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世界の専門家らが、中東の平和、および安全保障と繁栄実現のための新たな道を拓くための方法を議論

「中東の平和:安全保障と繁栄のための新たな道を拓くためのオンラインシンポジウム」TRENDSリサーチ&アドバイザリー主催、アル・イテハド新聞、イェディオト・アハロノト新聞協力。(TRENDS)
「中東の平和:安全保障と繁栄のための新たな道を拓くためのオンラインシンポジウム」TRENDSリサーチ&アドバイザリー主催、アル・イテハド新聞、イェディオト・アハロノト新聞協力。(TRENDS)
「中東の平和:安全保障と繁栄のための新たな道を拓くためのオンラインシンポジウム」TRENDSリサーチ&アドバイザリー主催、アル・イテハド新聞、イェディオト・アハロノト新聞協力。(TRENDS)
「中東の平和:安全保障と繁栄のための新たな道を拓くためのオンラインシンポジウム」TRENDSリサーチ&アドバイザリー主催、アル・イテハド新聞、イェディオト・アハロノト新聞協力。(TRENDS)
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25 Sep 2020 01:09:17 GMT9
25 Sep 2020 01:09:17 GMT9

Arab News Japan

 

アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンがイスラエルとの国交正常化を決断したことによる平和への期待、新たなアラブ、長期平和実現のためのイスラエルおよび欧米の視点、平和的な文化構築におけるメディアの役割、同地域における包括的な平和および安全保障の確保にあたっての協力の可能性といった主なトピックが、21日にオンラインで開催された「中東の平和:安全保障と繁栄のための新たな道を拓くために」と題されたシンポジウムで議論された。このシンポジウムはTRENDSリサーチ&アドバイザリー主催、アル・イテハド新聞とイェディオト・アハロノト新聞協力で開催された。

このシンポジウムでは2つのセッションが行われた。最初のセッションは「国際平和デー:対立の遺産克服の可能性」と題し、安定性、発展、繁栄の鍵となる平和の重要性、そして中東での情勢の進展によって生まれた平和と安定への新たな希望に焦点を当てて議論が行われた。2つめのセッションは「アラブとイスラエルの平和合意:中東における持続的な平和へのビジョン」と題し、新たなアラブの視点、イスラエルおよび欧米の視点に注目し、同地域における平和構築に向けた新たなビジョンに焦点を当てて議論が行われた。

このイベントには、世界中から14名の著名な専門家らが参加した。最初のセッションには、米国ジョージ・メイソン大学の世界の宗教・外交・紛争解決センター所長を務めるマーク・ゴピン博士、タフツ大学フレッチャー法律外交大学院エドワード・R・マロー客員教授のウィリアム・ルー大使、バーレーンのライターで政治情勢を専門とするアブドゥラ・アル・ジュナイド氏、バーレーンジャーナリスト協会取締役会会長アーデヤ・アーメド氏、ジェナ調停研究センター研究員、中東および北アフリカ国際コーディネーターのフィル・イヤド・アル・ダジャニ博士、中東報道研究機関創設者で代表のイーガル・カーモン氏、王立国際問題研究所MENAプログラム上級コンサルティング研究員、リージェンツ大学国際関係学部教授のヨッシ・メケルバーグ氏が参加した。

2番目のセッションには、米国パレスチナ特別専門委員会客員研究員のガイス・アル・オマリ氏、センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト地域安全保障プログラム上級局長のジェフリー・ケンプ博士、テルアビブ大学紛争解決・調停国際プログラムディレクターを務めるコーリー・ギル=シュスター氏、作家で国際情勢アナリストのオマール・アル・ブサイディ氏、パリに拠点を置くフランス国際戦略情勢機関創設者・局長のパスカル・ボニフェイス氏が参加した。

基調講演は、アル・イテハド新聞編集長のハマド・アル・カービ氏、そしてTRENDSリサーチ&アドバイザリー事務局長で、戦略および政治情勢を専門とするUAE出身の研究者、作家のモハメド・アル・アリ博士が行った。

イベントの司会は、ニューヨーク市在住のイスラエル系米国人でテレビ司会者のミカル・ディヴォン氏と、UAE大使のアーメド・アル・ホサニ氏が務めた。

本シンポジウムの最初のセッションでディヴォン氏は、世界共通で9月21日に設定されている国際平和デーと同日にこのイベントが開催されたことの重要性について触れ、「アブラハム合意」と呼ばれるUAEとイスラエルの国交正常化によってもたらされた様々な可能性を強調した。

「真のリーダーシップが見せた勇敢さが、私たちに生涯の贈り物を与えてくれました。あなた方は私たちに平和だけでなく、長きにわたって続いていく真の友情をもたらしたのです」ディヴォン氏はそう述べた。

米国ジョージ・メイソン大学の世界の宗教・外交・紛争解決センター所長を務めるマーク・ゴピン博士は、自身がアブダビを訪れたときのことを振り返り、UAEが寛容のメッセージを国中に発信していることを称賛し、「寛容性にフォーカスし、内外両面での現代化を推し進めようという姿勢に深く感銘を受けましたし、その基盤の上に我々は国際関係を築いていけると思います」と述べた。

さらにゴピン氏は、思いやりの神経学的効果についても語り、思いやりによって人はいかにして隣人同士として安心して暮らせるのかといったことや、それによってお互いの違いや共通の課題を合理的に解決することができるようになることなどについて語った。

「戦争は、すべての人々の繁栄に繋がる実用的な解決策を思いつくための思いやりや合理性といった能力を損なってしまいます」ゴピン氏はそう語った。

TRENDSリサーチ&アドバイザリーの研究員で、ワシントンを拠点とする地政学リスクコンサルタント企業であるガルフ・ステート・アナリティクスのアドバイザーを務めるクリスティアン・アレグザンダー博士は、平和という概念付けの違いについて概要を説明し、アブラハム合意はイスラエルとの外交的繋がりの構築としてだけでなく、中東の「新たな変化の言説」を示す、より広範で包括的な戦略的合意として見るべきだと述べた。

「知的理解と持続可能な対話を通じてお互いに対する誤解を避けることが、平和と繁栄への鍵です」アレグザンダー氏はそう述べた。

タフツ大学フレッチャー法律外交大学院エドワード・R・マロー客員教授のウィリアム・ルー大使は、今回の合意の影響についてさらに言及し、「UAEとイスラエルの合意により、イスラエルによるヨルダン川西岸地区の併合の脅威は一時的に止まったことになります。この併合はパレスチナにとって非常にまずい事態であるため、今回は良い方向に事態が進展しました」

ジェナ調停研究センター研究員、中東および北アフリカ国際コーディネーターのフィル・イヤド・アル・ダジャニ博士は教育的なプレゼンテーションを展開した。彼は和解という言葉の意味について、「戦争という暴力の後で、個人、集団、国家同士が関係性を回復すること」だと明確な説明を行った。また、和解という言葉にも複数の意味があること、紛争が起きている場合に和解を実現するための戦略やその役割についても語った。




「和解は正義と共存を生み出します。そのことが紛争を調停へと導きます。そうすることで、子どもたちにとってのより良い未来を作るための新たな現実が生まれるのです」アル・ダジャニ氏はそう語った。

「和解は正義と共存を生み出します。そのことが紛争を調停へと導きます。そうすることで、子どもたちにとってのより良い未来を作るための新たな現実が生まれるのです」

バーレーンのライターであるアブドゥラ・アル・ジュナイド氏は、湾岸諸国においてUAEがイスラエルとこのような合意に至った最初の国になったことを称賛し、「今回の和平合意によってUAEが実現させたブレークスルーは、すべての人々に対して歴史と折り合いをつけるための機運を高めるものになると思います」

「UAEは安定性があり、成長していて、経済に多様性があり、世界的な存在感もあるという点で、伝統的なアラブ諸国とは異なる独自性を体現しています」アル・ジュナイド氏はそう付け加えた。

中東報道研究機関創設者で代表のイーガル・カーモン氏は、今回の合意を「歴史的」かつ平和へのブレークスルーだとし、「ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏が実現させた平和条約は、1979年にエジプトのアンワル・サダト大統領が実現させたそれよりも重要性が高いものです」と述べた。

「この平和のビジョンを実現するためのムハンマド・ビン・ザーイド皇太子の精力的で感動的な働きは国際的に認知されるべきであり、ノーベル平和賞の有力候補にふさわしいものです。残念ながら、彼の働きにはそこまでの注目が集まっておらず、また評価もされていません」カーモン氏はそう付け加えた。


王立国際問題研究所MENAプログラム上級コンサルティング研究員、リージェンツ大学国際関係学部教授のヨッシ・メケルバーグ氏も今回の合意を平和に向けた「歴史的」なブレークスルーだと述べ、UAE、バーレーン、イスラエルの合意がいかにして新たな幅広い関係性を構築し、中東政治の序列の再形成につながる可能性があるかということを強調した。

「今回のUAEとバーレーン、そしてイスラエルの合意は、次に何が起きるかにもよりますが、平和と協調の新時代を拓く可能性を持つという意味で、記念碑的かつ歴史的な出来事です」メケルバーグ氏はそう述べた。


パレスチナ問題に新たな解決の可能性が生まれたことについて、米国パレスチナ特別専門委員会客員研究員のガイス・アル・オマリ氏は、アラブ諸国とイスラエルの国交正常化を活かしてパレスチナとイスラエルの紛争を解決へと導くための方法について語った。「イスラエルとパレスチナの紛争を注視する我々は、今回の事態の進展をいかに活用していくかを考えていかなければなりません」

アル・オマリ氏はそのアイディアをパレスチナ外交の現状という文脈に落とし込み、パレスチナの戦略と外交が「行き詰まって」いると考えている理由を語った。そしてパレスチナのリーダー層は「孤立している」とし、それゆえにパレスチナとイスラエルの紛争の効果的な解決が実現できないのだと述べた。

「アラブ諸国やパレスチナの国交正常化に対するこれまでのアプローチは0か100かというものでした。つまり、イスラエルがアラブ諸国の占領を完全に止めれば、国交正常化の恩恵を受けられる、というわけです」

「アラブ平和構想から20年が経ちましたが、この絶対主義的なアプローチは明らかにうまくいっていません。UAEは0か100かではなく、より段階的なアプローチを採ったのです」アル・オマリ氏はそう付け加えた。

そして今後、今回の進展を紛争解決にどう活かしていくかについて述べた。

アル・オマリ氏は、パレスチナとイスラエルの2国家共存に向けた確固たる行動と一致する形での国交正常化に向けた動きにより、いかにして今回のような事態の進展を紛争解決に活かしていくかについて語った。

「アラブ諸国とイスラエルの間では2種類の国交正常化が起きると見ています。今回のUAEやバーレーンのような『大きな国交正常化』は、平和条約の締結や、最終的な外交関係の構築につながるためのステップで、『小さな国交正常化』はより小規模な外交的な動きにつながるものです」アル・オマリ氏はそう述べた。

たとえば大きな国交正常化の場合、植民地問題や2国家解決に向けた取り組みの再確認などに関する、イスラエル側からの大きな外交的動きが期待できるという。

「アラブ諸国とイスラエルの大きな国交正常化と引き換えに、あるいは並行して取り組むべき様々な外交的問題があり、我々はこれらの国交正常化を、パレスチナとイスラエルの2国家共存に向けた確固たる行動と結びつけて見るようにしていくべきです。また、パレスチナとイスラエルの紛争を2国家解決という形で決着させるという最終目標は維持しつつ、そのためのステップを踏むための制度化された枠組みづくりが行えるようにアラブ平和構想を修正していくような方法が見つかると良いでしょう」アル・オマリ氏はそう付け加えた。


イスラエルのイェディオト・アハロノト新聞で編集長を務めるネタ・リヴネ氏は、平和的文化の構築におけるメディアの役割、そしてUAEとイスラエルの和平合意実現に向けてメディアが担った中心的役割について語った。

「2国を繋いだのはジャーナリズムであり、イスラエルの新聞の編集長である私がUAEの国民に直接訴えかける記事を書けたのもジャーナリズムのおかげです」リヴネ氏はそう述べた。

そしてリヴネ氏は、駐米UAE大使のユセフ・アル・オタイバ氏がイェディオト・アハロノト紙に寄稿した記事がイスラエルに大きな影響を与え、ヨルダン川西岸地区の併合計画を押し止めると共に国交正常化への動きを加速化させ、それが2カ月後の合意につながったことについて語った。

「今回の和平合意は、私たちに前向きで勇気が出るようなニュースを報じる機会を与えてくれました。近い将来、皆さんがイスラエルの聖なる街やテルアビブ、死海など、イスラエルの様々な名所を訪れる機会がやって来ることを願っていますし、私もUAEを訪れるのを楽しみにしています」リヴネ氏はそう述べた。

UAEの作家で国際情勢アナリストのオマール・アル・ブサイディ氏は、UAEとイスラエルの和平合意、そしてイスラエルがUAEと国交正常化したことはアラブ諸国への成功のモデルケースとなることなどを語り、議論を展開させた。

「新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックで人々が恐怖と不安に陥っているなか、UAEの国民および住民たちの反応が前向きだったことは、火を見るより明らかです。現在のUAEは従来の進歩や繁栄という尺度だけでなく、国際コミュニティにおけるソフトパワーの成長という点でも評価できます」アル・ブサイディ氏はそう述べた。

「UAEではオープンな寛容さと共存を推し進めています。今回2国は寛容さを示しました。そして宗教的、社会的な面で、UAEは強大なソフトパワーによってすべての国々に善をなすことができるという立場にあります。UAEはアラブ諸国で唯一、世界150カ国からやってきた人々が暮らしている国であり、成功を収めたひとつのアラブ諸国のモデルとなっています。このことは特に、マスメディアが戦争の文化ではなく平和の文化を推進し始めるにあたっては重要です。私たちには新たな物語が必要です。この地域はかつて『中近東』と呼ばれていましたが、今や『新東』と呼ぶのが相応しいのではないかと私は思います。この明るい見通し、新たなアプローチ、大胆な決断、強力なリーダーシップにより、人々の願いである国際平和が実現できるという希望を持っています」アル・ブサイディ氏はそう付け加えた。

 

イベントの締めくくりに、センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト地域安全保障プログラム上級局長のジェフリー・ケンプ博士は、現在の中東という概念を支持することの適切さを強調し、現在の同地域および世界が直面し、今後も向かい合っていくべき課題のことを鑑みれば、緊密に協力しあっていくことが皆の利益につながり、それこそが繁栄への新たな道を拓くと指摘した。

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