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コロナ感染者が中東で少なめなのは、中東ならではの慣習も一因か

宮田氏は、イスラム教徒の潔癖好きな習慣が中東の一部で感染率が低めである一因ではないかとしている。(AFP)
宮田氏は、イスラム教徒の潔癖好きな習慣が中東の一部で感染率が低めである一因ではないかとしている。(AFP)
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29 Feb 2020 07:02:04 GMT9
29 Feb 2020 07:02:04 GMT9

【東京=ハルドゥーン・アズハリ】

現代イスラム研究センターの宮田律(みやた おさむ)理事長によれば、コロナウイルスとそれにともなうパニックに対処する上で日本は中東および歴史から何ほどか学んでもよいだろう、とのことだ。

日刊ゲンダイに掲載の記事で宮田氏は、中東の一部で感染率がいくぶん低めであるのは、イスラム教徒の清潔を旨とする慣習によるところもあるかもしれないとする。イスラム教では確かに、礼拝の際には神を崇めるしるしとして、「ウドゥ」と呼ばれる、口をすすぎ顔や手や足を洗う慣習が求められる。

高温乾燥の中東の気候も一因ではあるかもしれないが、目下のところ中東の大部分ではウイルス感染者がほとんど出ていない。ドーハやドバイには中国との定期便を飛ばす主要空港があるにもかかわらず、だ。

MERS(中東呼吸器症候群)が2012年に蔓延した際も、このウイルスはラクダと関連があるとされたものの感染レベルは相当小規模に抑え込んだ。中東の一部ではラクダとの接触が日常的にあり、大規模なメッカ巡礼もおこなわれているがものともしていない。

もうひとつ、中東とのからみで日本が学べる点として宮田氏が挙げるのは、1970年代にさかのぼる。当時、イスラエルとエジプト主導のアラブ諸国は戦争状態にあり、非協力的な国々には原油輸出禁輸措置が取られていた。

原油高とそれにともなう物価への影響から、日本国内は日用品があっという間に店頭から消えるなどといったパニックに陥った。その結果、国民はトイレットペーパーや砂糖や洗剤といった商品の買い占めに走った。

コロナウイルスをめぐっても日本国内では同様のパニックが広がっている。このためマスクや消毒用アルコールも不足している。

ウイルスの拡散のことばかり報じ、回復のしかたについては等閑視しているメディアのあり方もパニックを呼ぶ一因だと、宮田氏は記す。日本では年間約1万人が亡くなる冬のインフルエンザの流行に比べれば、新型コロナウイルスの毒性はこれまでのところさまで強くないことも思い起こすべきだ、と同氏はする。

新型コロナ感染者の致死率は3%ほどかといった報道もあるが、多数の死者が出ているのは中国だ。中国の医療体制は概して日本ほどレベルが高くない。

ウイルスを気に病むあまり中国人などへの差別感情が高まることについては、最後に宮田氏がその愚に釘を刺している。

911のテロ攻撃後もイスラム教徒が差別されたところだが、同様にしてウイルスへの恐れがあおられ、アジア人であることがあたかも不名誉なことのように世界でみなされる場合もある。日本はかつて民族差別をおこなった過去をもつため、宮田氏はウイルスへの恐れから人種差別やそれと呼応した政策決定などがあおられぬことが肝要だと念を押している。

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