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日本の気候変動への取り組みが、偏った業界団体により妨害される

2019年3月20日、東京にある経団連の本拠ビル。経団連は経済団体で、過去20年間、気候問題政策の「中心的な交渉窓口」の役割を果たしてきた。(シャッターストック)
2019年3月20日、東京にある経団連の本拠ビル。経団連は経済団体で、過去20年間、気候問題政策の「中心的な交渉窓口」の役割を果たしてきた。(シャッターストック)
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05 Aug 2020 11:08:11 GMT9
05 Aug 2020 11:08:11 GMT9

東京:日本で力を持つ業界団体「経団連」は、国内経済の10%以下を占めるエネルギー集約型の業界が権勢を振るっており、結果として、石炭電力を支持して気候変動への取り組みを妨害する国政に繋がっているとの新たな研究報告が公表された。

ロンドンのデータ分析会社であるインフルエンスマップの報告によれば、日本国内の電機、鉄鋼、セメント、自動車、化石燃料セクターの影響力が、パリ協定の義務を満たそうとする日本の取り組みを損なっているという。

経済産業省や他の政府機関と密接な繋がりをもつ経団連は、政府の政策が議論される専門委員会や他の公開討論会を抑えつけている。同団体は過去20年間、気候関連政策の「中心的交渉窓口」の役割を果たしてきたと報告書は述べている。

同団体は日本のあらゆる業界を代表していると主張するが、その主張は「気候およびエネルギー政策については明白に疑問視されるべきである」とインフルエンスマップは述べている。また同報告書は、経団連で最も権勢を振るっている業界はわずか270万人の雇用者数である一方、ほとんど影響力を持たない業界はその10倍の雇用者数を有していると付け加えている。

業界団体のロビー活動や専門家協議は、政府が戦略的エネルギー計画の見直しをする来年には極めて重要となる。

経団連の影響力は、昨年に同団体が、2050年までに炭酸ガス排気量を80%削減するという政府が提案した目標は「極めて高望み」であるとし、新たな目標は「展望」として定めることを求めた事実にも表れている、とインフルエンスマップは述べている。

日本はその後、明確な2050年の排気量目標ではなく、カーボンニュートラルを今世紀後半のできるだけ早い時期に達成するという目標を採択した。

経団連はロイターへの発言のなかで、まだ正式に写しを受け取っていないためにこの研究報告についてコメントすることはできないとしながらも、同団体は低炭素社会へ向かう方針で取り組んでおり、政府の気候変動問題の目標はパリ協定の目標に一致していると述べた。

小売り、金融、テクノロジー、建設などのセクターの優良企業がメンバーとなっている「日本気候変動イニシアティブ」や「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」といった国内の他の団体は、政府の気候変動への取り組みを厳しく批判しているとインフルエンスマップは指摘する。

この研究報告結果は「京都議定書について交渉し、国の法令を策定した日本の政策立案者としての私の個人的経験とほぼ一致している」と2009年7月から2011年1月まで環境事務次官を務めた小林光氏はロイターに語った。

「私が驚いたのは、これが今日までそのまま変わっていないことです」

日本の石炭使用量は、国内のほとんどの原子炉を閉鎖することになった2011年の福島原発事故に続く年月で、記録的なレベルで上昇してきた。

またロイターの昨年の調査によれば、日本はG7諸国の中で石炭火力発電所の新設に取り組んでいる唯一の国であり、電力会社は今後10年で総容量1万2000メガワットに及ぶ約20カ所の石炭火力発電所の建設を計画している。

現在、石炭が日本の電力の32%を賄っているが、政府は2030年までにその割合を26%に下げ、現在18%の再生可能エネルギーの割合を22%から24%までに上げたいと考えている。

インフルエンスマップは政府の統計データを使い、まず業種を経済的重要度でランク付けしてから、その業種の経団連との繋がりの影響力と、経団連以外の団体との繋がりの影響力とを評価した。

研究目的で50団体を選出し、それらを次の2つのメトリックを使ってランク付けした。その団体がパリ協定の目標を達成する気候問題政策を支持しているか、そしてその団体がどれほど真剣に気候関連政策について政府に関与しているか。

–ロイター

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