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サウジアラビアの新しいソーシャルメディア・インフルエンサー許可証について知っておくべきこと

アラム・カッバーニ氏(左)、ナダ・アルナディ氏(右)らサウジアラビアのインフルエンサーは、ソーシャルメディアのプラットフォームを使ってファッションとライフスタイルのブランドを宣伝している。(ソーシャルメディア)
アラム・カッバーニ氏(左)、ナダ・アルナディ氏(右)らサウジアラビアのインフルエンサーは、ソーシャルメディアのプラットフォームを使ってファッションとライフスタイルのブランドを宣伝している。(ソーシャルメディア)
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11 Aug 2022 01:08:40 GMT9
11 Aug 2022 01:08:40 GMT9
  • サウジアラビアのメディア規制当局によると、ソーシャルメディアのインフルエンサー全員に影響を及ぼす新法が10月から施行される。

タリク・アリ・アーメド

ロンドン:ソーシャルメディアのプロフィールを通じてつながるサウジアラビア人が増加し、さらにプラットフォームから利益を得るようになったことから、サウジアラビアはインフルエンサー業界を適切に監視するための新たなライセンス制度を立ち上げた。

10月初旬から、ソーシャルメディアの広告を通じて収入を得ているサウジ国内外の全コンテンツクリエイターは、まずは視聴覚メディア一般委員会(GCAM)への公式許可証の申請が義務付けられる。

コンテンツクリエイターは、15,000リヤル(約4,000ドル)の料金を支払って3年間有効な許可証を受け取る。その間、サウジアラビアの法律や価値観に反しない限り、いくつでも民間企業と連携し、商品やサービスを宣伝することができる。

間もなく開始するこのインフルエンサーライセンスは「検閲やブロックが目的ではない」と、GCAMのエスラ・アッセリーCEOはアラブニュースに語った。「むしろ、この業界の成熟を促すための許可証だ。当委員会は各個人の発展を支援したいと考えている。ただし、ソーシャルメディアの収益でキャリアを築けるように、プロとしてまっとうなやり方で成長してもらいたいということだ」

この新規制は、価格体系と契約上の義務が業界全体で標準化されるように、インフルエンサーと、インフルエンサーの協力を得て広告を打ちたい企業の両方を法的に保護する取り組みだとうたわれている。

「この市場は無法状態だ」とアッセリーCEOは言った。「当委員会はインフルエンサー業界や個人個人に反対しているわけではない。むしろ、存分に活躍できるようにしたいと考えている。新しい細則を確認すれば、インフルエンサーと広告主との関係を規制する内容であり、インフルエンサーたちも保護されることが分かる」

サウジアラビアの視聴覚メディア一般委員会のエスラ・アッセリーCEO。(提供)

現状、サウジアラビアでは誰でもソーシャルメディアに広告を掲載し、民間企業と取引して収益を得ることができる。投稿ごとの支払い額は、インフルエンサーを通してリーチできるフォロワー数に応じて数千リヤルに達することもある。

許可証や規制の導入によって、インフルエンサーが稼げる金額が減り、検閲にもなりかねないという懸念の声が上がっている。だが、GCAMは、許可証はインフルエンサーとそのクライアントの関係の透明性を確保することが目的だと主張している。

サウジのインフルエンサーは、拠点が国内であれ国外であれ、地域・国際ブランドと連携したい場合は許可証を申請しなければならない。ただし、非サウジアラビア人の国内居住者は、別の手順に従う必要がある。

投資省に国内の就労許可証を申請した後に、GCAMを通じてインフルエンサー許可証を申請できる。ただし、非サウジアラビア人の居住者は、特定の広告エージェンシーを利用する必要がある。

ギャンビット・コミュニケーションズの創設者兼マネージングディレクターのジャマル・アルムード氏は、「ライセンス料の支払いという短期的な損失ばかりを気にするインフルエンサーもいるが、ライセンス制には、国家レベルでこの業界を法制化できるようになるという大きなメリットがある」とアラブニュースに語った。

「インフルエンサー業界においてこれは非常に重要だ。これまでのマーケティングは、料金や契約に関する明確な基準がなく、野放し状態だったからだ」

アルムード氏は、新措置により、「偽のフォロワーと偽のエンゲージメントを購入しているインフルエンサーに巨額の予算を出す」といった詐欺被害にさらされやすいブランドを保護できるという。「このような詐欺は悪循環を生み出す。真摯にやっているコンテンツクリエイターが数個の腐ったリンゴのために価値を傷つけられるからだ」

新しいライセンスであらゆる問題が一気に解決するわけではないが、「今よりもプロフェッショナルで責任が求められる基盤をつくることになる」とアルムード氏は付け加えた。

6月、ライセンスを持たない非サウジアラビア人の居住者と訪問者がソーシャルメディアに広告を投稿することが禁止された。規制を無視した者は、懲役5年、最大500万リヤルの罰金を科せられる可能性がある。

GCAM は、「ソーシャルメディアのプラットフォームで、居住者、訪問者問わず、多数の非サウジアラビア人の広告主による違反」が明らかになったとして、禁止を発表した。

当時、GCAMは、「該当するデータを確認した結果、商業登録をしていない、法的ライセンスを持たないなど、組織的な違反が行われていたことが判明した。法人や外資系企業のライセンスで活動しているわけでもなかった」と説明していた。

今後、公式のライセンス制が始まることで、そのような違反を監視しやすくなり、業界は完全な透明性を確保できるように適切に規制される。

ソーシャルメディアにアカウントを持ち、自前の商品やサービスを宣伝するベーカリーや美容院などのビジネスは、禁止の対象外だ。(Shutterstock画像素材)

サウジのインフルエンサーは、フルタイムの仕事をしながら、ソーシャルメディアのプロフィールを用いた宣伝キャンペーンを通じて収入を得ることができるが、法律では、非サウジ人はサウジに居住している間、特定の1業務でのみ働けると規定されている。

ただし、このシステムは、ソーシャルメディアにアカウントを持ち、自前の商品やサービスを宣伝するベーカリーや美容院などの企業や団体には適用されない。新法の影響を受けるのは個人のみである。

ただし、省庁や政府機関から公演のためにサウジアラビアに招かれたミュージシャンや芸能人などの個人など、一部例外がある。

過去10年のソーシャルメディアの台頭に伴い、インスタグラム、ティックトック、スナップチャットなどのプラットフォームで多くのフォロワーを持つコンテンツクリエイターや、いわゆるインフルエンサーは、テレビ、新聞、雑誌などの従来のメディアから、ほぼ規制のない新メディアに視聴者を吸収してきた。

コンテンツ消費の状況の変化を察知した広告主がその流れの後を追った。高級リゾートの白い砂浜に青い海、高級レストランの豪華な食事が、インフルエンサーのコンテンツとして当たり前になり、より「自然な感じ」を活かして商品を紹介したい企業が殺到している。

だが、規制当局はこの急速な変化に追いついておらず、そのプロセスは法的紛争、搾取、悪用にさらされている。他国の当局もインフルエンサーの許可証制を検討しているのはそのためだ。

中東のインフルエンサーのハブとして広く知られているドバイもそのひとつである。

2018年、UAEの国家メディア評議会(NMC)は、新しい電子メディア規制システムを開始した。このシステムでは、ソーシャルメディアのインフルエンサーが国内で活動するにはライセンスを取得する必要がある。

1年間のライセンス料金は15,000 UAEディルハム(約4,000ドル)。ライセンスの取得や更新をしなかった場合、最大5,000 UAEディルハムの罰金、口頭または公式の警告、さらにはソーシャルメディアのアカウント停止などの処罰を受ける可能性がある。

UAEを訪れるインフルエンサーもこの規制の対象だ。国内で活動するには、ライセンスを取得するか、NMC公認のインフルエンサーエージェンシーに登録する必要がある。

サウジアラビアのエンターテインメントやクリエイティブ産業が発展を遂げていることから、ライセンス制の導入は適切な方向への一歩だと見られている。

「業界にとって素晴らしいニュースだ」とアルムード氏は言った。「政府のライセンスを受けてサービスを提供すれば、安全と信頼のレベルが高まり、裏をかこうとする詐欺師の排除に役立つ」

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