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レバノン国境沿いの町、シリアによる「占領」への警戒を強める

2020年7月1日、イドリブ州北部の農村地帯で行われた軍事演習に参加するシリアの反体制派の国民開放戦線のメンバー。(AFP通信)
2020年7月1日、イドリブ州北部の農村地帯で行われた軍事演習に参加するシリアの反体制派の国民開放戦線のメンバー。(AFP通信)
レバノン軍が配備されはじめた翌日、シリアとの国境沿いのArsalの北部の町の街道を警備するレバノン軍兵士。(AFP/ファイル写真)
レバノン軍が配備されはじめた翌日、シリアとの国境沿いのArsalの北部の町の街道を警備するレバノン軍兵士。(AFP/ファイル写真)
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05 Jul 2020 06:07:34 GMT9
05 Jul 2020 06:07:34 GMT9
  • Saad Hariri元首相は町での一連の事件ついて「非常に深い懸念」を表明した 

Najia Houssari

ベイルート:シリアとの国境沿いに位置するレバノンの農村であるTfailの住民によれば、町を占領しようとしているように見える武装集団が見守るなか、ブルドーザーが農地を破壊するのを止めることができないという。

不安を抱える住民によると、レバノン・シリア間の国境をめぐる混乱が、今回の問題に拍車をかけている。両国の国境の多くの部分がまだ明確にされていない。

レバノンの指導者たちもこの問題を注視している。先週火曜日には元首相であり未来議会ブロックのリーダーであるSaad Hariri氏が、町での一連の出来事について「非常に深い懸念」を表明した。

Hariri氏は、Tfailに対する威嚇行動は「地域の人口動態に影響を及ぼす計画の一環として、住民を追い出そうという悪意あるこころみ」の一部として行われている可能性があるとした。

レバノン・シリア国境は全長380kmだが、1935年に大レバノンが設立された後に、境界線が画定されたのは40kmの区間にとどまる。シリアでの戦争により、残りの部分の境界線を画定しようとする試みは停滞している。

シリアのWalid Al-Muallem外相は10日前、「レバノンとの国境を境界線で区切ることはないだろうし、国境に国際軍を配備することも受け入れない。友好国同士がこうした取り決めをすることはふさわしくない」とした。

Tfailはレバオンからシリア領内へと伸びた半島のような形をしており、レバノン側から町にアクセスすることはできない。町の住人がレバノン国内の他の都市や町に行きたければ、レバノンでの目的地に向かう前にダマスカスに行かなければならず、その逆もまた然りだ。

しかし、シリアでの戦争(とくにシリアのカラムーン山地での戦闘)の影響により、Tfailの住民は移住を余儀なくされた。彼らレバノン人やシリア人難民は、Britalの町を経由してレバノン各地に向かった。

Tfailの住民は農業に従事したり、レバノン軍に従軍したりしている。町民のほとんどはスンニ派である。

Tfailの近くには3つのシリアの町がある。東のHosh Arab、北のAssal Al-Ward、南のRankousである。Tfailに最も近いレバノンの町はHamであり、町同士を行き来するためには険しい道を通る必要がある。Tfailの通信や電気などの基本的なサービスはシリアが供給している。

アラブ・ニュースは、Tfailの町で何が起きているのかを調査した。 Baalbek-Hermel州の元ムフティであるSheikh Ayman Al-Rifai氏は、次のように語った。「レバノン中央銀行は、MEPCO銀行が所有する土地を没収して以来、町の土地を1800株所有しており、他にも様々な人々が土地を所有している」

「他方で、所有権を証明する法的な文書を持たずに、これらの土地に侵入し、耕作し、相続した人々がいる。どうやらTfail出身のレバノン人が、以前シリアの検問所があった場所の土地を購入し、耕作を始めたことが、Tfailの住民を激怒させたようだ」と述べた。

Al-Rifai氏は、レバノン軍に連絡して状況を確認したいう。「担当官からは、土地を整地したことで、軍が検問所を設置できるようになったと伝えられた。そうすることがレバノンの国益にかなうという言い分だ」と同氏は指摘する。

噂では、買い手はシリアのBashar Assad大統領の政権とつながっているシリア人ではないかと言われている。

アラブ・ニュースは、新しい土地の所有者であるMohammed Hassan Diqqo氏(35歳)に連絡を取った。同氏は、Tfailに住むレバノン人の実業家である。

Diqqo氏によると、レバノン南部出身のMahmoud Ali Khanafer氏から2万ドゥンム(2万平方メートル相当)を購入し、レバノン当局が発行した権利証書を持っているという。

しかし、同氏は「レバノン中央銀行と協同で町を所有している 」として、土地の代金として支払った金額を明らかにしようとしなかった。

Diqqo氏は、「Tfailには70軒の家があり、そのうち45軒はシリア人が所有し、25軒はレバノン人が所有しているが、レバノン人が永住しているのは10軒だけだ」と述べた。

Diqqoは、「ヒズボラもシリア政権も、彼が町でやっていることには一切関与していない」と述た。また「Tfailには水資源が豊富にあるため、水充填工場を設置するための投資計画を立てており、その一環として、5年間で100本の果物や森の木を植える開発計画を実行している」と主張した。

Diqqo氏は、レバノン人とシリア人200人に雇用を提供したと述べた。

また同氏は、Tfailとレバノン領の間の行き来を可能とするために修繕された道路は、用地買収の手続きを行わずに設置されたため、違法であると述べた。

 

2020年7月1日、イドリブ州北部の農村地帯で行われた軍事演習に参加するシリアの反体制派の国民開放戦線のメンバー。(AFP通信)

 

レバノン軍が配備されはじめた翌日、シリアとの国境沿いのArsalの北部の町の街道を警備するレバノン軍兵士。(AFP/ファイル写真)

  • Saad Hariri元首相は町での一連の事件ついて「非常に深い懸念」を表明した 

Najia Houssari

ベイルート:シリアとの国境沿いに位置するレバノンの農村であるTfailの住民によれば、町を占領しようとしているように見える武装集団が見守るなか、ブルドーザーが農地を破壊するのを止めることができないという。

不安を抱える住民によると、レバノン・シリア間の国境をめぐる混乱が、今回の問題に拍車をかけている。両国の国境の多くの部分がまだ明確にされていない。

レバノンの指導者たちもこの問題を注視している。先週火曜日には元首相であり未来議会ブロックのリーダーであるSaad Hariri氏が、町での一連の出来事について「非常に深い懸念」を表明した。

Hariri氏は、Tfailに対する威嚇行動は「地域の人口動態に影響を及ぼす計画の一環として、住民を追い出そうという悪意あるこころみ」の一部として行われている可能性があるとした。

レバノン・シリア国境は全長380kmだが、1935年に大レバノンが設立された後に、境界線が画定されたのは40kmの区間にとどまる。シリアでの戦争により、残りの部分の境界線を画定しようとする試みは停滞している。

シリアのWalid Al-Muallem外相は10日前、「レバノンとの国境を境界線で区切ることはないだろうし、国境に国際軍を配備することも受け入れない。友好国同士がこうした取り決めをすることはふさわしくない」とした。

Tfailはレバオンからシリア領内へと伸びた半島のような形をしており、レバノン側から町にアクセスすることはできない。町の住人がレバノン国内の他の都市や町に行きたければ、レバノンでの目的地に向かう前にダマスカスに行かなければならず、その逆もまた然りだ。

しかし、シリアでの戦争(とくにシリアのカラムーン山地での戦闘)の影響により、Tfailの住民は移住を余儀なくされた。彼らレバノン人やシリア人難民は、Britalの町を経由してレバノン各地に向かった。

Tfailの住民は農業に従事したり、レバノン軍に従軍したりしている。町民のほとんどはスンニ派である。

Tfailの近くには3つのシリアの町がある。東のHosh Arab、北のAssal Al-Ward、南のRankousである。Tfailに最も近いレバノンの町はHamであり、町同士を行き来するためには険しい道を通る必要がある。Tfailの通信や電気などの基本的なサービスはシリアが供給している。

アラブ・ニュースは、Tfailの町で何が起きているのかを調査した。 Baalbek-Hermel州の元ムフティであるSheikh Ayman Al-Rifai氏は、次のように語った。「レバノン中央銀行は、MEPCO銀行が所有する土地を没収して以来、町の土地を1800株所有しており、他にも様々な人々が土地を所有している」

「他方で、所有権を証明する法的な文書を持たずに、これらの土地に侵入し、耕作し、相続した人々がいる。どうやらTfail出身のレバノン人が、以前シリアの検問所があった場所の土地を購入し、耕作を始めたことが、Tfailの住民を激怒させたようだ」と述べた。

Al-Rifai氏は、レバノン軍に連絡して状況を確認したいう。「担当官からは、土地を整地したことで、軍が検問所を設置できるようになったと伝えられた。そうすることがレバノンの国益にかなうという言い分だ」と同氏は指摘する。

噂では、買い手はシリアのBashar Assad大統領の政権とつながっているシリア人ではないかと言われている。

アラブ・ニュースは、新しい土地の所有者であるMohammed Hassan Diqqo氏(35歳)に連絡を取った。同氏は、Tfailに住むレバノン人の実業家である。

Diqqo氏によると、レバノン南部出身のMahmoud Ali Khanafer氏から2万ドゥンム(2万平方メートル相当)を購入し、レバノン当局が発行した権利証書を持っているという。

しかし、同氏は「レバノン中央銀行と協同で町を所有している 」として、土地の代金として支払った金額を明らかにしようとしなかった。

Diqqo氏は、「Tfailには70軒の家があり、そのうち45軒はシリア人が所有し、25軒はレバノン人が所有しているが、レバノン人が永住しているのは10軒だけだ」と述べた。

Diqqoは、「ヒズボラもシリア政権も、彼が町でやっていることには一切関与していない」と述た。また「Tfailには水資源が豊富にあるため、水充填工場を設置するための投資計画を立てており、その一環として、5年間で100本の果物や森の木を植える開発計画を実行している」と主張した。

Diqqo氏は、レバノン人とシリア人200人に雇用を提供したと述べた。

また同氏は、Tfailとレバノン領の間の行き来を可能とするために修繕された道路は、用地買収の手続きを行わずに設置されたため、違法であると述べた。

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