ワシントンのナショナルモールに並ぶ数千本の日本の桜が満開を迎え、一帯は見事なピンク色と白色に染まった。
満開(定義は70%の花が開いたとき)の時期を予測することは年々難しくなっている。1920年代の満開の平均は4月5日だった。近年は3月31日まで前倒しになり、2023年の満開はさらに1週間早くなった。23日にアメリカ合衆国国立公園局が説明した。
「気候変動により、早まる傾向が続くと感じています」と、樹木の手入れを監督する公園局の都市林業担当者シュー・モリソン氏は述べる。
4月16日まで開催されている毎年恒例の全米桜祭りは、1912年に日本からワシントン市に3,020本の桜の木が寄贈されたことを記念するイベントだ。
うち2本は、ヘレン・ヘロン・タフト大統領夫人と、駐米日本大使夫人の珍田子爵夫人がわずか数人の立ち合いのもとで植樹したものだ。その小さな集まりが始まりになり、23年後の1934年に正式に祭りが開催されるようになった。
日本の桜の寿命は、品種にもよるが、だいたい30年から40年程度と言われている。だが、タフト氏と珍田氏が植えた2本の木とごく数本の木々は、111年経った今でも残っている。
「科学に反しています」。モリソン氏はこの異質な事象を「素晴らしい贈り物に結びついたちょっとした魔法」と、彼のチームが行っている丁寧な手入れによるものだと考えている。
現在、146エーカーの公園に咲く3,700本の木々の多くは、挿し木から育った元の木の子孫だとモリソン氏は説明した。
その他の木々はワシントンの慈善団体「ケイシー・ツリーズ」から定期的に寄贈されている。
モリソン氏は、桜の木の世話を担当するわずか3人の樹木医のチームを監督し、1本ごとに「個体の健康記録」をつけている。
樹木医らは、木登りの用具、はしご、チッパーなどを携えて木々を1本1本点検し、剪定などの手入れを行う。そして所見をデータベースに記録している。
AP