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ゴーン氏の弁護士が、逃亡にも日本の司法制度にも激怒

元日産会長カルロス・ゴーン氏の弁護団のひとりである高野隆氏が、2019年5月21日に東京の事務所でAFP通信のインタビューを受けて話している。(AFP通信)
元日産会長カルロス・ゴーン氏の弁護団のひとりである高野隆氏が、2019年5月21日に東京の事務所でAFP通信のインタビューを受けて話している。(AFP通信)
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04 Jan 2020 02:01:10 GMT9
04 Jan 2020 02:01:10 GMT9

東京:元日産会長カルロス・ゴーン氏の弁護士は、自身のクライアントが国内からレバノンへ逃亡したことには怒りと裏切られた気持ちとを抱いているとしながらも、公正な裁判を受けられないというゴーン氏の心情にも理解を示した。

「私の怒りは徐々に別の方向へ向き始めた」と高野隆氏は自身のブログ記事に書いた。

日本の司法制度について彼はこう述べている。「私は裏切られた。しかし裏切ったのはカルロス・ゴーン氏ではない」

高野氏は、ゴーン氏が妻との面会を禁止されていたこと(これに関して高野氏は人権侵害だとしている)、そして検察からメディアへの情報リークや、司法プロセスが何年もかかると見込まれることなどから、ゴーン氏が自分は公正な裁判を受けられるのかと憂慮していたことなどを説明している。

ゴーン氏は会計不正行為の罪で日本の裁判を待つ身であったが、12月29日に東京の自宅をひとりで出るところを監視ビデオに撮影されたのが最後の目撃となった。おそらく逃亡するための航空機へと向かうところだったのだろう。

ゴーン氏の保釈条件の詳細を記した弁護士書類によれば、彼の自宅のセキュリティーカメラは24時間作動していたが、撮影映像は毎月1度、15日に裁判所への提出が義務付けられていただけだったという。

ゴーン氏の保釈の責任を負う弁護団の中心的弁護士である高野氏は、たいていの被疑者はゴーン氏のように逃げ切れることはできないとしながらも、もしもできるのであれば「彼らは間違いなく試みたことだろう」と述べた。

高野氏はゴーン氏に、これまで自分が扱ってきた裁判のなかで今回ほど証拠不十分な例はなく、たとえ裁判が公正なものでなかったとしても、無罪判決を勝ち取る可能性は高いと伝えていたという。

高野氏は、最後にゴーン氏と会ったのはクリスマスイブで、ゴーン氏が椅子に座って妻のキャロルさんと1時間のビデオ通話をしていたときだったという。保釈条件として、通話には弁護士の立ち合いが求められ、通話の長さにも制限がある。

高野氏は英語に堪能であり、ゴーン氏は家族への尽きることのない愛を伝えており、通話の最後は「愛している」という言葉で締めくくられたと述べた。

ゴーン氏は、自動車メーカーの厳しいスケジュールのなかでも、クリスマスを家族と過ごすのを怠ったことは一度もないことで知られる。

高野氏は、日本の司法制度にこれほど反感を抱いたことはかつてないと述べた。

その通話のあと彼は、面目ない気持ちだとゴーン氏に謝り、裁判で最善を尽くすことを約束した。

ゴーン氏からは返事がなかったと高野氏はブログで振り返る。ブログのなかの見解は彼個人のもので、弁護団全体のものではないとしている。

日本の大手日刊紙の産経は土曜日に、彼の逃亡は、日産自動車がゴーン氏を監視するために雇った民間警備会社が監視を中止した直後に起きたと伝えた。

ゴーン氏はその警備会社を告訴する手続きを進めていたと産経は伝える。

別の弁護士である弘中惇一郎氏は、自身のクライアントであるゴーン氏の監視は人権侵害だと訴えていたが、その背後にいる存在の可能性について述べるのは拒否した。

日産は休業日で営業していないためにコメントは得られていない。日産は日本の裁判所の設定した監視状況を、ゴーン氏を見張るには不十分であると懸念していたのだと産経は伝えた。

弘中氏は金曜日に公共放送のNHKテレビに、ゴーン氏はフランスのパスポートのひとつを、当局者に呼び止められた際に解除しなくても読めるように鍵のかかったプラスチックケースに入れて持ち歩いていたと語った。その鍵は弁護士たちが持っていた。弘中氏はNHKに、ケースはハンマーで壊すことができるものだと述べた。同氏は今回の逃亡については何も知らないと言っている。

日本にいる外国人はすべて、警察などの当局者に見せることができるようパスポートの携帯が義務付けられている。そのフランスのパスポートは、ゴーン氏のレバノン入国に使われたものであるかどうかは不明である。

保釈条件では、ゴーン氏はすべてのパスポートを弁護士に預けることが義務付けられているが、レバノン当局者たちは、ゴーン氏はフランスのパスポートで合法的に入国したと述べている。ゴーン氏はブラジルとレバノンの市民権も持っている。

NHKによれば、ゴーン氏の自宅のビデオ映像には、12月29日に彼が歩いて家を出るところが映されているという。その前の報道では、彼は楽器ケースに入れて運び出されたと伝えられていた。

トルコの航空会社であるMNGジェットは、同社の航空機2機がゴーン氏の逃亡に不法に使用されたと述べた。最初に日本の大阪からイスタンブールへ、そのあとベイルートへと飛んだのだ。月曜日にベイルートに到着した後、彼は姿を見せていない。

MNGジェットは、同社の従業員のひとりが、ゴーン氏の名が出ないようにフライト記録を改ざんしたことを認めていると言い、その従業員はMNGジェットに知らせることなく「個人の資格で」実行したのだと付け加えた。同社は、ジェット機のリース先やその従業員の名については明らかにしていない。

国際刑事警察機構は、ゴーン氏の指名手配書を発行した。日本はレバノンと犯罪者引渡条約を結んでおらず、彼の引き渡しはありそうにない。

日本がどのように反応するのかも明確ではない。

これほど注目度の高い容疑者の大胆かつ見事な逃亡劇は、日本の保釈制度の監視方法に深刻な疑問を呈している。

保釈の判断をもっと厳しくすべきだとの声もあるが、日本の保釈は既に米国よりも制限されている。裁判や裁判開始前の準備期間は日本のほうがはるかに長く、有罪判決が下される率は99%以上である。

米国で一般的な電子テザーは、日本での保釈に使われることはない。ゴーン氏は保釈を請求する際に、その装着を申し出ていた。

行政機関は正月休み中で閉まっており、公式な発言は出されていない。

日本の「不公正」を回避するために出国したと声明で述べたゴーン氏は、ベイルートで水曜日に記者たちに会見を開くことになっている。

彼は、自分は無実だと繰り返し述べており、今回の告訴は、日産自動車とアライアンスパートナーであるフランスのルノーとのより完全な合併を阻止するためのでっち上げだと主張している。

彼は、自身の先物取引報酬の過少報告、そして日産の資金を個人的に流用した背信行為とで、日本で告訴されている。ゴーン氏は、収入は決められておらず、支払いは合法的なビジネスであったと述べている。

ゴーン氏の裁判の日程は設定されていないが、弁護士団は4月を意図していた。

AP通信

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