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日本のクルーズ船隔離を疑問視

2020年2月18日、横浜の大黒ふ頭客船ターミナルに入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のデッキに、新型コロナウイルス 「COVID-19」 感染の恐れで隔離されている人々が立っている。(AFP通信)
2020年2月18日、横浜の大黒ふ頭客船ターミナルに入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のデッキに、新型コロナウイルス 「COVID-19」 感染の恐れで隔離されている人々が立っている。(AFP通信)
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19 Feb 2020 03:02:00 GMT9
19 Feb 2020 03:02:00 GMT9

東京:クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の2週間にわたる異常な隔離が19日に終わる。数千人の乗客と乗員は東京に近い横浜港に今後数日中に下船する。

しかし、その船は膨大な感染者の発生を防ぐための隔離施設ではなく、中国発の憂慮すべき新型ウイルスの培養器になっていると言う科学者が増えている。

18日、隔離されている乗客と乗員3,711人中542人のウイルス感染が確認され、この船は中国以外で最も感染者の多い場所となった。

今の疑問:なぜ?

日本政府は隔離の有効性を繰り返し主張してきた。しかし、隔離がそれほど厳密ではない可能性を指摘する科学者もいる。

隔離の手順がずさんだった可能性があり、船内で検疫に対応した日本人検疫官3人も感染した。

英国のイースト・アングリア大学医学部教授のポール・ハンター博士は「考えられているほど、人々は隔離されていないのではないか」と述べた。

加藤勝信厚生労働大臣は18日に報道陣の前で語り、クルーズ船に残っている乗客全員は検疫を受け、定められた14日の隔離期間が終わる19日に陰性が判明した人から下船を開始すると明かした。

大臣は「みなさんは一刻も早く家に帰りたがっており、我々はその手伝いをしたいので、スムーズに家に帰れるようにしたい」と述べた。

人数が非常に多いため、全員の下船は21日までかかると見られる。

キングス・カレッジ・ロンドンの感染症専門家ナタリー・マクダーモット医師は「明らかに隔離は機能しておらず、この船は感染源になっている」と述べた。

ウイルスの正確な拡散メカニズムはわかっていないという。

マクダーモット医師は「船上の隔離措置がどのように実施されたか、船上の空気ろ過装置がどのようなものか、船室はどのように繋がっているか、廃棄物はどのように処理されているかを理解する必要があります」と述べた。

また、「私たちがよく知らない別の感染方法があるのかもしれません」と述べ、周囲に拡散している可能性と、汚染された表面に人が触れないように船全体を「念入りに洗浄すること」の重要性を指摘した。

2002~2003年に同類のウイルスSARSが流行したとき、専門家は香港の住宅団地の下水設備の不備により300人以上が感染したことを発見した。マクダーモット医師はダイアモンド・プリンセス号の船内でも同様の問題が起きた可能性があるが、十分な調査が必要だと述べた。

「適切に行われていれば、機能しなかったはずがありません」と同医師は言う。

ダイヤモンド・プリンセスの乗客の中には、船を「浮かぶ監獄」と呼ぶ人もいたが、乗客たちは毎日数分デッキの上を歩くことが許された。ただし、マスクを着用し、他人から距離を取るように指示された。

医学部教授のハンター氏は、ウイルスの拡散が続いたのはコンプライアンスの問題が原因かもしれないと述べた。

「船の環境で隔離を強制するのは難しく、何ができて何ができないのか誰にも指図されたくないと考える乗客は必ずいます」という。

ハンター氏は隔離によってウイルスの拡散が抑制できず、残念ながら帰国してから二度目の隔離を受ける乗客がいることに「非常にがっかりした」と述べた。

ウイルスが拡散し続けていることを考えれば、船を下りた全員に感染している可能性があると考えなければならず、さらに2週間の隔離が必要になります」とハンター氏。「それを行わないのは無謀です」

日本の厚生労働省は船での14日間の隔離は適切だと述べ、中国のウイルス震源地・武漢から帰国した日本人500人以上のうち最初の検査で陰性と判定された一人を除いた全員が、政府施設で14日間の隔離措置を受け、最後にウイルスに感染していないことが判明したことを挙げた。

当局は船での予防措置も擁護している。2月5日に初めて10人の感染者が報告され、14日間の隔離開始が正式に発表されて以来、約1,000人の乗組員はサージカルマスクの着用、手洗い、消毒スプレーの使用、レストランやバー、その他の娯楽場での作業停止を命じられた。

乗客は客室にとどまり、歩き回ったり他の乗客と接触したりしないように指示された。窓のない部屋の乗客は、毎日約1時間、デッキに出て散歩や運動をすることができた。

2週間の隔離は主に乗客を対象としていた。乗務員はダブルルームを同僚とシェアし、乗客に食事や手紙、タオル、アメニティを運んだり、すべての客室に入って掃除をしたりして業務を続けていたためだ。また、乗組員たちは各自で料理を作り、乗員用の食堂でグループで食事していた。

世界保健機関(WHO)の元地域事務局長・尾身茂氏は最近の記者会見で「乗員は、乗客とは異なり、食事を分け合っており、隔離が始まった後も感染者が出ています」と述べた。

尾身氏は、隔離は早期には有効と考えられる対策の1つだと述べた。しかし、ウイルスはすでに日本中の地域社会に入り込んでおり、国内ではすでに感染経路不明のケースが発生している。

この段階では「ウイルスの拡散は避けられず、隔離は問題外」と尾身氏は述べた。

また、国境管理から地域社会への拡散防止に重点を移すべきだと話す。

他の科学者らは最初から乗客を下船させるべきだったの述べた。

ニューヨーク大学医学部の生命倫理学者アーサー・キャプラン氏は「船はウイルスが蔓延する場所として有名です」と述べた。「人を乗船させることを道徳的に正当化できるのは、他に何の選択肢もないときだけです」

キャプラン氏によると、2度目の隔離はもっともだが、当局は元の計画が失敗した場合どうなるかという最初の説明が下手だった。

「市民の自由や移動の権利を失うのは決して良いことではありませんが、病気の蔓延を防ごうとするなら、あと2週間の隔離は不当な負担ではありません」とキャプラン氏は述べた。

AP通信

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