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海外派遣、なし崩しの懸念=護衛艦1隻追加、哨戒機転用も-防衛省

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04 Nov 2019 04:11:06 GMT9
04 Nov 2019 04:11:06 GMT9

政府が計画する中東への海上自衛隊派遣で、防衛省が同省設置法に基づき、護衛艦1隻を追加派遣し、海賊対処でアフリカ北東部ジブチに展開中の哨戒機1機を情報収集活動に充てる案を軸に検討を進めていることが4日、関係者への取材で分かった。派遣海域の選定も進めているが、同法に基づく派遣は国会承認が不要で、議論が尽くされないまま海外派遣がなし崩しに行われる恐れもある。

政府は10月、日本船舶の安全確保に向けた情報収集強化で、オマーン湾からイエメン沖のバベルマンデブ海峡東側などを中心に自衛隊派遣を検討すると発表。米が提唱する有志連合には入らないが、安倍晋三首相が「エネルギー安全保障上、死活的に重要」と位置付けるホルムズ海峡への言及はなかった。

日本船主協会によると、ホルムズ海峡を航行する日本関係船舶は年間延べ3900隻。与党内には、同海峡と接するアラビア湾に派遣すべきだとの声もある。

政府は、ジブチを拠点にした場合、海賊対処の護衛艦に二重の任務を課すと現場が混乱すると判断。追加で1隻出す案が有力だ。海賊対処はもともと、護衛艦2隻態勢だったが、海賊が減少したため2016年から1隻になった。自衛隊幹部は「情報収集用に追加派遣しても元の態勢に戻るだけで、大きな負担にはならない」と話す。

哨戒機は、海賊対処部隊の2機のうち1機を情報収集用に回すことを検討。ジブチからオマーン湾までは約2000キロあり、P3Cの航続距離では現場到着後、約1時間しか実任務に就けない。政府は護衛艦寄港などで防衛交流のあるオマーンに、哨戒機も含めた燃料補給などの協力を求めるとみられる。当初はジブチに近いバベルマンデブ海峡を中心に飛行する案もある。

政府は、中東への派遣は防衛省設置法4条に基づく調査・研究を根拠にする方針だ。調査・研究は日常的に自衛隊が日本周辺で行っている警戒監視活動の根拠にもなっている。

設置法は自衛隊の組織や所掌事務を規定したもので、実力行使に関する条文はない。このため命令を出すハードルが低く、防衛省幹部は「形式上、制服組の指揮官でも設置法に基づき部隊に命令を出すことは可能」と話す。

自衛隊の海外派遣をめぐっては、イラク派遣の際に特別措置法が制定された。法案審議の中で、派遣先が戦闘地域か非戦闘地域かをめぐり、国会で激しい議論が交わされた。

設置法には、活動の基本計画や実施要項を定める要件もない。政権の裁量でいつでも命令を出せる。今回の派遣を閣議決定する案も浮上しているが、どのような形で国民に活動を情報開示するのかも不明だ。

設置法に武器使用権限は規定されていないため、自衛隊法95条の「武器等防護」を武器使用の根拠にする方針だ。艦長が迅速に使用の可否を判断できるよう部隊行動基準(ROE)を策定するが、相手に危害を与える射撃は正当防衛・緊急避難に限られる。

JIJI Press

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