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日本、COVID-19治療薬として米国製の新薬を承認

カリフォルニア州フォスターシティのギリアド・サイエンシズ本社前に掲げられた標識。2020年4月29日撮影。ギリアド・サイエンスはレムデシビル臨床試験の予備結果を公表し、同薬を5日間投与された新型コロナウイルス感染症患者の少なくとも50%が改善を見せ、半分以上が2週間以内に退院したとした。(AFP)
カリフォルニア州フォスターシティのギリアド・サイエンシズ本社前に掲げられた標識。2020年4月29日撮影。ギリアド・サイエンスはレムデシビル臨床試験の予備結果を公表し、同薬を5日間投与された新型コロナウイルス感染症患者の少なくとも50%が改善を見せ、半分以上が2週間以内に退院したとした。(AFP)
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30 Apr 2020 11:04:35 GMT9
30 Apr 2020 11:04:35 GMT9

アラブニュースジャパン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬候補の大型臨床試験としては初めて、試験中の新薬が同感染症に対して有効であることが示された。米国政府当局者は水曜日、この新薬を患者ができるだけ早く、適切に利用できるよう努力すると発表した。

日本政府は火曜日、ギリアド・サイエンシズ社のレムデシビルを国内のCOVID-19患者の治療薬として承認すると発表した。

もともとエボラ出血熱治療薬として開発されたレムデシビルは、日本で承認された最初のCOVID-19治療薬となった。

菅官房長官は記者団に対し、日本は多数の国が参加する同薬の国際的な臨床試験(治験)に3月から参加していると述べた。

菅官房長官はまた、日本は海外での治験に関与しており、政府は海外での承認を条件に緊急時に医薬品の国内審査を簡略化できる特例承認制度の手続きを進めていると表明した。

米国立衛生研究所(NIH)の治験は2月に始まり、治験に参加した最初の患者は日本に停泊したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から避難したネブラスカの患者だった。

入院が必要なほどの重症患者1,063人を対象とした治験で、ギリアド・サイエンシズのレムデシビルは回復を31%早めた。すなわち通常の治療を受けただけの患者の回復期間が平均15日だったのに対して、レムデシビル治療を受けた患者では平均11日だった。同薬が死亡率を低下させる可能性も指摘されているが、これまでに公表された部分的な結果では確定には至っていない。

「治験によって証明されたのは、このウイルスは薬によってブロックできるということだ」とNIHのアンソニー・ファウチ博士は述べた。

「今後はこれが標準的な治療になるだろう」とし、今後は他のどんな潜在的な治療法もレムデシビルに対して、あるいはレムデシビルと組み合わせてテストされなければならないことになると博士は述べた。

昨年中国で発生して以来世界中で約226,000人の死亡者を出した新型コロナウイルス感染症だが、その治療薬として承認された薬は今の段階でまだ1つもない。ワクチンの使用までにおそらく1年かそれ以上かかる可能性が高いこともあり、効果的な治療法の発見がパンデミックの影響を大きく左右することになると考えられる。

ファウチ博士はホワイトハウスからの会見で同治験結果を明らかにした。レムデシビルは少なくとも7件の大型治験で評価の対象となっていたが、最も厳格な治験はこのNIH主導によるものだった。同薬に効果があったことを独立したモニターが首席研究者に通知したのが数日前だったため、治験をプラセボ群で継続することはもはや倫理的ではなくなった。

レムデシビル治験では、同薬を投与した患者のうち死亡したのは約8%で、これに対し対照群の死亡率は11.6%だったが、その差は科学的に有意と判断するには十分ではない。

副作用に関する情報は公表されていない。ファウチ博士は、結果のすべてはまもなく医学雑誌に発表されると述べた。最終的な数値は少し変わるかもしれないが、研究の全体的な結論は変わらない見込みだとした。

新型コロナウイルス感染症治療薬としては数十の薬剤で治験が進められているが、レムデシビルはその中でも最も試験の進んだ薬だといえる。IV(静脈注射)によって投与され、ウイルスがRNAをコピーする際に必要となる酵素の働きを阻害する。同様のコロナウイルスによって引き起こされるSARSとMERSに対する動物実験では、同薬は感染を予防し、病気の初期段階に投与した場合、症状の軽減を助けた。

この研究の対象は入院が必要なほどの重症患者(通常は肺炎を伴い、酸素を必要とする場合が多い)に限られていたことから、比較的軽症の患者に対する安全性・有効性は明らかになっていない。

治験は今後も参加患者数を増やしながら続けられる。ファウチ博士によると、今回の治験は多くの治療法をテストするためのアンブレラ試験として立ち上げられたという。ただ、今後の治験は、レムデシビルに対して、またはレムデシビルと合わせてテストする必要があるとした。

これとは別に、カリフォルニア州に拠点を置くギリアド社は水曜日、入院中の重症新型コロナ患者を対象に同社が続けていた研究の結果を部分的に発表した。同薬を5日間投与された患者が10日間投与された患者と「同程度の臨床的改善を達成した」と同社は述べた。だが通常の治療を受けている患者の対照群がないことから結果の解釈が難しく、したがって患者がどれだけ自分の力で改善したのかを知ることは不可能だ。

さらに別の治験では、中国の重症患者を対象にレムデシビルをテストした。この治験は予定していた453人の患者のうち参加登録患者が237人しか集まらなかったので中断されている。水曜日に英国の医学誌ランセットに発表された結果の一部によると、この治験では同薬が回復を早めることはなかった。だがファウチ博士と首席研究者はこの結果について、規模が小さすぎて結論の確定には至らないとしている。

ギリアド社はさらに、中等症患者を対象に別の治験も行っている。対照群なしで行われているこの治験の結果はまだ公表されていない。

これらの治験に加え、ギリアド社は緊急患者にケースバイケースでレムデシビルを投与しており、その数はこれまでに1,700人以上に上る。同薬の使用は、どんな目的であれまだ世界のどの国でも承認されていない。

米食品医薬品局の声明によると、レムデシビルを「患者ができるだけ早く、適切に利用できるようすること」についてギリアドと協議を行っているという。

ギリアドは現在同薬の増産も進めており、5月末までに14万人分以上、10月までに50万人分以上、12月までに100万人分以上の供給を目指している。

*APとの共同取材

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