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イラク首都で何千人もの人々が夜間外出禁止令を無視、クラクションや音楽を鳴らして抵抗

2019年10月28日月曜日、イラクバグダッドでデモが行われ政府に抗議する人々がタハリール広場に集まった。(AP)
2019年10月28日月曜日、イラクバグダッドでデモが行われ政府に抗議する人々がタハリール広場に集まった。(AP)
28 Oct 2019 07:10:03 GMT9
  • アッ= サドル師陣営は要求が容れられるまでは反政府の立場を取ると言明
  • デモ開始以来、デモ参加者を中心に200人以上が死亡、負傷者は8,000人を超える

バグダッド:火曜日早朝、学生を含む数千人の人々が軍による夜間外出禁止令を無視して反政府デモを繰り広げ、イラクの首都の道路はクラクションを鳴らす車で溢れ、けたたましい音楽が鳴り響いた。

今月に入りイラクの広い範囲でデモが行われている。第1波に続いて第2波が繰り広げられているこのデモは当初失業と汚職に抗議するものであったが、次第に体制変革を求めるものとなってきている。

逮捕の恐れがあり、今までのデモへの暴力的対応で240人近くが死亡しているにもかかわらず、月曜日のバグダッドのデモには臨時夜間外出禁止令を無視する形で多くの人々が集結、参加者5人が亡くなった。

当夜、軍は0時 (グリニッジ標準時21時) から6時間は、車、徒歩にかかわらず首都での通行を禁ずると発表、バグダッドのデモ隊仮設キャンプには治安維持部隊の襲撃があるかもしれないと警告していた。

しかし外出禁止令発令時刻になっても、バグダッドの象徴、タハリール (解放) 広場には車あるいは徒歩で人々が続々と集まってきていた。

トゥクトゥクといわれる三輪の車両も人々をタハリールに運び、集まった車のクラクションの音は周辺地域にまで聞こえていた。

政府施設や各国大使館などがあるグリーン・ゾーンをデモ隊襲撃から守るため催涙ガス攻撃が集中的に行われていたが、デモ隊は散会せずデモ当夜は広場占拠5日目の夜だった。

デモは今月第1週の抗議運動開始から目覚ましい展開を見せている。デモ隊はタハリール広場へのテント設営を許可され、木曜以来広場の高層ビルを占拠している。

デモはイラク南部のシーア派が優勢な地域でも続いており、聖地カルバラでも夜間集会が開かれ治安維持部隊との小競り合いに発展している。

デモ隊には大規模な学生の代表団も合流している。彼らは高等教育相や首相官邸から「静観」するように厳しく警告されていたにも関わらずデモ隊に加わった。

月曜日、首都南方のディワニヤでは授業をボイコットした学生らが「体制を打ち壊すまでは学校もクラスもなしだ!」と叫んでいた。

学生たちはナシリヤ、ヒッラ、バスラ、そして聖地ナジャフでも抗議集会を開いた。

全国教師労働組合は4日間のストライキを宣言、弁護士ユニオンも数日間法廷活動をボイコットするようメンバーに呼びかけた。

ある学生デモ参加者はこう語った「クサイ・アル = スハイル (高等教育相) は街に出ないようにと言いましたが、僕たちはこう言います『ノーネーション、ノークラス! (国民なければ授業もなし!)』」

「政府に望むのは、即時の総辞職だけです。総辞職しないなら倒します」

イラクの人口は4000万人強であるが、その60%が25歳未満である。

しかし若者の失業率は25%にのぼり、国はOPEC第2位の原油生産国として石油から莫大な利益を得ているにもかかわらず国民の5人に1人が貧困ライン以下の生活を強いられている。

格差への怒り、格差を生み出している政府の腐敗への非難が10月1日のバグダッドでの抗議運動となって爆発し、以来運動に賛同し参加する若者の数は増加の一途である。

月曜日少人数の学生グループが、催涙ガスにやられた人々を治療するためのキット(顔にかけて不快症状を和らげるものだと思われる)とペプシコーラ缶をタハリール広場に運び込んだ。

「抗議デモに参加するのは今日が初めて。お母さんには授業に行くと言ってここに来ちゃったわ」とカーリーヘアの女の子はAFPに語った。

近年のイランの歴史の中で、これほど政治的立場を越えて怒りが表明された抗議運動はない。伝統的に尊敬されてきた宗教指導者に批判の矛先を向ける者さえいる。

月曜日イラク国会は、県議会を解散し、政府高官の特権を廃止し、追い詰められたアデル・アブドル・マハディ首相を国会質問に召喚することを議決した。

首相は雇用促進、年金値上げ、汚職根絶など数々の改革案を提案した。

バルハム・サリフ大統領も選挙改革や2005年憲法の改正に関して国連と話し合いを持ったが、抗議運動は鎮まる気配を見せていない。

日曜日の夜遅く、デモ参加者との連帯を謳う4人の議員が辞職、議会最大グループは土曜夜から無期限の座り込みに入っている。

サドル運動を率いる指導者ムクタダ・サドル師に属するグループ「サイルン」はアブドル・マハディ首相への支持を取り下げると語った。

この動きによって首相は今までになく苦しい立場に立たされている。サイルンは政権を支持する2つの主要グループの内の1つだったからだ。

もう一方の支持グループは人民防衛部隊 (Hashed Al-Shaabi) の政治部門ファタハであるが、こちらは中央政府への支持を継続すると述べている。

ここ数日の間にイラク南部では人民防衛部隊のいくつかのオフィスが放火された。これに対し部隊リーダーたちは「復讐」を誓っている。

サドル師は日曜日、これに「腐敗を擁護するな、人民を抑圧するな」と応じ、警告を発している。

治安当局筋によると、月曜日の夜遅く、米軍部隊が配備されているバグダッド北部の軍事基地タイジが2基の迫撃砲による攻撃を受けた。

これによる損害、死傷者についての報告はなく、攻撃を行った者も名乗り出ていない。

AFP

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