Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • サード・ハリリ前首相、再びレバノン首相に就任する可能性

サード・ハリリ前首相、再びレバノン首相に就任する可能性

サード・ハリリ前首相、後押しを受け再び首相に就任する可能性。(ロイター)
サード・ハリリ前首相、後押しを受け再び首相に就任する可能性。(ロイター)
Short Url:
05 Oct 2020 12:10:46 GMT9
05 Oct 2020 12:10:46 GMT9
  • 国民をないがしろにしていると、聖職者たちが政治エリート層を批判

ナジア・フッサリ

ベイルート:復帰を後押しする声を受け、サード・ハリリ前首相が新首相に就任する可能性が出てきた。ハリリ氏は約1年前に首相を辞任している。当時レバノンの経済・金融が危機的状況となり大規模な抗議活動が起きたからだ。

新首相に指名されたムスタファ・アディブ前駐独大使は1週間前に辞任している。各宗派から独立した、テクノクラート(専門家)からなる新内閣を発足させられなかったからだ。

レバノンは国際社会による救済を切実に必要としている。特にフランスは政治家たちに対し、レバノンが直面する重大な問題を解決するため、緊急性の高い改革を実施するよう強く求めている。

先週、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は政治家たちに対し、テクノクラート新内閣発足の期限を延長した。新内閣発足はレバノン救済構想の一環だ。

しかし、国際社会による支援実施との交換条件を無効にしようと画策している主要宗派もある。特に「ヒズボラ」と「アマル運動」は、経済政策を変更せず新内閣にはシーア派の大臣を入れるよう主張している。

レバノンでは2つの意見が優勢だ。1つは、11月の米国大統領選挙の結果が出るまで新内閣は発足しないというものだ。もう1つは、ミシェル・アウン大統領が間もなく議会協議の日程を設定し、前向きな兆候が見られる、ハリリ前首相の復帰を提案するという可能性だ。

ハリリ氏率いる「未来運動」の有力者ムスタファ・アロウシュ氏によると、ハリリ前首相はフランスが主導する国際社会の支援構想を強く支持しており、その気持ちは変わっていないという。「政界の動きとハリリ前首相復帰を後押しする声は、現在のところ結果を出していません」とアロウシュ氏はアラブニュースに語った。「ハリリ前首相が復帰するには、各宗派から独立した政府が必要です」

アロウシュ氏によるとアウン大統領が議会協議の場を設定するには、大統領官邸の関係者の間で新型コロナ感染が発生していることを考慮すると、14日間の隔離期間を経る必要があるという。さらにそのころには米国大統領選挙の結果もある程度見通しがついているからという。

ハリリ前首相率いるテクノクラートと政治家による実務内閣を発足させるというナジブ・ミカティ前首相の構想について、アロウシュ氏は「そういった議論はありますが、ハリリ氏本人の気持ちはフランス政府主導の構想実施を固く支持するというものです」と述べた。

ミカティ前首相が党首を務める政党に所属するニコラス・ナハス議員は「レバノンは絶好のチャンスを逃しました。様々な危機が起き国民が苦しんでいるにも関わらず、不合理にフランス政府の構想を葬り去ったからです」と述べた。

加えて、レバノンは国家崩壊の危機に瀕しており、政治家とテクノクラートが協力する内閣をできるだけ速やかに発足させることが必要だと述べた。「ミカティ前首相による提案は組閣を阻む問題の解決を目的としていました。政治と経済の分離が困難なことが明らかとなり、新首相に指名されたムスタファ・アディブ前駐独大使が辞任したのを受けたものです」

事態が進展しないため、聖職者たちは再び政治家を非難するに至った。

10月4日、キリスト教マロン派のビシャーラ・アルラヒ総主教はこう述べた。「深刻な状況が続き今後の行く末が不透明なため、新内閣の発足を急ぐ必要があります。新政権は国民の切なる願いを実現し、憲法や国家憲章を機能させなければなりません。憲法の機能停止状態・暫定政権の存在・コロナ大流行・さらなる深刻な事態を利用して既成事実を作るのを、いかなる人物にも許していけません」

アルラヒ総主教は頭脳流出が進む可能性について警告し、レバノンの若者たちが「仕事・安全・まともな生活」を求めて国外に脱出する傾向があると述べた。

首都ベイルートと周辺の教区を管轄するギリシャ正教会のエリアス・オデ大主教は4日(日曜日)の礼拝を利用し、国民の声に耳を貸さず惨状を見て見ぬふりをしているレバノンの政治家たちには「慈悲の心が欠けている」として非難した。

こう述べた「自国民が苦しんでいる場合、正直な権力者なら眠れなくなります。国が死にかけ、経済が崩壊し、レバノン・ポンドが暴落し、国外脱出が増え、困窮が広まるこの時期、正直な権力者なら眠れるわけがありません」

大主教は次のように警告した「私たちが現在レバノンで経験していることなど、まだ序の口にすぎません」

特に人気
オススメ

return to top