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イスラエル首相の息子が一連の汚職事件で注目を浴びる

ヤイール・ネタニヤフはソーシャルメディアでジャーナリストと対立するなど、ニュースの常連となっている。 (File/AFP)
ヤイール・ネタニヤフはソーシャルメディアでジャーナリストと対立するなど、ニュースの常連となっている。 (File/AFP)
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06 Jul 2020 01:07:03 GMT9
06 Jul 2020 01:07:03 GMT9
  • ヤイール・ネタニヤフは、父のますます敵意むき出しになっていくソーシャルメディア戦略における、中心的助言者にして黒幕だと考えられている。

エルサレム:スキャンダルに苦しむベンヤミン・ネタニヤフ首相が汚職に関する裁判に出廷することになったが、28歳の息子が、首相を批判する人々に対する反撃の原動力として登場してきた。その反撃の対象には、長年務めてきたイスラエルの首相を起訴している国家機関も含まれている。

首相のナショナリスト的地盤と、世界中の極右指導者たちのお気に入りである、ヤイール・ネタニヤフは、ニュースにいつも出てくる人物となった。ソーシャルメディアでジャーナリストと対立し、自分の父に反対する者たちを起訴すると脅し、また、あまりに攻撃的とされる内容をネット上に投稿したので、Facebookに短期間アカウントを停止された。

先月だけで、彼はマイノリティーをテルアビブから追放するよう求め、全アメリカ大統領バラク・オバマがケニアで生まれたという、虚偽であることが発覚した陰謀論をツイートし、自分の父親に批判的なイスラエルの報道ジャーナリストは、要人と寝ることで、熱望していた仕事に登り詰めたのだとほのめかした。

だが彼の最も厳しい批判は、イスラエルのメディア、司法機関、法執行機関に向けられてきた。彼の言うところの、父を倒すための、左翼的な、イデオロギー上の聖戦を行なっていることに対してである。彼は検事総長を「違法行為」で捜査するよう求め、警察長を架空のマフィアのボスであるトニー・ソプラノになぞらえ、捜査官をシュタージ、ゲシュタポ、「イスラエルの臨時政府の秘密警察」と表現している。

これは、首相によっても(程度は小さいにせよ)広められている組織的運動の一つであり、イスラエルの民主主義的制度に対する市民の信頼を損なっているものであると、ネタニヤフの批判者たちは警告する。

「我々は彼を変な人として、父親に恥をかかせ続ける困った子供として、単に無視したいと思っています。でも実際のところ、彼は非常に影響力が強いという証拠があるのです」と、Raviv Druckerはいう。Druckerは、尊敬を集めるテレビ取材記者であり、ネタニヤフ父子のお気に入りの攻撃の的で、父子ともに最近、Druckerが牢獄に入るのを見たいとツイートした。「彼は非常に極端な立場をとっており、それが首相の行動に影響を与えるのです」

公的な役職にはついていないものの、ヤイール・ネタニヤフは、父のますます敵意むき出しになっていくソーシャルメディア戦略における、中心的助言者にして黒幕だと考えられている。

ネタニヤフは、詐欺、背信、賄賂の受領などの容疑で、裕福な友人とのつながりから始まった一連の汚職事件に直面している。ネタニヤフは容疑を否認している。この告発の前の数年間は、家族がらみのスキャンダルが続いていた。

何年もの間、非難の多くは、首相の妻であるサラに向けられていた。それは、ぜいたく好みや、国家資金の濫用や、自分のスタッフを虐待した疑惑によってだった。しかし最近では、長男が注目を浴びるようになった。長男は、納税者を犠牲にして特権的な暮らしをしていると言う評判を得ながら、様々なスキャンダルに目立った関与を見せてきた。

首相の汚職起訴に関係している人物の一人である、オーストラリアの億万長者のジェームズ・パッカーは、報じられるところによると、息子のネタニヤフに贈り物をあげたと言う。その中には、プライベートジェットの使用や、パッカーの元婚約者であるマライア・キャリーのコンサートの何十枚ものチケットだけでなく、テルアビブ、ニューヨーク、コロラド州アスペンの高級ホテルでの滞在も含まれていた。以前はネタニヤフの側近で、現在は起訴する側の証人になったNir Hefetzは、警察に対し、ヤイール・ネタニヤフが父の汚職事件の主要な扇動者だったと話した。

また、ヤイール・ネタニヤフは、父を批判するものたちに向けて反ユダヤ的な風刺画を投稿したり、公園で犬の後始末をするように言った女性に対して下品なやり方で対決したり、新型コロナウイルス感染症で、高齢で左翼デモに参加している者が死ぬことを望むとツイートしたりして物議を醸している。

首相は、金持ちの友達とともにストリップクラブに出かけるというような、息子の特に猥褻な行動を非難せざるを得なくなった。しかし、全般的に、断固として息子を擁護している。

日刊紙のハアレツのコラムニストで、近刊である首相の伝記の著者である、Anshel Pfefferは、ヤイール・ネタニヤフのおかげで、首相が、国民の我慢する限界を試すのが可能となっていると述べる。

「もし首相がやり過ぎれば、ヤイールだけのせいだと言うことができます」と彼は言う。「首相に否認権を与えているのです。グレーゾーンを作って、公の場で首相が何を言ったかの線引きを不明瞭にしています」

ヤイール・ネタニヤフは、1996年に父親が初めて首相に就任した時にはまだ4歳だったが、脚光を浴びて成長してきた。強制兵役中は、海外メディアとの連絡役を任されていた。無許可の休暇を取ったことで法廷に召集されたこともある。

地元の動物愛護団体でボランティアをしたり、パレスチナ攻撃の被害者に法的サービスを提供するイスラエルのNGOで、少しの間、ソーシャルメディア指揮官を務めたりしたこともある。しかし、ユダヤ人とアラブ人の共存を提唱するイスラエルの名目上の大統領を攻撃したことで、彼は休職に追い込まれた。

私人としては、ヤイール・ネタニヤフはブライトバート誌に論説記事を掲載し、アメリカやヨーロッパへの講演ツアーに参加し、アメリカやヨーロッパの右翼過激派の支持を表明してきた。彼はその見返りに彼らの賞賛を得ている。

ヤイールを支持する人たちは、彼は父親を標的にしているのと同じ人々の犠牲者だと主張している。しかし、彼の異母姉のノアと、普段は人と付き合わない、謙虚な26歳の大学生である弟のアブナーを、メディアはほとんど無視している。

今でも両親と一緒に暮らしており、コメントを拒否したヤイール・ネタニヤフは、自分に政治的大志はないと主張する。イスラエルのメディアへの唯一のインタビューでは、ネタニヤフ支持の局であるChannel 20に対して、彼は昨年、一族が自分たちの地位のために払う代価について嘆いた。彼は、2000年代初頭に父が政治から遠ざかった3年間は、最も幸せな時期だったと語った。

「父は、これまで送ってきた良い人生を脇に置いて、自分の天職のために、この中傷のなかに戻ることを決めました」と彼は言った。「私の政治への関与は、私個人のFacebookとTwitterで見られるものだけです」

8万人以上のフォロワーを持つツイッターでは、彼は1日に何十回も痛烈な発言をしており、彼のフィードは次のニュースサイクルにしばしば影響を及ぼすことになる。Facebookは2018年、禁止されているコンテンツをシェアしたり、イスラム教徒のいないイスラエルの方が好きだと書いたりしたことで、彼のアカウントを24時間ブロックした。

彼独特の挑発は、政治家、ジャーナリスト、コメンテーターにとっては、反応せずにいられないものであることが分かってきた。彼らの多くは、ヤイールとの中傷合戦に引き込まれた。とはいえ、彼の標的の少なくとも6人は、ヤイールが公式な役職に就いていないことと、訴訟が絡んでいることから、コメントを拒否した。

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