東京:東京の国立競技場では、「まるで耳鳴りがするような」観客の歓声が、パンデミックに見舞われたオリンピックの4年後、日本のホームである世界陸上選手権での低調なパフォーマンスを埋め合わせた。
ホスト国である日本が最終日に獲得したメダルは、競歩の男女銅メダルの2つだけだった。
日本は大会に華を添えるとは期待されていなかったが、地味なパフォーマンスでグレナダやラトビアなどに次ぐメダルランキング36位となった。
憂鬱な気分を和らげてくれたのは、スタジアムの雰囲気だ。ほとんどが完売となった観客は、新型コロナによって東京オリンピックが無観客で行われた後、失われた時間を取り戻そうとしている。
日曜日の決勝進出を決めた日本男子4×100mリレーチームのメンバーである栁田 大輝は、6万人近い絶叫するファンの前で走るのは「衝撃的」だと語った。
地震のような」騒音
「スタジアムの騒音はまるで地震のようで、耳鳴りがするようだとみんな言ってきた」
「走っているときにあの音が聞こえるのはとても気持ちよかったし、そのおかげで自分以上のパフォーマンスをすることができた」
パンデミックのために1年延期された東京オリンピックとは、これ以上ないほど雰囲気が違っていた。
スウェーデンの棒高跳び選手、アルマン・”モンド”・デュプランティスは、幽霊のように空っぽになったスタンドが競技に「黙示録的」な雰囲気を与えたと語り、アメリカのスプリンター、ノア・ライルズは、「自分の考えが壁に反響して」聞こえてきたと語った。
世界選手権ではそのような問題はなく、主催者は土曜日、大会最終日に向けて50万人以上の観客動員数を発表した。
しかし、スタンドの盛り上がりは健全なものであったが、トラックでの日本のパフォーマンスには不満が残るものであった。
女子やり投げの五輪・世界チャンピオンの北口 榛花は、開催国のメダル候補だったが、決勝には進めなかった。
肘の故障のため、世界選手権までの2大会にしか出場できなかった27歳は、60.38メートルのベストスローで予選14位となった。
「ランアップの感触はとても良かったのですが、技術的にすべてをうまくまとめることができませんでした」と北口は涙ながらに語った。
「久しぶりに投げ急いでしまった」
ハードルと涙
村武ラシッドは、パリオリンピックの110mハードル決勝で5位に入賞し、トラックでは日本のメダル最有力候補と見られていた。
23歳の村竹は、初出場での歓声は「想像以上だった」と語り、予選を3番手で通過したときのキレは抜群だった。
村竹はパリ大会と同じ5位入賞を果たしたのだ。
レース後、テレビのインタビューに応じた村竹は、涙を流しながら絶句していた。
「どこで失敗したんだろう?何がいけなかったんだろう?」
「パリ五輪から1年間、メダルを取るために一生懸命練習してきた。みんなと祝いたかった」
村竹は期待に応えられなかったかもしれないが、彼の人懐っこい性格とアニメにインスパイアされたポーズは、日本国民の想像力をかき立てた。
今大会では、男子35kmで銅メダルを獲得した勝木勇人、女子20kmで銅メダルを獲得した藤井菜々子も表彰された。
やり投げの北口は、今大会はトラック上ではともかく、トラック外では日本にとって成功だったと考えている。
「決勝に進めなかったからといって、私の人生が終わったとは思っていません」
「日本で観客でいっぱいのスタジアムを見ることができて、とても幸せでした」
AFP