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ハマスの陰により緊張が高まるトルコ・イスラエル関係

2012年1月3日、アンカラのトルコ国会にて握手を交わすエルドアン大統領とハマスのハニーヤ政治局長。(ロイター)
2012年1月3日、アンカラのトルコ国会にて握手を交わすエルドアン大統領とハマスのハニーヤ政治局長。(ロイター)
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28 Aug 2020 06:08:20 GMT9
28 Aug 2020 06:08:20 GMT9

アラブニュース

  • トルコのレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領は、8月22日にイスタンブールで米国がテロリスト指定するイスマイル・ハニーヤ政治局長を含むハマスの指導者たちと会談した。
  • イスラエルのロイ・ギラド代理大使は、昨年の段階でハマスが首都イスタンブールで「テロ活動」を行っているとトルコに対し警告していたと述べた。

ジェッダ:トルコ政府がイスタンブールに在住する12名のハマス構成員にパスポートと身分証明書を発行しているとイスラエル政府が主張する中、双方が相手をテロ支援国家として非難合戦を繰り広げるに至った。

イスラエルの上級外交官が8月26日に、今回の会談は「友好関係を著しく損なうもの」だと述べた。

トルコ政府とハマス指導部の間には明らかに以前からパイプがある。トルコのレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領は、8月22日にイスタンブールで米国がテロリスト指定するイスマイル・ハニーヤ政治局長を含むハマスの指導者たちと会談した。ハマスは米国、イスラエル、EUからテロ組織指定を受けている。

対抗措置としてイスラエルは、東地中海での領海紛争や石油掘削活動といったトルコの動きに反発する諸国、特にギリシャやキプロスに対し支援を実施している。

イスラエルのロイ・ギラド代理大使は、ハマスがイスタンブールで「テロ活動」を行っていると昨年警告しており、トルコ側が何の対策も取っていないと付け加えた。トルコ在住のハマス構成員は、イスラエル軍兵士との捕虜交換により2011年にトルコに入国したとされている。

25日にトルコの元外交官で最大野党「共和人民党」のウナル・セビコズ副党首も、ハマス構成員12名にトルコ国籍が与えられた可能性があると述べた。ファット・オクタイ副大統領に対し議会で直接真偽をただした。

セビコズ副党首は、トルコ諜報機関トップのハカン・フィダン氏もエルドアン大統領とハニーヤ政治局長の会談に同席したと主張した。

「今回の動きはパレスチナ・イスラエル問題を両国が協力して解決する可能性を大幅に低下させるものだ。地域の緊張をさらに高めるような今回の動きにより、トルコはパレスチナ問題の解決に向け重要な役割を果たせなくなる」とセコビズ副党首は声明で述べている。

さらにセコビズ党首は、政府方針によりトルコが国際社会から孤立したと主張した。オクタイ副大統領に対し、ハマスが多くの国からテロ組織に指定されていることを考えれば、今回の大統領とハニーヤ政治局長の会談は、東地中海の安全を保つというトルコの国益と矛盾するのではないかと尋ねた。

「米国など諸外国からテロリストに指定されているハマス幹部2人を国賓待遇で迎えるなど、トルコ政府は以前からハマスを支援しています。今回の動きにより現政権が国際秩序を甚だしく軽視していることが再び明らかになりました。トルコ政府はハマスを外国政府のように扱い、政権トップが迎え入れています」と中東情勢報告分析センターのセス・J・フランツマン事務局長がアラブニュースの取材で述べた。

フランツマン事務局長によると、トルコはハマスをパレスチナの他の勢力より優遇しているとみられる。

「ようやくイスラエルがこうした事実を公表しました。トルコ政府がイスラエルの国益を損なう行為を続け、テロ組織の指導者たちをもてなしたからです。さらにはイスラエルとUAEの国交正常化を阻止する動きをも見せたからです」と述べた。

フランツマン事務局長の説によると、トルコ政府がハマスと接触する目的とは自らが支援するムスリム同胞団とつながる各組織とその支援国家のネットワークにハマスを加えることだという。このネットワークにはカタール政府、リビアの一部を支配する国民合意政府、もちろんのこと2013年に政権から降りる前は主要同盟国だったエジプトのムスリム同胞団そのものなどが含まれる。

「トルコ政府がハマス指導者と会談した意図はイスラエルとUAEの国交正常化に対抗するためであり、カタールがガザ地区に特命使節団を派遣しているのと歩調を合わせるものです。カタールの動きについてイスラエルはある程度評価していますが、ここ最近の複数のトルコ政府幹部による「アル=アクサー(エルサレムにあるモスク)を開放する」との発言については、イスラエルへの敵対行為と受けとめています。だからイスラエルは現在、地中海でギリシャを支援しているのです」とフランツマン事務局長は述べた。

かつて同盟国だったイスラエルとトルコは、2009年にガザ国際支援船襲撃・拿捕事件が起きて双方が大使を召還した後、複数の段階を踏んで2015年に外交関係を正常化するに至った。しかし、フランツマン事務局長によると「トルコ政府がイスラエルを主要敵国の1つと見なしているため、和解が進展することはありません。

「トルコは合法的な政府であるパレスチナ自治政府を軽んじています。ハマスを合法的な政府にしたいからです。こうなると必然的にイスラエル・トルコ関係は悪化します。さらにヨルダン川西岸、エルサレム、ガザ地区全域に影響力を及ぼそうという動きはトルコ政府の長期目標の一部です。トルコ政府はイスラエルに影響力を行使して地中海、リビア、イラク、シリア、ペルシャ湾岸で引き起こした危機的状況を作り出そうとしているのです」と付け加えた。

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