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東京ロボットカフェ、障がい者包摂の新たな形を提案

2021年8月17日、東京のドーンカフェで、人型ロボットが客に飲み物を届ける様子。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェで、人型ロボットが客に飲み物を届ける様子。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェで、人型ロボットが客に飲み物を届ける様子。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェで、人型ロボットが客に飲み物を届ける様子。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェでポーズをとる、ロボット製造企業「オリィ研究所」の共同創業者である吉藤健太朗氏。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェでポーズをとる、ロボット製造企業「オリィ研究所」の共同創業者である吉藤健太朗氏。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェで、客に飲み物を届ける人型ロボットを撮影。(AFP)
2021年8月17日、東京のドーンカフェで、客に飲み物を届ける人型ロボットを撮影。(AFP)
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21 Aug 2021 01:08:07 GMT9
21 Aug 2021 01:08:07 GMT9

東京のとあるカフェで接客中の今井道夫氏だが、本人はその場にいない。本人は何百キロも離れた場所におり、包括的雇用の実験の一環で、ロボットのウェイターを操作している。

ドーンカフェのロボットは、単なる見世物ではなく、外で働くことが難しい人に雇用機会を提供することを意図している。

「こんにちは、いらっしゃいませ」。入り口近くのカウンターから、赤ちゃんペンギンのような形の滑らかで白いロボットが、お客様に顔を向けてヒレを振りつつ呼びかけている。

今井氏は、ドーンのロボットスタッフを操作する「パイロット」として働く身体的・精神的障がいを持つ約50人の従業員の一人として、800km離れた広島の自宅から働いている。

6月に東京日本橋にオープンしたカフェでは、現場で働くスタッフと共に国内外のパイロットが働いている。

当初はパラリンピックに合わせて昨年オープン予定だったが、火曜日から始まるパラリンピック同様、パンデミックの影響で一年延期されていた。

カフェには、アーモンド型の目をした約20台のミニロボットが、テーブルの上などに置かれ、階段はなく床は車いすでも入りやすいよう滑らかな木製となっている。

「OriHime(オリヒメ)」と名付けられたロボットには、カメラ、マイク、スピーカーが搭載され、パイロットが遠隔操作でお客様とコミュニケーションをとれるようになっている。

ハンバーガー、カレー、サラダなどのメニューが表示されたタブレットの横で、「ご注文は?」と一人が声をかけている。

お客様がミニロボットを操作するパイロットと会話する中、3体の大型の人型ロボットが動き回り、入口でドリンクを提供したり、お客様を歓迎したりしている。

バーには茶色のエプロンをつけたバリスタロボットもおり、フレンチプレスでコーヒーを入れることもできる。

しかし、ロボットの主な役割は、従業員がお客様とコミュニケーションをとるための媒体である。

家を出るのが困難な身体症候性障害を抱えている今井氏は、「天気、故郷、自分の体調のことなど、いろいろな話をお客様にしています」と語る。

「生きている限り、働くことで地域に恩返しをしたいと思います。社会の役に立てたら幸せです」。

他のパイロットができることも様々に異なります。例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者で、特製のデジタルパネル上で目の動きを使ってロボットに信号を送る人もいる。

このプロジェクトは、ロボット製造企業の「オリィ研究所」の共同創業者である吉藤健太朗氏の発案によるものだ。

彼は、子供の頃に体調を崩して学校に通えなくなった経験をきっかけに、家から出られなくても就職できる方法を考えるようになったという。

「働きたいと思ったときに、どうしたら人が雇用機会を持てるようになるかを考えました」と33歳の吉藤氏は語る。

「ここは、誰でも社会に参加できる場所です」。

大手企業の支援やクラウドファンディングでカフェを設立した彼は、カフェの意義はロボットの実験だけではないと言う。

カフェでAPFに対して彼は語る。「お客さまはオリヒメに会うためにここに来ているわけではありません」。

「オリヒメの背後には操作している人がいて、お客様はその人たちにまた会いに来てくれるのです」。

このカフェは、8月24日に開催されるパラリンピックを前に、障がい者支援団体が日本の包摂とアクセシビリティの進展について議論している最中にオープンした。

東京都は、2013年にオリンピック開催が決定して以来、公共施設のバリアフリー化を推進している。

障がい者雇用を支援する愛知県のNPO法人代表を務める渡辺誠司氏は、障がい者包摂のための支援はまだ限られていると話す。

政府は3月に規則を改正し、企業における障がい者雇用の最低比率を2.2%から2.3%に引き上げた。

渡辺氏はAFPに対し、「この比率は低すぎます。日本企業には自発的に多様な人材を採用する文化がありません」。

ドーンでの取材では、59歳の深谷守氏が17歳の息子さんと一緒に、ランチタイムにカフェを楽しめたと語る。

「(パイロットは)とても親しみやすい方でした。家の外では働けないというお話だったので、こういう機会があるのは素晴らしいことですね」。

吉藤氏は現在、このカフェのプロジェクトに集中しているが、ロボットによってパラリンピックをより包摂的にできる可能性もあるのではないかと考えている。

「寝たきりの人たちのための新しい種類のパラリンピックができるかもしれません」。

「新しいスポーツを創り出すこともできるかもしれません。そうなったら面白いのではないでしょうか」。

AFP

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