
ドバイ:2024年のオリンピックに向けてトレーニング中のパレスチナ人スイマー、ヤザン・アル・バウワブには使命がある。イスラエルのガザ砲撃に苦しむパレスチナ人の代表として、国際舞台で大活躍したいのだ。
7月26日にパリで開幕するこのオリンピックは、おそらく彼が東京で出場した2021年の前回大会よりも重要だと彼は言う。
「パレスチナの選手として、私たちは旗を掲げ、私たちがここにいることを人々に示すためにここにいる。たとえ困難に直面したとしても、私たちはそこにいて、パレスチナの人々を代表する」と彼は言った。
ガザに住む230万人のパレスチナ人は、悲惨な状況に耐えているため、あらゆる援助を必要としている。
イスラエルによるガザへの攻撃で、3万7000人以上が死亡し、ガザ地区の大部分が瓦礫と化した。
パレスチナ難民の子としてサウジアラビアに生まれた24歳のバウワブは、自分だけの夢ではない夢を追いかけている。
「父の夢は、泳ぎ方を学んで水泳選手になることでした」と、アル・バウワブは、彼がトレーニングを行い、家具工場を経営しているドバイでロイターに語った。
しかし、父親のラシャド・アル・バウワブは18歳でパレスチナ自治区を離れたため、その夢を実現することはできなかった。
「私はヤザンに水泳をやらせたかった。水泳は大好きだったし、美しいスポーツだから」とアル・バウワブの父は言う。
彼の父親は、今度のパリ大会は息子にとってパレスチナの大義に貢献する機会だと語った。
「しかし、もっと重要なことは、彼が抑圧された人々の代表であり、その権利が抑圧されているということです」と父のラシャドは言った。
ほぼ絶え間なく続く砲撃もさることながら、ガザのパレスチナ人は、食糧、燃料、医薬品の深刻な不足という人道的危機に苦しんでいる。彼らの家の多くは破壊されている。
アル・バウワブはパレスチナ自治区の外で生まれ育った。しかし、彼は言う。”私はパレスチナ人であり、パレスチナは私の心の中にあり、私のすべての考えの中にある”。
ドバイでは、アル・バウワブは一人で、そして2012年のロンドンオリンピックと2016年のリオオリンピックにパレスチナ代表として出場した、引退したパレスチナのオリンピック水泳選手アーメド・ゲブレルと一緒にトレーニングをしている。
ゲブレルは”彼はトップレベルにあり、最高の形で我々を代表してくれると確信している”。と言う。
アル・バウワブは来週オランダのオリンピック・トレーニングキャンプに参加し、その後フランスに向かう。大会に向け、彼が集中するのはトレーニング、食事、睡眠の3つだ。
「インシャッラー(神の思し召しにより)、私たちは何かを勝ち取り、国と国民に誇りを与えるでしょう」と彼は言う。
「パレスチナ人は強いということを人々に示したい。チャンスを与えられたら、それをつかみたい」
ロイター