ラマッラ：パレスチナは6月3日、占領されたヨルダン川西岸地区を部分的に併合するイスラエルの計画に抗議する措置を拡大させ、イスラエルが代表して徴収した税金を拒否すると述べた。

1990年代の協定の下で、イスラエルが管理していた税金は、パレスチナ自治政府（PA）の予算額のうち、半分以上に相当する。パレスチナが殉教者と捕虜の家族に支給していた給付金の額を、イスラエルがパレスチナに渡す税収から差し引く措置を始めたことを受け、昨年数カ月間、パレスチナは税金の引き渡しを拒否した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は先月、イスラエルの新政府をなんとか手に入れ、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地とヨルダン渓谷の併合に取り掛かっており、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領は、二国間協定は無効だと宣言した。

パレスチナ政府のイブラヒム・メルヘム報道官は、「イスラエルとのあらゆる形態の協力を止めるという指導者の決定に従って」、5月の税徴収を拒絶したという声明を発表した。

イスラエルの財務相はコメントを控えた。

万一PAが月々の税収、およそ1億9000万ドルの収入がない状態が続けば、PAはどうなるのかということは、直ちには明らかではない。それでなくとも、PAの経済は既に新型コロナウイルス危機により、大きな打撃を受けていた。

パレスチナが国際的な支持を得て、国家としての地位を目指した領土の1つ、ヨルダン川西岸地区で、イスラエルが暴力を阻止するために、パレスチナの治安部隊がそれを手助けしていたのだが、もうしないだろう、とアッバース大統領は以前述べていた。

アッバース大統領とイスラエルの和平会談は、2014年に膠着状態になり、同大統領は不公平な判断が見られるので、トランプ政権を拒否し続けている。イスラエルとアメリカは、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人がイスラエルの完全な統治下となることより、PAが四苦八苦している様が見たいようだ。

ロイター通信