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サウジアラビア、中東のエネルギー大転換をリード

2月4日から9日にかけて開催される国際エネルギー経済学会(IAEE)第44回国際会議のホスト国として、リヤドは今や万全の準備を整えており、期間中に中東地域が目の当たりにするであろう進歩に全世界が期待を寄せている。
2月4日から9日にかけて開催される国際エネルギー経済学会(IAEE)第44回国際会議のホスト国として、リヤドは今や万全の準備を整えており、期間中に中東地域が目の当たりにするであろう進歩に全世界が期待を寄せている。
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02 Feb 2023 09:02:58 GMT9
02 Feb 2023 09:02:58 GMT9
  • サウジアラビアが主導権を握って中東地域全体のグリーンジャーニーに大変革を起こしている

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:人類の歴史上、エネルギー安全保障の必要性がこれほどまでに危機的になったことはない。政治的緊張感が高まる中、エネルギーの多様化計画と持続可能性構想は現在、世界的議題の重要な一部であり、規定期限内にネットゼロ目標を達成するため各国は力を尽くしている。

世界の国々がゼロエミッション目標を達成する努力を続ける中で、数十年間にわたって石油に依存してきたサウジアラビアは、中東地域におけるエネルギー大転換ミッションで先を行く。

サウジ・グリーン・イニシアチブと、より広い中東グリーン・イニシアチブは、中東地域におけるグリーンジャーニー全体に大変革を起こしている。昨年10月にリヤドで開かれた国際投資会議「第6回未来投資イニシアチブ」において、140万トンのカーボンクレジットを競売で売ったパブリック・インベストメント・ファンドのRegional Voluntary Carbon Market Co.は、サウジと中東のイニシアチブに十分な援助をしている。

2月4日から9日にかけて開催される国際エネルギー経済学会(IAEE)第44回国際会議のホスト国として、リヤドは今や万全の準備を整えており、期間中に中東地域が目の当たりにするであろう進歩に全世界が期待を寄せている。

サウジアラビアは、ビジョン2030で概要を述べられた目標に沿って、優れたエネルギー効率とエネルギーレジリエンスを着実に進歩させている、とジョンズ・ホプキンズ大学講師兼King Faisal Center for Research and Islamic Studiesエネルギー・環境安全保障シニア・アソシエイト・フェローのポール・サリバン氏はアラブニュースに語った。

「サウジアラビアはビジョン2030とサウジ・グリーン・イニシアチブに則った発展をしており、とりわけ中東グリーン・イニシアチブを率いています。サウジアラビアはソーラーエネルギーと共に進歩し、多くの色の水素に大いに影響力を増していくでしょうし、原子力エネルギー計画をさらに発展させ始める可能性も高いです」とサリバン氏。

スムーズなエネルギー大転換を確実なものとするために、サウジアラビアは重要な役割を果たしている、とマッキンゼー・アンド・カンパニーのJoe Rahiパートナーはアラブニュースに語った。

「サウジアラビアは世界の石油輸出シェア第1位を占め、クリーンで信頼できて手頃な価格のエネルギーを輸出する主要な国となる可能性を秘めている」とRahi氏は言う。

さらには、サウジアラビアはブルー水素を製造できる天然ガスだけではなく、グリーン水素分野を発達させる太陽光資源と土地の両方が手に入る稀有な国だと指摘した。

一方、サウジアラビアのACWA Powerとパートナー団体は、NEOMにおける世界最大のグリーン水素プロジェクトでの建設工事を完成させるため、着々と作業を進めている。

NEOMのナドミ・アル・ナスルCEOは2022年、グリーン水素の第一段階は2025年に稼働開始予定であると述べていた。総工費5000億ドルのメガシティの電力は全てクリーンエネルギーで賄われることになっており、その広さは10,000平方マイル(25,899平方キロ)、ニューヨーク市の陸地面積の33倍に広がる予定だ。

中東・北アフリカ地域において、共同出資・研究プログラム・研修・教育を発展させれば、サウジアラビアはエネルギー大転換のリーダーになれる素質がある、とサリバン氏はさらに述べた。

「実は中東地域も世界も小さいのです。対抗し合うのではなく協力し合うことから多くのことが学べます。資金提供だけでは不十分です。大転換のあらゆる側面において、そして大転換がエネルギー・水・食料・安全保障・経済の関係に及ぼす影響下において、地域全体が前進する必要があります」

サウジアラビアは、低炭素エネルギーを発展・製造・規模拡大でき、エネルギー大転換目標を達成できる、国を代表する企業をいくつも生み出すべきだとRahi氏は指摘する。

Rahi氏によると、低炭素水素・低炭素アンモニアに加えて、二酸化炭素回収・有効利用・貯留技術の供給を拡大するための投資を、中東諸国は促進できるだろうとのことだ。

「中東地域は手付かずの大きな能力を秘めていて、その理由はこの地域の堆積盆地の地理的特徴が、炭素貯蔵の世界的中心地になれる可能性を持っているからです」

さらに「ステークホルダーは、補助的インフラのアップグレードを含む、再生可能エネルギーの発展を加速させられるかもしれません。インセンティブにより建物・産業・運輸セクターでの電化・エネルギー効率を加速させられるかもしれません」

Rahi氏はまた、中東地域におけるエネルギー大転換は、イノベーションの機会を生み出していて、その中にはクリーンテクノロジーのスタートアップ・エコシステムも含まれていると言う。

サリバン氏が言及したのは、産業界を率いる専門家による意見を繰り返し述べつつ、持続可能なやり方でのエネルギー大転換は短期間で叶うものではなく、環境保護の目標を実現するには時間を要するという点だ。

「大きな転換にはいつだって時間がかかります。エネルギー大転換も全く同じです。平和・繁栄・エネルギー安全保障・気候安全保障が手に入るように、それぞれの場所でタイミングを測って発展させなければならないのです」

「あまりにも早く推し進めすぎると、深刻なエネルギー不安・経済的不安定がもたらされる可能性があります。あまりにも大きく遅らせすぎることを許してしまうと、世界気候・中東地域の気候が著しい損害を受けてしまうかもしれません。過激主義はエネルギー大転換の敵で、概して社会の敵であることによく似ています」ともサリバン氏は言った。

Rahi氏の意見では、お手頃な価格の従来型エネルギーは、特に発展途上国において社会経済的成長を確実なものとするためにいまだ必要とされている。そして、水素やソーラーエネルギーなどの低炭素・再生可能エネルギーは、成長を続けるエネルギーシステムにおける益々重要な役割を引き続き果たしていくことになるだろう。

「再生可能エネルギーの大規模展開に移行するためには、国は送電網の安定化とグリッドストレージにも投資しなければならないでしょう。供給の信頼性を保証し、既存システムに再生可能エネルギーを統合するためです」

サウジアラビアが持続可能性への旅路を歩む中、IAEE国際会議などの行事はエネルギー大転換の速度を促進させられるかもしれず、最終的には人類のために世界を緑豊かで美しいものにしてくれるだろう。

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