Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • ビジネス
  • サウジアラビアの鉱業を支える鍵となるのは、持続可能性とスピード

サウジアラビアの鉱業を支える鍵となるのは、持続可能性とスピード

大臣、業界専門家、シンクタンクの代表者が集まり、重要な持続可能性という要素を含むこの分野の課題への取り組み方について議論した。(SPA)
大臣、業界専門家、シンクタンクの代表者が集まり、重要な持続可能性という要素を含むこの分野の課題への取り組み方について議論した。(SPA)
Short Url:
16 Jan 2023 03:01:44 GMT9
16 Jan 2023 03:01:44 GMT9
  • サウジアラビアは、特に鉱業分野において、多くの機会を生み出すことに成功した

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が2016年にビジョン2030計画を発表したとき、懐疑的な人々は、何十年も石油に依存してきた国がどうやって経済の多角化に成功するのかと疑問視していた。

そして7年経った今、サウジアラビアは多くの機会を生み出すことに成功し、特に鉱業分野はサウジアラビアの成長拠点のひとつであることが証明された。

この精神に基づき、1月12日にリヤドで閉幕した未来鉱物フォーラム(FMF)では、鉱業分野におけるサウジアラビアの野心と、鉱物資源探査産業が国の経済の第3の柱となりつつある様子が紹介された。

大臣、業界専門家、シンクタンクの代表者が集まり、重要な持続可能性という要素を含むこの分野の課題への取り組み方について議論した。

サウジアラビアにより多くの投資をもたらす国際的な参加

世界各地から200名を超える講演者が参加したことによって、サウジアラビアが正しい方向に向かっていることが示された。特に、新しい鉱業法によって鉱業ライセンスの手続きが緩和され、サウジアラビアのビジネス環境が改善されたことが大きかった。

ジョンズ・ホプキンズ大学の非常勤講師であり、リサーチおよびイスラム研究のキング・ファイサル・センター(KFCRIS)エネルギー・環境安全保障の上級アソシエイト・フェローであるポール・サリヴァン氏はアラブニュースに対して、前例のない国際的な参加のもとにフォーラムが終了したことにより、サウジアラビアの鉱業分野への投資が促進することが期待されると語った。

「未来鉱物フォーラムは、サウジアラビアの鉱業への投資を拡大させる起爆剤となる可能性があります。願わくば、サウジアラビア国内でより効果的な法律や規制の仕組みを作る手助けになるかもしれません。しかし、そのようなことには時間がかかります。サウジアラビアは鉱業において多くの可能性を秘めています」とサリヴァン氏は述べている。

フォーラム2日目の1月11日、サウジアラビアのハーリド・アル・ファーレフ投資大臣は、鉱業分野に参入する企業にとってサウジアラビアがいかに完璧な目的地になりつつあるかについて語った。

「サウジアラビアには、鉱業分野に必要なものがすべて揃っています。サウジアラビアにはエネルギーの解決策があり、場所があり、資金があり、そして世界でも最高レベルに規制されています」とアル・ファーレフ氏は述べている。 

未来鉱物フォーラム2023では、サウジアラビアの国営鉱山会社であるマーデンが、サウジアラビア公的投資基金と、世界規模の鉱業に投資する契約を締結した。(SPA)

サウジアラビアの鉱業に対する意欲が国際的に高まっていることを強調するかのように、未来鉱物フォーラムでは、サウジアラビアの国営鉱山会社であるマーデンが、サウジアラビア公的投資基金と、世界規模の鉱業に投資する契約を締結した。

アラビア湾岸地域で最大の鉱山会社であるマーデンはさらに、米国の鉱物探査開発会社であるアイヴァンホー・エレクトリックの株式の9.9%を取得し、アイヴァンホーと別の合弁会社を設立して、サウジアラビアでの鉱山プロジェクトの探査と開発を行う契約を締結したことを発表した。

マーデンは、カナダのバリック・ゴールドの子会社であるバリック・ゴールド・リミテッドと別のパートナーシップ契約を締結した。この契約に基づき、ウンム・アド・ダマルに新たな有限責任会社が設立され、サウジアラビアでの鉱物探査活動が加速されることになる。

鉱業分野の持続可能性

グリーンエネルギーへのスムーズな移行には重要鉱物が必要だが、採掘による環境への影響も懸念されている。

サリヴァン氏はアラブニュースに対して、「サウジアラビアは鉱業だけでなく、さまざまな面でより持続可能でクリーンな国になることができます。環境と持続可能性に関する法規制は重要です。企業活動や採掘は、そうした規制がなければ、水や土地、大気の汚染など、大きな外部性の源となります」と語った。

「サウジアラビアは、汚染などの外部性を最小限に抑える鉱業の成功と成長から、もっとも恩恵を受けることができます。それは良い宣伝効果をもたらし、そしてサウジアラビアの人々やその未来にとって良いことなのです」とサリヴァン氏は付け加えた。

サリヴァン氏はさらに、鉱業の法規制は一般市民の利益を守るような形で実施されるべきであると指摘した。

「いくつかの複雑なバランスを考慮する必要があります。規制や法律を策定する際には、サウジアラビアの人々、その指導者、そして未来のサウジアラビア人のニーズも反映する必要がありますが、将来的にサウジアラビアの富が増加するよう、持続可能で長期的かつ効果的な採掘を可能にする企業のニーズも反映する必要があります」とサリヴァン氏は付け加えた。

フォーラムでは、業界のリーダーや幹部が持続可能性の重要性について議論した。オーストラリアに本社がある鉱山会社BHPのCEOであるマイク・ヘンリー氏は、現在のペースで世界が動いていては需要の高まりに対応できないため、今後30年間でエネルギー移行目標を達成するには重要鉱物の探査を加速する必要があると述べた。

「今後30年間でエネルギー移行のニーズを満たすには、世界中で過去30年間に必要とされた量の2倍の銅、4倍のニッケル、2倍の鉄鋼、2倍の鉄鉱石が必要になるでしょう」とヘンリー氏は付け加えた。

別のパネルディスカッションでは、サウジアラビアの国家産業開発物流プログラムのCEOであるスリマン・アル・マズルア氏が、サウジアラビアはエネルギー移行を促進するために採掘作業を加速させようとしているだけでなく、鉱業分野における持続可能な操業を確保するための革新的な実践にも取り組んでいるのだと述べた。

「サウジアラビアは、需要と供給の両サイドに位置しています。私たちは持続可能性を実現するためにイノベーションの面で貢献し、また、より多くの金属を世界に提供しています」とアル・マズルア氏は述べている。

前進とその先

フォーラムでは、鉱業界のあり方を変えるような革新的なアイデアの共有も行われた。

パネルディスカッションでは、海水淡水化公団の理事長であるアブドラ・イブラヒム・アル・アブドル・カリム氏が、世界はエネルギーの移行、デジタル化、気候変動の時代の急速な変化を目の当たりにしているため、鉱業は今後、構造を変えていく必要があるだろうと述べた。

アル・アブドル・カリム氏はさらに、新しい鉱山会社は「科学とリエンジニアリングと経済ベースの構造」を備えていれば、海水から豊富な資源を見つけることができるだろうと指摘した。

「塩水から貴重な塩や鉱物を抽出する方法を見つけ出すことで、将来の需要を確保することができるのです」とアル・アブドル・カリム氏は付け加えた。

サウジアラビアの鉱業分野は加速的な成長を続けているが、その推進に携わる人々は、スピードは持続可能性を犠牲にするものではないということをはっきり示してくれるだろう。

特に人気
オススメ

return to top