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国際経済、強まる分断=G20地盤沈下、「新秩序」加速も

しかし、G20首脳会議を今秋に控え、2会合連続で共同声明を出せなかった枠組みの機能不全は明白。(AFP)
しかし、G20首脳会議を今秋に控え、2会合連続で共同声明を出せなかった枠組みの機能不全は明白。(AFP)
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18 Jul 2022 03:07:02 GMT9
18 Jul 2022 03:07:02 GMT9

16日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる先進7カ国(G7)側とロシアや中国の溝が埋まらず、4月の会合に続き共同声明を採択できずに終了した。インフレや食料危機、開発途上国の債務問題など世界経済のリスクが山積する中、グローバル経済の推進役となってきたG20の地盤沈下は明らか。国際経済の分断が強まり、友好国同士だけが連携する「新たな秩序」に向けた動きが加速する恐れもある。

◇「橋渡し」できず

「地政学的緊張のため大変難しい状況だった。取り仕切り役への同情もいただいた」。初めてG20議長国となったインドネシア。閉幕後に記者会見したムルヤニ財務相は、参加国間の「橋渡し」が困難を極めたことを認めざるを得なかった。

日米欧は開幕初日から、「物価上昇の全ての責任はロシアにある」(イエレン米財務長官)などとロシアを厳しく批判。鈴木俊一財務相は閉幕後、「国際社会がロシアへの圧力をかけ続ける必要がある」と強調した。

共同声明に代わりインドネシアがまとめた議長総括は「多くの参加国は、世界経済はウクライナでの戦争で大打撃を受けているとの見方で一致した」と明記。日本の財務相同行筋は「ロシアを非難しなかった国があったのは事実」としながらも、議長総括を「かなりの成果」と評価した。

しかし、G20首脳会議を今秋に控え、2会合連続で共同声明を出せなかった枠組みの機能不全は明白。途上国の債務問題など、G20が対応すべき世界経済のリスクは放置され、危機は進行している。

◇進む陣営づくり

インドネシアでの会合の直前、スリランカの大統領が辞任、国外に逃亡した。背景にあるのは、多額の対外債務を抱え深刻化した経済危機だ。

日米欧などは、巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げて多くの途上国に多額の融資を行う中国が果たすべき責任を訴える。しかし、中国はこれに反発。中国の顔色をうかがう新興国もあり、G20は一枚岩になれていない。

G20が行き詰まる中、新たな秩序を模索する動きも活発化する。イエレン氏は会議中、サウジアラビアやトルコ、南アフリカの大臣らと精力的に個別会談し、G7が検討するロシア産石油の上限価格設定へ協力を呼び掛けた。鈴木氏は会議前にイエレン氏と会談し連携強化を確認。オーストラリア、インドを加えた枠組み「クアッド」のメンバーである豪財務相とも会談した。

一方、ロシアはG7など同国への制裁国を「非友好国」に指定。先月には、ロシアと中国のほか、ブラジル、インド、南アフリカで構成する新興5カ国(BRICS)に、G20メンバーのアルゼンチンが加入申請する動きも表面化した。

来年は日本がG7の議長国を務めるほか、G20はインド、アジア太平洋経済協力会議(APEC)は米国が議長国となる。ムルヤニ氏は「多国間主義が支持された」と総括したが、日米欧とこれに反発するロシアや中国、対立に距離を置く新興国などの思惑は交錯する。G20の仕組みを脱し、親しい国同士が他の陣営を排除する「ブロック経済」的な動きが強まる可能性がある。

時事通信

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