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トルコの国会議員、「アルメニア人はトルコで不安を感じている」

ガロ・ペイラン
ガロ・ペイラン
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02 Oct 2020 03:10:54 GMT9
02 Oct 2020 03:10:54 GMT9

アラブニュース

  • ガロ・ペイラン氏は、トルコ政府はカラバフ解決プロセスで中立性を失っているとアラブニュースに語った。

アンカラ:山間部のナゴルノ・カラバフ地域でのアゼルバイジャンとアルメニアの最近の衝突は、地域のすべての関係国が参加する紛争へと発展しているように見える。特にトルコとロシアは、情報統制の試み、無人機の使用、外国人傭兵の使用などのいずれにおいてもこの問題に関与してきている。

トルコ議会の数少ないアルメニア系議員の1人で、野党の国民民主主義党(HDP)のメンバーであるガロ・ペイラン氏は、トルコの最近のナゴルノ・カラバフ問題に関する政策を率直に批判してきた。

「トルコは現在、カラバフ紛争の解決に向けた交渉を行うOSCEミンスク・グループのメンバーですが、戦争を支持している唯一の国です」とペイラン氏はアラブニュースに語った。ペイラン氏は続けて「しかし、トルコ政府はこのプロセスにおいて、すべての中立性を失っています」と述べた。

アゼルバイジャンとアルメニアは、それぞれトルコとロシアとの合同軍事演習をしばらく前から行っており、これは困難な地形と間もなく訪れる厳しい冬の条件の中で軍事能力を向上させることになったと見られる。アゼルバイジャン軍はトルコ製の無人機を使用している。

ペイラン氏によると、カラバフ紛争の継続を許せば、アルメニア、アゼルバイジャン、トルコはすべて敗者となり、ロシアが唯一の勝者となる。同氏は、ロシア政府がトルコを利用して、このエネルギー資源が豊富な地域で、アゼルバイジャンとアルメニアのロシアに対する依存度を大幅に高めようとしていると考えている。

トルコのアゼルバイジャンとのエネルギー協力はより緊密になっており、かつての主要な供給源であったロシアとイランからの輸入が減少しているのとは対照的だ。トルコはアゼルバイジャンに恒久的な軍事基地を置くことを計画していると報じられている。

しかし、トルコがどこまでロシアとの関係を悪化させるリスクを冒すつもりなのか、それともトルコ政府がこの危機を利用してロシア政府に対する影響力を得ようとするのかは、リビアとシリアの紛争では両国が対立する側を支持する中、依然不明となっている。

 一方で、現在の地域的緊張の高まりは、トルコに住むアルメニア系の市民に直接的な影響を与えている。

イスタンブールでは、アゼルバイジャンの国旗を掲げ、クラクションを鳴らす車列が定期的にデモに参加しており、特に大半の住民がアルメニア人の地域においてデモが行われている。街頭デモは、アルメニア総主教の本部がある地区で月曜日に始まった。

ペイラン氏は、アルメニア人に対するヘイトスピーチ事件がソーシャルメディアとマスコミの両方において驚くべき割合で増加していることに警戒するよう当局に繰り返し呼びかけている。また、アゼルバイジャンに対する政府の好戦的な支援が引き起こすヘイトクライムの可能性に警告を発している。トルコの政府寄り大手新聞社のイブラヒム・カラグル編集長は最近、トルコに対し、アルメニアの首都エレバンに「偶然」爆弾を落とすよう訴えた。

第一次世界大戦前、トルコには推定240万人のアルメニア人が住んでいた。現在は約6万人で、そのほとんどがイスタンブールに住んでいる。

与党公正発展党のオメル・チェリク報道官は、政府はデモ隊がアルメニア市民を脅かすことを許すことはないと述べたが、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が沈黙を続けたことが批判を呼んでいる。

ペイラン氏によると、カラバフ紛争をきっかけにナショナリズムや人種差別が高まり、今ではトルコに住むアルメニア人は本当の危険にさらされている。

「アルメニア人へのヘイトスピーチは、我々自身の市民を差し迫った標的にしています。政府はこの紛争を国内向けに利用しています。アルメニア出身の市民はスケープゴートにされ、人種差別やヘイトスピーチの対象にされています」とペイラン氏は話した。

トルコ系アルメニア人の著名なジャーナリストであり知識人でもあるフラント・ディンク氏は、2007年にイスタンブールでトルコ人の若い超国家主義者による武器を使った攻撃で殺害され、その裁判は現在も続いている。この事件はトルコに住む少数民族に対するヘイトクライムの象徴となっており、詳細が明らかにされない中、13年たった今も国家の関与疑惑が付きまとっている。

ディンク氏は殺害される前に有名な言葉を残している。「私は鳩になったように感じています。怖がっていて、また同時に自由を感じています。しかし、この国の人々は鳩には絶対に手を出さないであろうと知っています」

ペイラン氏はアルメニア人のコミュニティも現在、同じ気持ちを共有していると考えている。

「現在の雰囲気は、以前の反アルメニアの虐殺を思い起こさせます。私たちは過去4世代に渡って、このような憂慮すべき動きを経験してきました」とペイラン氏は言う。

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