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火を使わず煙も出ないベイプに関する議論、湾岸諸国は規制に緩慢な動き。

おそらくベイプに関連して、米国で少なくとも7人が亡くなったことに対する懸念があって、米国中で禁止されてきた。(Shutterstock)
おそらくベイプに関連して、米国で少なくとも7人が亡くなったことに対する懸念があって、米国中で禁止されてきた。(Shutterstock)
08 Dec 2019 02:12:42 GMT9
  • 湾岸協力会議(GCC)の加盟国中、リスク低減製品に適切な法律が施行されているのは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦だけだ。

ハラ・タシカンディ,リヤド

歴史を通じて、常にニコチンは人類最大の悪徳のひとつであり続けてきた。

ほとんどの薬物よりも社会的に受け入れられやすく、かつ宗教的・道徳的にグレーな領域であるニコチンを、人々は煙にして吸い込んだり、噛んだり、布の形で肌にあてたり、そして今ではそれを蒸気にして吸い込んでいる。

ベイプは、喫煙による危険を減らす力のある製品、すなわちリスク低減製品(RRPs)に分類される。電子タバコは、JuulやLogicのようなベイプMOD同様、このカテゴリに分類される。

ベイプは140億ドル(525億サウジアラビア・リヤル)級の世界的な産業で、日本たばこ産業インターナショナル(JTI)の統計によると、全体で46%成長したという。

しかし、ベイプは必ずしも多くの人が思うほど新しいものではない。「電子タバコ」という言葉が使われた最初の記録は1930年に出現するが、我々が知っているような現代的なベイプが登場するのはやっと2000年代初頭になってからだ。しかしながら、その健康面での利点についての意見は依然として深刻に分断されている。

20代前半のころから喫煙者であるモディ・アル-アジランは、ことし39歳になる。彼女はかなり長いあいだたばこをやめたがってきたが、ベイプにつきまとう汚名のために、ベイプを試すことに消極的だ。

「新しすぎるんです。ベイプが煙を出すたばこよりも健康であると証明する十分な長期的研究があるとは思いません。私は未知のものに自分をさらすよりも、既知の敵に賭けてみたいのです」と彼女は話した。

他の人、ファラーン・アラレムのような人は、これに異を唱える。彼はArab Newsに対して、ベイプはこれまでの煙草よりも自分にとってははるかに良いと話した。「私は喫煙を4,5回試みました。ベイプを始めてから、私はほとんど喫煙していません。私はもう戻りたくありません。私にはベイプだけが効き目があったのですから」。

ファストファクト

  • 140億ドルの世界的産業であるベイプは、全体で46%成長した。
  • ベイプは、喫煙による危険を減らす力のある製品、すなわちリスク低減製品(RRPs)と呼ばれるカテゴリに分類される。
  • 英国では紙巻きたばこやその他のたばこ製品の宣伝について、とても厳しく規制されている。

 

この問題に関しては、専門家たちの間ですら意見が対立している。おそらくベイプに関連して、米国で少なくとも7人が亡くなり、500人が入院していることに対する懸念があり、米国中で禁止されてきた。いくつかの州では既に電子たばこやベイプ製品の販売を停止しており、ドナルド・トランプ大統領すらこの問題にコメントし、ベイプ製品の全面禁止を求めた。

しかし、先月ロンドンで行われた2019年電子たばこサミットで、数人の講演者が、米国の直面する問題は米国での規制の乏しさやベイプリキッドの違法な製造が原因だと報告した。

不適切な規制は、カンナビスに含まれる主要な精神作用成分であるTHCや、普通に摂取すれば無害だが蒸気にして吸い込むと危険たりうるビタミンCアセテートのような、普通ではない成分を含むベイプリキッドの拡散につながっていると言われている。

しかし、ベイプがはるかに厳しく規制されている英国や世界のその他の地域では、深刻な副作用は依然として何ら記録されておらず、ベイプを推進する圧力団体はこれをもって、この問題を先導する例として英国を褒めそやしている。

英国では、紙巻きたばこやその他のたばこ製品の宣伝についてとても厳しく規制されているほか、未成年者への販売も断固として規制され、これらのルールを無視する者には厳しい刑罰が課される。

ロンドン喫煙ツールキット研究は、未成年者の喫煙が急速に増加しつつある米国とは反対に、喫煙者は2007年には16-17歳の23%を占めていたものが、5%になったと報告している。

イングランド公衆衛生サービスの健康改善局長を務めるジョン・ニュートンは、以下のように述べた。「イングランドでは、大人・子どもの喫煙は記録的に少ない水準にまで落ちてきました。ベイプは喫煙習慣を広げておらず、子どもたちの間での電子たばこの日常的な使用は稀なことに留まっており、大部分若い喫煙者やかつて喫煙者だった人たちに限られていて、ほとんどの電子たばこの利用者は煙でたばこを吸うことを完全にやめています」。

中東では、ベイプというテーマ全体がグレーな領域である。たとえばサウジアラビアでは、ベイプは許されているが、ベイプMOD、Eジュース、ベイプリキッド、その他いかなるRRPsも正式な小売店では取り扱いがない。

JTIの情報によると、現状では湾岸諸国のうちサウジアラビアとアラブ首長国連邦だけが、RRPsに対して適切な規制を実施しているという。バーレーンとクウェートでは、『Eシーシャ』の名の下でのみ許可されており、オマーンとカタールでは全く規制されていない。

JTIの中東における企業行動・コミュニケーション責任者のハディー・スレイマンは、ベイプの安全性を確保しつつ、製品を利用する人たちに対して手が届くものにするために、湾岸諸国の政府は対話のドアを開くべきだと考えている。

「政策立案者たちには情報が必要です。開かれた対話なくして、どうして国家のために最高の決断ができるのでしょうか?」と彼は話した。

しかし健康の専門家は、少なくともさしあたっては、いかなる種類の喫煙も推奨はしないが、ベイプは伝統的な喫煙よりも健康的な代替物であるということには合意している。

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