Carla Chahrour

レバノンにあるベイルート・アメリカン大学は今年、3000万ドルに上る実損を伴う財源不足に直面している。レバノン経済の崩壊が新型コロナウイルスの世界的流行とそれに伴う世界的な景気後退で悪化したのを受け、2020～21年には全部で2億4900万ドルの収入減に直面する。

同国が直面しているさまざまな要因からなる危機が合わさった結果こうなった。それは、パンデミック発生前に同大学に発表されたドルベースの外部奨学金の大幅な削減、既に学資援助を受けている継続学生に必要な援助の予測される増加、同大医療センターにおける患者数の大幅な減少、政府からの一定割合の未回収医療費といった形で同大学に反映されている。

同大においてそれは積極的な成長モデルを育んでおり、いくつかのランキングで世界のトップ200入りを果たした。現在の状況の先例のない結果により、同大は生き残りを懸けた闘いを強いられてきた。同大のFadlo Khuri学長はそれを同大創設以来最大の課題の一つだと表現している。

「ほとんどの組織は、このような急激かつ深刻な収入減に耐えられず、実際に世界中の多くの私立高等教育機関は、それぞれが現在予測している新型コロナウイルスの世界的流行後の収入ショックを耐えられないでしょう」とKhuri氏は5日、同大コミュニティーに宛てた手紙に書き、「他の世界屈指の大学のように、私たちは生き残るために根本的に変わらなければならない」と付け加えた。

手紙で言及されている調査中の変更には、起こりうる「未確定の数のプログラムや学部の廃止、多数のコミュニティー・メンバーの退職、一時解雇、資本支出の停止、大学主催の旅行、休暇、会議の当面の完全に近い中止、現在の社会保障体系の見直し」が含まれている。

「加速するレバノンの経済崩壊、新型コロナウイルスの世界的大流行、予想される世界的な経済不況を考えると、不可欠な任務だとみなされないものは、もはや手の届かないぜいたくとなる可能性が高い」とKhuri氏は述べた。

 Khuri氏によると、財源不足の結果、最終的には損失が発生し、過去5年間に大学が積み上げてきた緊急用積立金をほぼすべて使い果すことになり、その結果、大学のほぼ全ての分野で支出の削減が必要になる。

「最高の市場状況の下でも、この赤字は大学が1年で吸収するには限界を超えています。レバノンの経済状況が現状を好転させることは、今後数年間はなさそうです」とKhuri氏は述べた。

1975～1990年のレバノン内戦からの生存など、幾多の試練に直面してきた大学の歴史の中で、困難は今に始まったことではないが、Khuri氏は強制的な未来に直面しなければならない困難を強調した。

「大幅な減給となる上級管理職から、購買力の低下を実感している教職員、授業料の支払いにこれまで以上に苦しんでいる学生とその家族、経済的に最も困難な集団を構成する職員に至るまで、誰もが影響を受けることに疑問や疑いの余地はありません」とKhuri氏は述べた。

それにもかかわらず、Khuri氏は、当局がレバノンだけでなく地域全体の教育の柱として機能してきたこの大学を救うために、休むことなく一生懸命取り組んでいることを職員と学生の両方に保証した。6月15日に大学コミュニティーに提出される新たな予算案をまとめるために今月中に協議を行う、とそれの土台となる節約の概要を記した手紙の中で書き足した。

「私たちはできること全てをするつもりですし、切り抜けなければなりません。ベイルート・アメリカン大学がその使命を果たすことができないのであれば、レバノンとその地域には希望はないと深く確信しています。本学を守ることが私たちの唯一の優先事項でなければなりません。私たちは守ります」とKhuri氏は断固として楽観的に述べた。