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オミクロン vs. デルタ:コロナウイルス変異株の戦いが鍵

オミクロン株がまん延する南アフリカのヨハネスブルグで、ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンを準備する薬剤師。(ロイター/ファイル)
オミクロン株がまん延する南アフリカのヨハネスブルグで、ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンを準備する薬剤師。(ロイター/ファイル)
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07 Dec 2021 08:12:16 GMT9
07 Dec 2021 08:12:16 GMT9

コロナウイルス変異株のオミクロン株がアフリカ南部で広がり、世界中に派生する中、科学者らはパンデミックの今後を決める戦いを懸念を持って注視している。世界を席巻するデルタ株は最新のライバルに敗れるのだろうか?

南アフリカとイギリスからのデータを読み解く科学者らは、オミクロン株が勝利する可能性を示唆する。

「まだ初期の段階ですが、データは徐々に集まってきており、データによれば全てではないにしても多くの場所でオミクロン株はデルタ株に勝つと思われます」と、ハーバード大学医学大学院が先導する共同研究において変異株を監視するヤコブ・ルミュー博士は述べた。

しかし月曜に別の研究者らは、オミクロン株がデルタ株より効率よく広がる可能性がどれほどあるか、またその場合、どれくらい早く優勢となるかを知るには時期尚早だと述べている。

「特にデルタ株がかなり急増しているここアメリカでは、オミクロン株がデルタ株に取って代わるかどうかが分かるまでに2週間程かかると私は思っています」と、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックで臨床ウイルス学の主事を務めるマシュー・ビニッカー氏は述べた。

このウイルスが起こす症状がより軽いのか重いのか、以前のコロナウイルス感染症やワクチンによる免疫をどこまでかいくぐるのかといった、オミクロン株に関する多くの重大な疑問への答えはまだ出ていない。

感染拡大に関して科学者らは、オミクロン株が最初に検出された南アフリカの状況に注目している。オミクロン株が人々に感染して南アフリカでほぼ支配的となるスピードにより、医療の専門家らは国が医療を崩壊させ得る新たな波の始まりにあるのではないかと懸念している。

11月半ばに1日あたりの新規感染者数が平均200人未満と感染が少ない時期にあった南アフリカでは、この新たな変異株によって週末にかけて1あたりの感染者数が16,000人以上へと急増した。専門家らによると、新たな感染拡大の波の中心地であるハウテン州ではオミクロン株が新規感染の90パーセント以上を占めるとのこと。この新たな変異株は急速に広がっており、南アフリカの他の8つの州でも支配的となっている。

「このウイルスは異常な速さで非常に急速に広がっています」とアフリカ衛生研究所の責任者であるウィレム・ハネコム氏は述べている。「今現在の波の勾配を見てみると、南アフリカが経験した最初の3つの波よりずっと急勾配となっています。これは感染の広がりが速いことを示しており、それゆえ非常に感染力が強いウイルスである可能性があります」

しかし、南アフリカの新型コロナウイルス変異株研究コンソーシアムの共同委員長でもあるハネコム氏は、南アフリカではオミクロン株が発生した時のデルタ株の数が少なかったため、オミクロン株がデルタ株を打ち負かしたと「言えるかは分からない」と述べている。

科学者らはオミクロン株が他の国々でも南アフリカの場合と同様の動きを見せるかは不明だとしている。ルミュー氏は、どうなるかについてのヒントは既にいくつかあると言う。ゲノム解読を多く行うイギリスなどにおいて、「オミクロン株がデルタ株を超えて急速に増加する兆候と思えるものが見られています」と同氏は述べた。

アメリカでも世界の他の地域と同様に「不確定な部分が多い」と同氏は述べている。「しかし初期のデータを総合すると、一貫したイメージが現れ始めます。それはオミクロン株が既に入ってきているというものであり、南アフリカでの調査結果から考えると今後数週間、数か月で支配的な株となり、感染者数の急増を引き起こすと思われます」

公衆衛生に対しどのような影響を及ぼすかはまだ分からない。ハネコム氏によると、南アフリカの初期のデータはオミクロン株が今までの変化株よりずっと再感染率が高いことを示しており、このウイルスが免疫をどうにかして回避していることを示唆している。また、このウイルスがより若年層、多くの場合ワクチンを接種していない人々に感染しているらしく、病院にかかるケースの多くで比較的症状が軽いということも示している。

しかしビニッカー氏は、世界の他の地域や異なる患者集団においては同様でない可能性があると言う。「もしも高齢者や基礎疾患のある人々の間でより多くの感染が起こった場合にどうなるかが非常に重要です」と彼は述べた。「そういった患者の場合はどうなるでしょう」

世界が答えを待つ中、科学者らは自分を守るために出来る限りのことをするよう人々に勧めている。

「我々はワクチンによって人々ができる限り免疫を得ることを確実にしたいと思っています。ですから、まだワクチンを接種していない人々はワクチンを打つべきです」とルミュー氏は言う。「ブースター摂取に適する人はブースター摂取を受けるべきであり、さらに感染を減らす効果があると分かっているあらゆる策を講じるべきです。マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、屋内での大規模な集まり、特にマスク無しの集まりを避けるといったことです」

AP

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