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「徴用工」具体的進展見えず=日韓、国内政治に不安要素

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18 Jul 2022 09:07:36 GMT9
18 Jul 2022 09:07:36 GMT9

韓国の尹錫悦政権発足後初の正式な日韓外相会談が行われ、関係改善に向けた協議が本格化した。だが、最大の懸案である元徴用工問題は目に見える形で進展はなかった。双方とも国内政治に不安要素を抱え、これが一致点にたどり着くのを難しくしている状況だ。

林芳正外相は18日、外務省飯倉公館に朴振外相を迎え、会談に続き夕食会も開いた。ただ、報道陣に公開された会談冒頭、両外相は肘タッチを交わしたものの通例となっている内外向けの発言はせず、沈黙のキックオフに。日本外務省当局者は「今の時点で友好的な雰囲気は出せないと判断した」と語る。

日韓関係は文在寅前政権下、「国交正常化後最悪」と言われるまで悪化した。東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、米国は日韓双方に改善を要請。これも踏まえる形で、岸田、尹両政権は健全化について「総論」では一致した。

しかし、個別の問題に踏み込めば、決着は容易でない。

徴用工問題をめぐっては、日本企業に賠償を命じる韓国最高裁判決が2018年に確定。原告への支払いに向け、日本企業の資産現金化が近づきつつある。

日本政府は「現金化すれば日韓関係は取り返しがつかなくなる」と警告。韓国外務省は原告側や専門家が参加する「官民協議会」を設置し、打開策を探るが、一部原告は「被告企業の謝罪と賠償」を強く要求している。

尹政権の与党は韓国国会で少数派。世論調査で尹氏は支持率が4割を切るなど早くも求心力低下が見られ、国内をまとめ切れるか不透明だ。日本政府内では、慰安婦問題を含め「意見集約は難しいだろう」(外務省幹部)との見方が広がる。

日本側は安倍晋三元首相の死去により保守系の「まとめ役」が不在となった。岸田文雄首相が「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦する方針を、韓国の反対を押し切って決めたのは、安倍氏が強く求めたことが決め手だ。

同時に安倍氏は「現実派」(首相官邸幹部)の顔を併せ持ち、首相在任中の15年に韓国政府と慰安婦合意を交わした際、改めて「おわびと反省の気持ち」を表明した。徴用工や慰安婦の問題では日本側も何らか歩み寄りを迫られる可能性を否定できない。日韓外交筋は「最後に保守を抑えてくれる存在を失った」と漏らす。

時事通信

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