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ラマダン月の電子商取引急増によりサウジアラビアの起業環境が活性化

調査回答者の約半数が贈り物の選択肢としてお菓子やデーツ、チョコレートを上位に挙げ、その次に42%が現金、続いて38%が玩具やゲームと答えた。(SPA)
調査回答者の約半数が贈り物の選択肢としてお菓子やデーツ、チョコレートを上位に挙げ、その次に42%が現金、続いて38%が玩具やゲームと答えた。(SPA)
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24 Apr 2023 03:04:55 GMT9
24 Apr 2023 03:04:55 GMT9

ファリダ・エル・ガザル

リヤド:お返しの習慣に牽引されて、聖なるラマダン月の電子商取引が激増し、サウジアラビアの起業環境に素晴らしい発展の可能性がもたらされた。

サウジアラビア国民は、世界的な物価上昇や国際的な経済不安定にも関わらず、2023年のラマダン月には昨年の同月よりも多くの支出をすると期待されていた。オンライン購入はその最前線だった。

サウジアラビアのスタートアップ企業や中小企業は、このトレンドをしっかりと掴み、オンライン取引への移行を果たし、 ソーシャルメディアなどのツールを導入することで、売上を伸ばし、事業範囲を拡大している。

ラマダン由来の支出はサウジアラビアの電子商取引の急成長や効率的なビジネス構造、さらにはビジョン2030の目標達成への着実な取り組みによって勢いづけられている。

ラマダン中の動向

市場調査と消費者動向分析の第一人者的な企業であるトルナが行った調査によると、2023年のラマダンでは、サウジアラビア市場の消費者のショッピング志向は、2022年同期との比較において、すべてのセクターで44%増加するという。

サウジ国民は、娯楽に44%増、食料品の購入に51%増、旅行に35%増の支出を行う見込みである。

今年は、消費者のショッピング志向においても、いわゆるステイケーションで42%増、フードデリバリーで39%増、美容施術で31%増となっている。

調査回答者の約91%がイードの贈り物をする計画あり、46%が2023年には昨年よりもイードの贈り物に多額を費やす意向である。

調査回答者の約半数が贈り物の選択肢としてお菓子やデーツ、チョコレートを上位に挙げ、その次に42%が現金、続いて38%が玩具やゲームと答えた。

「支出の計画が拡大し、消費者は食品や衣服、大切な人たちへの贈り物関連の購入を優先していることが明らかとなりました」と、トルナMEAのエンタープライズ アカウントの責任者であるジョージ・アカウイ氏は述べた。

さらには、グーグルが大手市場調査会社のカンターと共同発表した報告書によると、サウジアラビアの買い物客はラマダン月に独特な購買行動を示すという。

スタートアップ企業や中小企業は、これら従来型のビジネスを精査し、いずれの製品やサービスが効果的かつ効率的にオンラインで提供可能かを把握しようとしている。

グローバル・アントレプレナーシップ・ネットワーク、ジェフ・ホフマン会長

同報告書では、新発売の製品や最新のサービスへの憧れがラマダーン期間中のショッピングの最大の契機となっていることも明らかとなった。

また、自分へのご褒美として、そして、多様性の受容のために何らかの商品を購入したいと考える傾向も示された。

スタートアップ企業や中小企業の活用

消費者需要の激増を効果的に活用するために、サウジアラビア企業は聖なるラマダーン月の文化を取り込み、ECシフトの波に乗り、ソーシャル・メディア・プラットフォームを利用する必要がある。

ラマダーン期間中の買い物客の購入活動を精査しビジネス戦略に取り込むことも、市場における新興企業の足場固めに有効である。

各ブランドがラマダーンの文化的重要性を包括的に理解し、市場での活動をその理解に従って調整することが最重要だとトルナMEAのアカウイ氏は指摘した。

ソーシャル・メディア・プラットフォームの利用はサウジアラビアにおいて増加し続けておりMENA地域ではさらに広範に活用されているため、特にソーシャル・メディアに焦点を置いたスタートアップ企業や中小企業は素晴らしい機会を獲得できる可能性が非常に高い。

ターガー共同創設者兼 CEOのモハメド・エルホリシー氏

ラマダンの精神に沿った割引やプロモーション、コンテンツは顧客を一層深いレベルで引き付け、ブランドを地域社会に根付かせることに繋がると、トルナMEAのアカウイ氏は述べた。

「ソーシャル・メディア・プラットフォームの利用はサウジアラビアにおいて増加し続けておりMENA地域ではさらに広範に活用されているため、特にソーシャル・メディアに焦点を置いたスタートアップ企業や中小企業は素晴らしい機会を獲得できる可能性が非常に高いです」と、ターガー共同創設者兼 CEOのモハメド・エルホリシー氏はアラブニュースに語った。

さらに、グローバル・アントレプレナーシップ・ネットワークのジェフ・ホフマン会長は、ますます多くの起業家やスタートアップ企業が数多くの従来型のオフライン事業を電子商取引事業やデジタル店舗に転換していることを明らかにした。

「スタートアップ企業や中小企業は、これら従来型のビジネスを精査し、いずれの製品やサービスが効果的かつ効率的にオンラインで提供可能かを把握しようとしています。そうした企業は、また、ソーシャル・メディアや他の新しいデジタル・マーケティングのテクニックを用いて中小企業のリーチや顧客ベースをこれまでの範囲を超えて伸長拡大させようとしています。こうしたトレンドがサウジアラビアでの中小企業の急成長を実現することになるでしょう」と、ホフマン会長はアラブニュースに語った。

ラマダンの持つ恩返しの期間という特質もあり、サウジアラビア市場はこの聖なる月に参入を図る新進企業に対して門戸を開くというわけである。

ホフマン会長は、誰もが他者に提供できる商品やサービスを積極的に探しており、それが今後のスタートアップ企業にとっての原動力となると指摘した。

「市場に新規参入する商品は、購入することで、それを持っていない大切な人に嬉しいサプライズを与える機会を買い物客に提供します。そうしたこともあり、ラマダンは新しいスタートアップ企業がサウジアラビア市場に対して自己紹介を行う良い時季なのです」と、ホフマン会長は語った。

Arabic Young happy couple with shopping bags in the city.

とは言うものの、聖なるラマダン月にビジネスで最大限の成功を収めるためには、販売する商品のタイプを熟慮し、適切なメッセージ性を付与し、頑強なビジネスソリューションを確立しておくことが重要だとターガーの共同創設者兼 CEOであるエルホリシー氏は説いた。

3千万人のソーシャル・メディア利用者を擁するサウジアラビアでは、販売やマーケティングのツールとしてソーシャルメディアを活用することが起業環境にとって素晴らしい拡大の機会へと繋がる。

「サウジアラビアの起業家は、国内や中東地域に留まらないMENA地域や世界での顧客の増加のための販売チャンネルとしてソーシャルメディアが提供する便益性を未だ十全に活かしきっていません」と、ホフマン会長は語った。

成長を促進するサウジアラビア

2016年にサウジアラビアのビジョン2030計画が開始されて以来、同国の経済はビジネス環境を変化させ、とりわけ中小企業部門を成長の原動力に転換してきた。

特に2022年の中小企業の増加は驚異的で、サウジアラビア国内での登録中小企業数は同年6月末の時点で892,063社に達した。2021年の第4四半期から実に25.6%の増加である。

モンシャアットとして知られるサウジアラビアの中小企業総合庁は、中小企業の市場での発展と繁栄のために、ビジネスインキュベーターやシードアクセラレーター、コワーキングスペースといった起業プラットフォームを中小企業に提供している。

中小企業総合庁は、政府機関が徴収した手数料の払い戻しや、中小企業と急成長中のユニコーン企業向けの直接的間接的融資プログラムも促進している。

サウジアラビアでは現況中小企業の45%において女性が代表を務めており、同国はジェンダーギャップの解消に成功していると、モンシャアットは中小企業モニターというタイトルの報告書の中で明らかにした。

同報告書によると、2022年前半の規制改革が女性起業家数の増加において重要な役割を果たしたという。女性起業家の大半は、食品や卸売、小売、健康、専門性の高い業種、支援サービスの企業の経営を行っていることを中小企業モニターは示した。

サウジアラビア政府は、一連の新たな法規や改革、資金援助により、起業家のための安定した支援体制を構築し、起業家が市場において成功を獲得する可能性をさらに高めたのである。

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