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フィスト・オブ・スチール:レバノン人鉄鋼グループ会長の日本進出への歩み

2019年4月の年次株主総会で、ペブスティールのパートナーである日本製鉄と岡谷鋼機の代表者と一緒に。(提供)
2019年4月の年次株主総会で、ペブスティールのパートナーである日本製鉄と岡谷鋼機の代表者と一緒に。(提供)
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22 Apr 2022 01:04:33 GMT9
22 Apr 2022 01:04:33 GMT9

ナダル・サモーリ

大阪:高層ビルが出現し、常時建設現場が周りに見られる中で、工期がコンクリート造りのほぼ半分で済む鉄骨造りは、建物を早く建てる方法とみなされるようになった。

鉄骨はコンクリートより軽いだけでなく、プレハブ式の鉄骨造りでは、他の建築方法が柱脚で固定式の連結手法をとるのに対して、「ピン連結」の手法をとる。

「日本で地震が多いからですが、日本人はコンクリート造りよりも鉄骨造りや木造の建築にこだわります。鉄骨や木はコンクリートより軽いのです。コンクリートによる被害は甚大になる恐れがあり、地震が起こった場合に、がれきの除去もたいへんです。鉄骨造りであれば、地震の際に建物が揺れるというメリットもあります。これは、崩壊の危険性が大幅に低減されることを意味します。また、万が一、鉄骨造りの建物が崩壊した場合に、がれきを簡単に除去して、スクラップとして売ることができます。オーナーにとっては損失を抑えられます」と、レバノン系カナダ人で、ペブスティールグループの共同創業者兼エグゼクティブ・チェアマンのサミ・クテイリー氏が語った。

同グループは、50カ国以上で6,000棟という、プレハブと鉄骨造りの建築施工実績を持つ。

中国、ベトナム、インドなどアジアの新興国の多くは、工業化と都市化が急速に進んでいるため、プレハブと鉄骨造りの建築市場が急成長している。27年前、ベトナムはアジアの眠れる虎であり、多くの人にはリスクに見えたが、クテイリー氏はベトナムを通じてアジアに飛び込んでいった。

アジア市場でのビジネスに挑むクテイリー氏の情熱的なアプローチは最終的に、設計基準と技術要件が厳格であることで有名な日本に至ることになった。その後、日本の大手上場企業である日本製鉄と岡谷鋼機の2社が株主として参画した。

クテイリー氏は、「12年間に及ぶ日本とのパートナー関係は、争いがいっさいなく蜜月が続いています。2009年に日本のパートナーが株式を所得して以来、当社は毎年、利益と配当の実績を積み重ねています。両パートナーは、当社の誠実さと透明性に好感を抱いたのですが、この2つの価値観は日本人が高く評価するものです」と述べた。

「日本人は長期的な思考を行い、短期的な関係や早急な利益には関心がありません」と、クテイリー氏は自身の考えをアラブニュースに明かしてくれた。そして、「日本人は新たな関係の構築に時間をかけますが、いったん関係が構築されるとそれは一生の関係になります」と付け加えた。

「日本人は顧客、パートナー、サプライヤーを大事にします。これこそ、2015年に製造ビジネスをベトナムからミャンマーに拡大することを決定した際に、工場の拠点として日本人が所有、管理するティラワ工業団地を選択した理由です。こういうことがありました。土地の頭金として100万ドルを送金したのですが、銀行のシステム内で2週間以上資金の行方が不明になりました。しかし、送金先も銀行も日本人だったので、何も心配しませんでした」

富士山を背景に日本のパートナーと記念撮影するサミ・クテイリー氏(左から2人目)

1994年にベトナムで事業を始めたとき、ペブスティールは、「今買って2年後に支払う」というフォーフェイティングを顧客が選択できるようにした。

「1994年当時のベトナムの評判はひどかったので、これは常軌を逸したアイデアのように思えたことでしょう。多くの国際銀行が『ベトナムはまだ戦争中か?』とか、特定の顧客について『南出身か、それとも北か?』と尋ねてくる状況でした。実際には戦争は1975年に終わり、その翌年に社会主義共和国として統一されていたのですが」

2019年、クテイリー氏は既に成功の絶頂にあったが、ベイルート・アメリカン大学のエグゼクティブMBAプログラムに入学した。

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