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東京オリンピックが近づく中、日本でウイルスへの不安が高まる

7月23日に開幕予定の東京オリンピックを宣伝する広告が設置されたエスカレーターに乗る人々=2021年7月6日(火)、東京(写真:AP通信/Koji Sasahara)
7月23日に開幕予定の東京オリンピックを宣伝する広告が設置されたエスカレーターに乗る人々=2021年7月6日(火)、東京(写真:AP通信/Koji Sasahara)
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06 Jul 2021 12:07:57 GMT9
06 Jul 2021 12:07:57 GMT9

東京:パンデミックが続く中でオリンピックを開催することの苦難が、日本で現れ始めた

大会主催者は、観客数の削減や、場合によっては無観客でも開催することを決定しており、オリンピックは7月23日に開幕する。日本では新型コロナウイルスワクチンの接種が大きく進む一方で、ワクチンの供給不足のためにその勢いは弱まっている。

ワクチン接種を完了した人が人口の13.8%しかいない日本に何万人もの人々が訪問を開始する中、新たに到着したウガンダ選手団の中に感染力の強いデルタ株の陽性反応を示した感染者が発見されるなど、水際対策にほころびが生じている。

東京で感染者数が増加するに伴い、大会がウイルスを拡散するという懸念が高まっている。

菅義偉首相は7月1日、記者団に対し、「厳戒態勢を維持しなければならない」と述べ、感染者数の増加を受けて「無観客もあり得る」と語った。

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長も菅首相に同意した。

橋本会長は金曜日、「どんな状況になっても観客を入れると決めているわけではない」と述べた。

大会組織委員会や国際オリンピック委員会などは、コロナウイルスに関する状況が急速に変化していることから、今週中に新たな制限を発表するために会合を開く予定となっている。

批判が起きる中、菅首相は6月28日に東京の羽田空港を訪れ、到着時のウイルス検査を視察した。菅首相は、オリンピック・パラリンピックの選手、関係者、報道関係者の日本への入国が増加し始める中、適切な水際対策を行うことを約束した。

東京では、月曜日に新たに342人の感染者が確認され、16日連続で前週の同じ曜日を上回った。

土曜日には、東京は過去5週間で最も多い716人の感染者を確認した。

政府の諮問会議で専門家は、大会期間中に感染者が爆発的に増加する可能性を警告し、1日の感染者数が1000人を超えると予想した。専門家は、感染者が爆発的に増えた場合、医療体制に大きな負担がかかるとしている。最悪の場合、1日に何千人もの感染者が確認され、病院が感染者であふれる可能性があるという。

政府の新型コロナ対策分科会の会長代理を務める国立感染症研究所の脇田隆字所長は、空港で感染した到着者を見つけ出して隔離し、東京から周辺地域へ感染が拡大することを防ぐために、水際対策を強化することを求めた。

日本の多くの人々に衝撃を与えた例では、ウガンダ選手団の1人が6月19日に成田国際空港に到着した際に検査で陽性反応を示し、同空港で隔離された。選手団の残りの9人は、オリンピック前の合宿地で、日本の西部にある大阪府に向けて、500キロ(300マイル)以上の距離をチャーターバスで移動することが許可された。

数日後、ウガンダ選手団の2人目のメンバーが検査でコロナウイルスに陽性反応を示したため、彼らと密接に接触していた町の職員や運転手など7人が自主隔離を余儀なくされた。選手団自体もホテルに隔離されている。厚生労働省は、ウガンダ人の感染者はいずれもデルタ株に感染していたと明らかにした。

土曜日には、セルビアの選手からも陽性反応が出た。そのため、日本の中部にある南砺市で予定されていた同選手が所属する選手団の練習が中止された。また、政府は、オリンピックのために入国した他の4人が、今年、日本に入国してから陽性反応を示したことを認めている。

専門家によると、これらの事例は、日本の水際での衛生管理が簡単に破られることを示しているという。

大阪府の吉村洋文知事は、先日開かれた全国知事会で、「今後も多くの人が入国するだろう。今回のことを教訓にして、類似の問題が日本の他の場所で繰り返されないようにしなければならない」と述べた。また、全国知事会はこの日、水際対策の強化を求める緊急要請を採択した。

オリンピック選手らの合宿先となる530の自治体に送られた衛生対策に関する指針の改訂版では、空港の検査で選手団のメンバーの中に陽性者が出た場合、空港当局は選手団全体を隔離し、7月12日に選手村がオープンするまで、選手団は指定された施設に滞在することになっている。合宿先の自治体は、選手団のメンバーに対して、濃厚接触者でないことやウイルス検査で陰性が確認されるまで練習を中止し、自主隔離を行うよう要請することができる。

日本では、ウイルスに関する懸念から選手団の受け入れを中止した自治体が数十にのぼり、こうした自治体の多くが受け入れに使う予定だった施設をワクチン接種会場として使用することを決定している。

東京では若年層や中高年層に感染が広がっている。若年層や中高年層は大部分がワクチンを接種していない。専門家によると、入院が必要な重症患者は徐々に高齢者の割合が減少している。高齢者の26%が現在、ワクチン接種を完了している。

日本のワクチン接種を完了した人の割合は13.8%で、世界平均の11.3%をわずかに上回っている。しかし、米国疾病予防管理センターやOur World in Dataによると、米国の47.4%や英国の49.5%に比べて低い水準となっている。

また、日本のワクチン接種活動の不確実性により、懸念がさらに高まっている。

職場でのワクチン接種は6月中旬に開始され、何千もの企業が従業員への接種を申請した。しかしその後、政府はワクチンの供給不足を理由に、職場や大規模接種会場の新規申し込みを無期限に停止した。

河野太郎ワクチン担当大臣は、「我々の想定を超えて接種が進んでいる」とし、1日あたりの接種回数が120万回以上に達している可能性が高いと述べた。河野大臣は、ファイザー・バイオンテック製ワクチンの供給量が7月下旬までに受け取ることを希望していた量の3分の1しか日本に届かないと述べた。

全国知事会の会長を務める徳島県の飯泉嘉門知事は、ワクチン供給の遅れにより「日本中に混乱が広がっている」と述べた。

香川県のワクチン接種会場では3万人分の接種を中止しなければならず、日本の中部にある岐阜県では6500社分の接種計画が保留となった。また、東京の一部地域や大阪、神戸でも、今週から予定していたワクチン接種を中止せざるを得なくなった。

東京都豊島区の高野之夫区長は、「残念なことだ」と述べ、「接種を加速させるために努力してきたが、今度はブレーキをかけなければならない。今まで何のために急いでいたのだろうか」と続けた。

日本は、2月中旬に医療従事者、4月中旬に高齢者へのワクチン接種を開始した。当初は予約システムの不備や供給不足で遅れが生じたが、5月中旬にはワクチンの輸入が安定し、7月末までに3600万人の高齢者全員に接種するという第一目標を達成するための人員も確保され、接種のペースは上がっていった。

菅首相は、5月下旬に自衛隊が運営する大規模接種会場を設置し、職場や大学のキャンパスでの接種も開始して、ワクチン接種を加速させた。

6月21日に日本は3度目の緊急事態宣言を解除し、7月11日を期限として東京やその他の都市圏のバーやレストランの営業時間を短縮することに重点を置いた、より緩やかな措置に移行した。

しかし、専門家はオリンピック期間中に感染が再拡大し、再び緊急事態宣言が必要になる可能性を指摘している。その場合、オリンピックの主催者は現在の1万人または会場の定員の50%という制限を見直し、すべての観客の入場を禁止することを迫られる可能性もあるという。

SOMPOホールディングスの社長で、影響力のある経済団体の代表を務める櫻田謙悟氏は6月30日、現在のワクチン接種率では安全なオリンピックを開催するのに十分ではないと述べた。

櫻田氏は、感染状況が悪化した場合の被害がはるかに大きいことから、オリンピックに観客を入れないことを支持すると述べている。

「私はより安全な選択肢を選ぶ」と櫻田氏は述べた。

AP通信

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