンのイエティ(Yetti)·ビーチの開発のための覚書に署名した。

オムランは、持続可能かつ伝統的な観光資産、ライフスタイルコミュニティと、経済成長を促し経済の多様化に貢献するよう計画された観光地を創りだすことで知られる。

オマーンを拠点とする物流グループのアシヤド(Asyad)は、サウジの輸送·物流会社サウジバーリとの合意に署名し、鉱業開発オマーンはサウジのマーデン·フォスフェイト社と鉱業分野での協力を進めるための合意に署名した。

タイミングについていうと、両国には将来のために投資する財力と意志がある。石油価格は高く、両国にその共通する国家ビジョンを支えるのに必要な資産を与えている。

すべてが計画通りにいけば、オマーンは2040年よりだいぶ前に国家目標を実現する道筋にあると言え、2030クラブの仲間入りができよう。

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