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日本の首相の原子力政策推進が選挙を前に抵抗に直面

東京都北部の福島県大熊町に建つ福島第一原子力発電所を示す空撮資料写真。(資料写真/共同通信社・AP)
東京都北部の福島県大熊町に建つ福島第一原子力発電所を示す空撮資料写真。(資料写真/共同通信社・AP)
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29 Oct 2021 05:10:54 GMT9
29 Oct 2021 05:10:54 GMT9

日曜日に総選挙を控え、岸田文雄首相は福島第一原発の事故発生から停止している日本の原子力発電所の再稼働を進めようとしている。今回の選挙結果次第で、首相の指導者としての将来は危うくなる。

福島では3基の原子炉がメルトダウンし、大勢の住民が避難して原子力産業は停止を余儀なくされた。それから10年たった今、日本で運転可能な原子炉33基のうち、再稼働しているのは3分の1にすぎない。さらなる再稼働に向けた議論は非常に緊迫しており、人口の40%がこの動きに反対している。

世界最大の原子力発電所を擁する東京の北西265km(165マイル)の柏崎をはじめ、停止中の原発を抱え、かつてそれに経済活動を依存していた地方都市では喫緊の課題だ。
「この件に強い関心を持っているのは、私たちが原子力発電所の危険性を身をもって感じているからです。ひと時もそれが頭から離れることはありません」と、柏崎近郊の町に住む反核活動家の桑原三恵氏は言った。

有権者の多くはパンデミック後の経済回復を最も懸念している。だが、先月エネルギー政策が突如として注目を集めた。自民党総裁選で岸田首相が脱原発派で知られる人気候補に勝ったからだ。岸田首相の勝利の立役者である党のベテラン甘利明氏が党の主要ポストに就任し、30基の原子炉を再稼働させ、老朽化し​​た原子炉に代わる小規模の原子炉を新設することを即座に求めている。甘利氏は、2050年のカーボンニュートラル宣言を達成し、輸入石炭とガスの価格の急騰を回避し、エネルギー需要の他国への依存を減らすため、日本は原子力発電に戻らなければならないと述べている。

甘利氏は地元で接戦の状態で、脱原発派の従属的連立パートナーである公明党の支持を集めるのに苦労している。

柏崎でも甘利氏の政策に対する反対は強い。

自民党の地元支部を運営する小野峯生氏は「県全体では、自民党関係者であっても、基本的には原発は再稼働できないという意見で一致しています」と言った。この地域は、総裁選で岸田氏よりも脱原発派の河野太郎氏に多く投票した。小野氏は、その理由として、原発の運営元の東京電力ホールディングス(TEPCO)が起こした「複数の災難」のために地元に不信感がある、と述べた。

4月、原子力規制当局は、2,400万世帯に電力を供給できる柏崎刈羽原子力発電所の再稼働計画を覆した。侵入者を検知する設備の障害やIDカードの不正使用など、運用上の問題が見つかったためだ。

全国的に、技術的な問題、訴訟、規制の見直しにより、再稼働は遅れている。

東京電力は電子メールの声明で謝罪し、地元の信頼を取り戻すことに努める、と述べた。また、原子力エネルギーはカーボンニュートラルの達成に寄与するが、今は再稼働の議論を進められるときではないと付け加えた。

この状況は、世論調査で単独過半数達成が危ういと言われている自民党にとって問題だ。公明党との連立のおかげで与党の地位は死守できるものの、党内では岸田首相を追放する圧力が高まるかもしれない。

政府は、金曜日に発表した最新のエネルギー政策の中で、2020年の再生可能エネルギーレベルは2倍の38%になるが、原子力発電を2018会計年度の6%から増加させ、2030年までに国のエネルギーの約22%を供給するようにしたいとした。

「分断の要因」

日本海沿岸の人口8万人の町、柏崎。夕方になると、主要鉄道駅周辺の施設のメンテナンスを行う作業員たちがバスを降りてくる。

「この町には世界最大の原子力発電所がありますが、生成したエネルギーの大半は東京とその周辺地域に送られます。地元住民にとってはいろいろ思うところがあります」。自民党の小野氏は言った。地元の人々と東京の人々の感情の間には「分断」があるという。

福島原発の後始末に資金が必要な東京電力にとって再稼働は不可欠だ。東京電力によると、柏崎刈羽原子力発電所の2基の原子炉を再稼働すると、年間推定8億8,000万ドルの燃料費を削減できるという。

しかし、1985年に稼働を開始した発電所の誘致に尽力した地元の商工会議所でさえ、東京電力の度重なる「失態」ににうんざりしていると述べている。

「東京電力の不手際は耐えがたいです」と、商工会議所の西川正男会頭は言った。

地区の自民党候補でエネルギー政策を監督する経済産業副大臣を務める細田健一氏は、この懸念を和らげるため、原発推進のメッセージをトーンダウンさせた。

「今はこの問題を議論するときではありません」。最近、原発周辺で行われた選挙集会の後で細田氏は言った。
選挙前に原発に関する議論がトーンダウンした理由を問われ、自民党県議会を率いる小野氏は「候補者が大きな浮動層をとらえるため」だと話した。
小野氏は、「結局、原子力エネルギーの問題が分断の要因になるでしょう。原発の件に影響力があるのは事実です」と言った。

ロイター

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