ファラー・アルシャリフ、ダーラン

• アラブ思想財団理事長のヘンリー・アウィト博士は、新たなビジョンを形成するにはアラブ世界の結束が不可欠であると強調した。
• ダーランのキング・アブドゥルアジズ世界文化センター（イスラ）は、イノベーションを支援し、現代的手法を取り入れ、創造性を受け入れる、世界的に有名な文化センターであると彼は付け加えた。

アラブ世界は将来に対する「自らのビジョンを展開」していくために、多くの不足を解消する必要があると、影響力ある地域カンファレンスで語られた。

シンクタンク、ハドソン研究所の南・中央アジア所長であるフセイン・ハッカーニ氏は、この地域が取り組むべき重要な問題には、男女格差や、施設や知識の不足などがあると述べた。

「アラブ地域は自らのビジョンを展開していく必要があり、そのための唯一の方法は、多くの欠点を克服していくことです」と彼は、初めてサウジアラビアで開催されたFIKR17カンファレンスでアラブニュースに語った。

ハッカーニ氏は、「今日の世界…明日の世界：変革、挑戦、ビジョン」と銘打つ討論会に参加した国際政治関係専門家のひとりだ。

ダーランで開催されたセミナーの参加者には他にも、国際公共政策研究センター理事長の田中直毅氏、エセック・ビジネススクール国際関係学教授のフレデリック・シャリヨン氏などが含まれていた。

「この地域には知識という面で大きな不足があります」とハッカーニ氏は述べた。「アラビア語を話す人は約4億人いますが、毎年アラビア語で書かれる書物は、毎年ギリシャ語で書かれる書物よりも少ないのです。ギリシャ語を話す人々は1100万人か1200万人だというのに」

「また、他の言語から毎年アラビア語に翻訳される書物も、デンマーク語に翻訳されるものより少ないのです。デンマーク語はデンマークのたった500万の人々の言語なのにです」

元駐米パキスタン大使は、男女格差もアラブ世界が直面する欠点のひとつだと付け加えた。「社会の半分は女性です。女性を排除する社会は、女性を参加させるいかなる社会にも後れをとることでしょう」

特により貧しいアラブ諸国には、施設の不足、機能する施設の不足という課題もあると彼は述べた。

「財やサービスの国際貿易のうち、中国からの流入は15%、インドからは13%なのに対して、アラブ世界からの流入はたったの5%です」とハッカーニ氏は続けた。「アラブ世界が生産性を向上させられないわけがありません……経済的手法があり、知的手法があれば、自分たち自身のビジョンを持てるようになるでしょう」

ハッカーニ氏は、社会は「革命的国家」と彼が表現するもののなかで暮らしていると指摘する。そこでは、相互関係性は必ずしも「繋がり」を意味しない。「誰もが互いにコミュニケーションをとることができますが、誰もが必ずしも互いを理解しているわけではありません」

社会を指揮していくという意味において、意思決定者や影響力を行使する人々は非常に重要な役割を果たしていた。ハッカーニ氏によれば、消費者たちが莫大な情報を処理してそれらを論理的に分析するのを助け、社会の安定性を維持しようとするのに、それらの人々の力が大きく働いていた。

「ビジョンや構想があまりにも分散し過ぎるのを放っておくのではなく、一刻も早く社会の安定を保つための均衡を図り、維持することが重要です」と彼は言い、ソーシャルメディアは人々を繋げたものの、同時に人々を混乱に陥れてもいると指摘した。「ひとつの間違った考えが人々の間にすぐに駆け巡ることも起こり得ます。フェイクニュースは素早く広がりますから、影響力のある人々や意思決定者たちは、社会が再び落ち着きを取り戻せるような方法で自らを主張していく必要があります」

カンファレンスではこれに先立ち、アラブ思想財団理事長のヘンリー・アウィト博士が、新たなビジョンを形成するにはアラブ世界の結束が不可欠だと強調した。

アウィト氏はアラブニュースに、ダーランのキング・アブドゥルアジズ世界文化センター（イスラ）は、イノベーションを支援し、近代的手法を取り入れ、創造性を受け入れる世界的に有名な文化センターであると語った。

カンファレンスは「アラブの新たなビジョンを描くものであり、私たちは今日、発展を呼び掛け、向上を呼び掛け、刷新を呼び掛ける構想をスタートさせたサウジアラビア王国にいるのです」と述べた。

アラブ思想財団の目的とするところは、「知識を広め、アラブ社会とその発展に寄与することであり、よって私たちはその目的や意図に貢献するすべてに対して心を開いています」と彼は付け加えた。