岸田文雄首相(自民党総裁)は10日、内閣改造・党役員人事を行う。経済安全保障担当相に高市早苗政調会長(61)、防衛相に浜田靖一元防衛相(66)、デジタル相に河野太郎党広報本部長(59)を充てる。初入閣組では、総務相に寺田稔首相補佐官(64)、法相に葉梨康弘氏(62)、文部科学相には永岡桂子氏(68)の起用が固まった。
初入閣は9人。寺田氏ら3人のほか、西村明宏筆頭副幹事長(62)は環境相、谷公一氏(70)は国家公安委員長・防災担当相、小倉将信氏(41)は少子化担当相、秋葉賢也氏(60)は復興相にそれぞれ就く。参院の2人も初入閣で、岡田直樹参院国対委員長(60)は地方創生担当相、野村哲郎氏(78)は農林水産相への起用が内定した。
加藤勝信前官房長官(66)は厚生労働相、西村康稔前経済再生担当相(59)は経済産業相として再入閣する。山際大志郎経済再生担当相(53)、公明党の斉藤鉄夫国土交通相(70)は続投する。
松野博一官房長官(59)、林芳正外相(61)、鈴木俊一財務相(69)も留任する。政権の骨格は維持しつつ14人を入れ替え、新型コロナウイルス感染拡大や物価高騰などの懸案に取り組む。
党執行部では、麻生太郎副総裁(81)、茂木敏充幹事長(66)が続投。総務会長に遠藤利明選対委員長(72)、政調会長に萩生田光一経済産業相(58)、選対委員長には森山裕前国対委員長(77)が新たに就任する。
高市氏は銃撃事件で死亡した安倍晋三元首相と思想信条が近い。高市氏の後任となる萩生田氏は最大派閥の安倍派に所属する安倍氏側近として知られる。重要ポストを任せることで党内の保守系に配慮する狙いがあるとみられる。
一方、森山氏は菅義偉前首相や二階俊博元幹事長に近い「非主流」の重鎮。首相は挙党態勢の構築を目指す。
首相は人選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も考慮。自民党議員とのつながりが相次ぎ発覚したことを受け、長崎市での9日の記者会見で「自ら点検し、厳正に見直してもらうことが新閣僚、党役員においても前提となる」と強調した。
自民党は10日の総務会で役員人事を正式決定。首相は臨時閣議で現閣僚の辞表を取りまとめた後に組閣本部を設置。新たな閣僚名簿の発表、皇居での認証式を経て改造内閣が発足する。
時事通信