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国連事務総長、ベイルート爆発の独自調査を呼び掛け

2020年2月28日、米国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区の国際連合本部での安全保障理事会会議におけるアントニオ・グテーレス国際連合事務総長。(ロイター)
2020年2月28日、米国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区の国際連合本部での安全保障理事会会議におけるアントニオ・グテーレス国際連合事務総長。(ロイター)
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11 Aug 2020 06:08:02 GMT9
11 Aug 2020 06:08:02 GMT9

エフレム・コサファイ

ニューヨーク:数十人が死亡し数千人が負傷した先週のベイルートの港湾での爆発の原因について、アントニオ・グテーレス国際連合事務総長が「信頼でき、かつ透明性のある」調査を呼び掛けている。

事務総長のコメントは、週末から月曜日にかけてレバノンの街頭で抗議を行った人々の要求にも呼応している。彼らは爆発が何年にもわたる政府の腐敗と無能に因るとしている。

レバノンの国連大使アマル・ムダラリ氏は、爆発が「15年分の戦争が15秒で起きたかのようです」と形容し、「我々が見た中でもっとも邪悪な15秒でした」と述べた。

ムダラリ氏は、レバノンの人道的状況についての国連のバーチャルブリーフィングで感情を揺さぶるような基調講演を行い、その中で「レバノンの人々は正義を求めています、そうする権利があるのです―それは当然のことです」と言った。

月曜日に開いた国際的な会合で、グテーレス事務総長は、大爆発の余波の中で苦闘するレバノンの人々の気力に敬意を表し、「隣人同士が助け合い、割れたガラスを街路から取り除いている人々もいれば、家屋を失った被災者たちに自宅を開放している人々もいる」と例を挙げて述べた。

グテーレス事務総長は、「迅速かつ惜しみなく」援助を提供することを国際的援助を行う諸団体に求めたが、また、レバノン国民の希求に応える取組みとして、同国の長期的な政治的、経済的改革の重要性も強調した。

国連は、既に、負傷者の手当てのために切実に必要とされている医療用品と共に、初期対応者への支援として捜索救助の専門家をベイルートに送っている。これらに加えて、国連は、家屋に損害を受けた家族向けの仮設住居建設といった急務や、港湾にあった穀物サイロが破壊されたことによる国内の食料不足への対応を目的としたパン製造業者向けの小麦と小麦粉の輸入に充当する資金として、1500万ドルを提供している。

グテーレス事務総長は、木曜日に爆発後のベイルートを訪れた初の外国首脳であるエマニュエル・マクロン仏大統領の尽力に続くように再建の取組みを支援することを各国首脳に要請した。

ムダラリ国連大使は、今回の仏大統領の訪問について、シャルル・ド・ゴール元仏大統領の言葉を引用し、「マクロン大統領とフランスのチームがレバノンの支援に到着したのを見て、レバノン人とフランス人の心臓の鼓動は完全に同期しました」と述べた。

日曜日、マクロン大統領は、レバノンへの国際的支援の呼び掛けを目的として、バーチャル・ドナー会議を共同開催し、各国首脳と国際組織は3億ドルの拠出を確約した。

支援提供国や組織は、人道援助は国連によって調整されレバノン国民に直接提供されることになると述べている。これは、政府に提供された支援金は正当な目的で使用され得ないという支援提供側の懸念の明確な表れである。支援提供側は、また、都市再建のための投資は、「レバノン国民が期待する時宜を得た対応と改革」を実行する責務の同国内当局による遂行を条件とすると警告した。

マクロン仏大統領は、これまで、国際通貨基金(IMF)との連携を通じて、レバノンの根深い腐敗に取組み、壊滅状態の同国経済と銀行システムに秩序を回復させようと改革を進めることを主張してきた。IMFは「有意義な改革案を導入し遂行しようとする政治的決意を欠如している」としてレバノンの支配層エリートを批判している。

50カ国以上が月曜日の国連の会合に参加した。すべての国が満場一致でレバノン国民との連帯を表明し、同国民の喫緊のニーズへの素早い対応を誓った。

世界食糧計画のデイビッド・ビーズリー事務局長は、レバノンが2週間以内にパン不足に見舞われ得ると警告し、これを避けるために穀物の輸入に向けての努力が重ねられていると述べた。ビーズリー事務局長はレバノンのミシェル・アウン大統領と閣僚たちと会談し、「絶対的な協力を求め、一切の妨害をしない」よう要請したことを明らかにした。「市民たちは支援を直接受け取れるよう私たちに懇請しています」と事務局長は述べた。

ムダラリ国連大使によると、ベイルートで特に必要とされているものは、医薬品、食料、建設資材、そして港湾の再建だという。同大使は「この惨事の緊急段階の支援だけでなく行程の最後まで見届ける」ことを国際社会に求めている。「最重要となる再建と復興の第2段階でもどうかレバノンを支えてくださるようお願いします」と同大使は言った。

この悲劇の深刻さ、さらには、ベイルートがその再建にあたって取り組まなければならない困難を承知した上で、ムダラリ国連大使は自身のスピーチを明るく楽観的な態度で締めくくった。

「75年前にサンフランシスコで国際連合の設立に立ち会った国々の1つであるレバノンは、復興することを皆様に誓います」と大使は述べた。「再建することでより良いレバノンとなります。共存と寛容のメッセージの発信を続け、国連憲章に記された原則と価値観を支持し続けます」。

「しかし、それは皆様の協力無しには出来ないことなのです」。

 

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