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日本はどのように電子廃棄物をリサイクルしてオリンピックメダルを作ったのか

東京2020オリンピックのメダルは電子廃棄物のリサイクルで作られ、ハイテクだが環境に優しいイベントを約束している。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは電子廃棄物のリサイクルで作られ、ハイテクだが環境に優しいイベントを約束している。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは電子廃棄物のリサイクルで作られ、ハイテクだが環境に優しいイベントを約束している。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは電子廃棄物のリサイクルで作られ、ハイテクだが環境に優しいイベントを約束している。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020オリンピックのメダルは2019年7月24日、東京で開催された大会開始1年前の記念式典でお披露目された。(AFP通信)
東京2020メダルプロジェクトの一環として、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が東京都庁に設置した箱に使い古した携帯電話を入れる女性。(AFP通信)
東京2020メダルプロジェクトの一環として、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が東京都庁に設置した箱に使い古した携帯電話を入れる女性。(AFP通信)
東京2020オリンピックメダル作成中の仕分け作業。(AFP通信)
東京2020オリンピックメダル作成中の仕分け作業。(AFP通信)
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07 Sep 2020 07:09:46 GMT9
07 Sep 2020 07:09:46 GMT9

Carla Chahrour

東京2020オリンピックのメダルは、電子廃棄物をリサイクルして作られる。全国の一般市民から寄付された不要なスマートフォンや家電製品、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、ノートパソコンなどがリサイクルされる。

従来、オリンピック開催都市はメダルの製造に必要な金属を鉱業会社から入手していた。しかし、日本は独自の鉱物資源に乏しい。オリンピック公式ウェブサイトのプレスリリースによると、使われなくなった電子機器から最大8トンの金属を回収し、オリンピックとパラリンピックのメダル5,000個を作ることで、持続可能な未来をテーマにしている。

東京2020スポーツディレクターの室伏広治氏は記者会見で、「地球の資源には限りがあります。資源をリサイクルして新たな用途で再利用することは、環境について考えるきっかけになります」と述べている。

この取り組みはオリンピックでは初めてのもので、世界的な「E-waste(電気電子機器廃棄物)」危機に対応するためのものだ。2016年にオリンピック組織委員会のメンバーが提唱し、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」と名付けられている。E-waste危機とは、パソコンや携帯電話、各種電気・電子機器などのバッテリーや電源プラグが付いた製品が、使用者にとって価値がなくなったり、本来の目的を果たさなくなったりして廃棄されていることを指す。 

この動きはまた、持続可能性を促進し、コストを節約するための努力の一環でもある。イベントの予算は、2013年に東京がオリンピック招致に成功したときに表明していた73億ドルの約2倍に達する126億ドルに膨らんでいる。

東京2020スポーツディレクターの室伏広治氏は記者会見で、「日本の人々がメダルの製造に参加できるプロジェクトは本当にいいことです。地球の資源には限りがあります。資源をリサイクルして新たな用途で再利用することは、環境について考えるきっかけになります」と述べている。

ロイター通信の記事で、2004年アテネオリンピックのハンマー投げの金メダリストである室伏広治氏は、「選手の首にかけるメダルの制作に日本中の人が参加できるプロジェクトは本当に良いことです」と言っている。

「自分が寄付したものがメダル作りの一部になるかもしれないと思えば、子どもたちにとって非常に大きな思い出になるでしょう」と、室伏氏は付け加えた。 

組織委員会によると、2017年4月から2019年3月にかけての2年間で、全国の一般市民によって寄付された使われていない電子機器が、来年授与されるすべてのメダルを製造するために必要な金、銀、銅を抽出できるだけの十分な量に達した。同時に、電子機器を寄付した人がオリンピックに直接関わっている感覚を得ることにより、イベントの形成に人々を関与させるている。

 

組織委員会は、全国の郵便局や街角に特徴的な黄色い回収ボックスを設置して寄付を促した。また、環境事業者の日本環境衛生センターと協力した通信事業者のNTTドコモの店舗にも回収ボックスを設置した。

東京2020オリンピック組織委員会は、オリンピック公式ウェブサイトでプレスリリースを発表し、日本の9割の自治体による協力を得て、合計で約78,985トンの廃品電子機器を回収、また全国のNTTドコモショップで携帯電話621万台を回収した、とした。これにより、組織委員会は、2019年3月31日の回収期間終了までにメダル作成に必要な金32kg、銀3,500kg、銅2,200kgを集めた、としている。

その後、全国の人々から寄付された電子機器は、認定された業者に引き渡され、電子廃棄物の不純物を分解・分別し、製錬業者がメダルの製造に使用される金、銀、銅を抽出できるようにした。

国連の地域E-wasteモニターの報告書によると、日本は、2014年のE-wasteの絶対量が220万トンに達し、アジアで最も電子廃棄物の発生量が多い国のトップ3に入っている。

2011年だけでも、日本では3,639万台の携帯電話が製造されたが、9,000店の小売店が携帯部品を回収する「モバイル・リサイクル・ネットワーク」の下で回収されたのはわずか762万台(20.9%)にすぎなかった。

社会における電気・電子機器(EEE)の役割は、通信、教育、安全、食料、医療など、あらゆる分野で不可欠なものとなりつつあり、その背景には、絶え間ない新製品の開発、消費者の需要、電子機器の急速な陳腐化があり、製品寿命の低下を特徴としている。ヨーロッパのENDSの報告書によると、この構造的な陳腐化により、欠陥のある電気製品を交換するために販売された全製品の割合は、2004年の3.5%から2012年には8.3%まで増加した。

電子機器の消費が増加し、主要な社会セクターに組み込まれていくことには、2つの大きな生態系への悪影響がある。

第一に、電子機器の生産に必要な主原材料の大規模な抽出と精製により温室効果ガスの排出量が増加する。第二に、廃棄物が発生する量と速さだ。技術産業の絶え間ない進歩が廃棄物の発生を促進し、大量の電子廃棄物を発生させ、通常はそのまま埋め立てられるか焼却してから埋め立てられる。

これは、環境に配慮した方法で処理されない場合、人の健康や環境に深刻なリスクをもたらす。水銀、臭素系難燃剤(BFR)、クロロフルオロカーボン(CFCs)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)などの有害添加物や有害物質が多くの種類の電子機器に含まれているためだ。

E-wasteは、リサイクルされた場合、二次材料として使用することができる貴金属、社会にとって不可欠な金属、およびその他の金属が含まれているため、しばしば「都市鉱山」と表現されている。

2013年のEPAの報告書によると、1トンのプリント基板には、米国で1トンの鉱石から採れる金の40~800倍、銅の30~40倍の量の金と銅がそれぞれ含まれている可能性があることが明らかになっている。 

世界のE-wasteモニター2020のデータによると、2019年には世界で過去最高の5,360万トンのE-wasteが発生したと報告されており、5年間で9.2万トン増加している。日本でも他の国でも、この廃棄物の大部分は回収されていない。報告書では、廃棄された電子機器のうち、原材料価値で100億ドルに値する17.4%しか、環境に配慮した方法で回収されていない。  残りは埋め立て地に投棄されるか、他国に輸出されるか、単に家庭の引き出しの中に忘れ去られている。                     

日本では、ほとんどの電気電子機器は「特定家庭用機器再商品化法」と「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」に基づき回収・リサイクルされている。日本は、世界に先駆けて電子廃棄物の拡大生産者責任制度(EPR)を導入した国の1つだ。このような積極的な取り組みにもかかわらず、正式にリサイクルされ処理された量は、新たに生まれた廃棄物の総量に占める割合が非常に少ないのが現状だ。                     

オリンピックのメダルにリサイクル素材が使用されるのは今回が初めてではない。直近の2016年リオ大会では、銀メダルと銅メダルの推定30%がリサイクル素材で作られていた。 

しかし、大会組織委員会は、東京2020オリンピックの取り組みは、使用される金属の100%がリサイクル材料という点と、初めて電気製品の寄付に市民が積極的に関与している点で、他とは異なるとしている。

「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」によって回収された電子機器は、国連が推定する日本の年間220万トンのE-wasteの3%にも満たない。しかし、東京2020オリンピックのメダルにリサイクル素材が使用されたことは、大量の使われなくなった電子機器で都市をあふれさせているE-wasteとの闘いにおいて、世界の希望の証しとなった。

オリンピック公式ウェブサイトのプレスリリースの中で「東京で選手がメダルを獲得したとき、その重さは金、銀、銅ではなく、国の重さになる」と、米国の十種競技選手であり、2度のオリンピック金メダリストで世界記録保持者でもあるアシュトン・イートン氏は述べている。

 

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