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トルコ、シリア北部から一部の監視拠点を撤収

2018年3月7日、トルコ国境に近いアフリン地方にあるJandairisの町の郊外で、トルコが率いる部隊とクルド人戦闘員との戦闘中に撮影されたトルコの戦車。(AFP通信)
2018年3月7日、トルコ国境に近いアフリン地方にあるJandairisの町の郊外で、トルコが率いる部隊とクルド人戦闘員との戦闘中に撮影されたトルコの戦車。(AFP通信)
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20 Oct 2020 05:10:27 GMT9
20 Oct 2020 05:10:27 GMT9
  • トルコ軍はモレクから隣接するイドリブ県のジャバル・アルザウィヤ地域に移送されたとされている

Menekse Tokyay

アンカラ:シリアのモレクの町にあるトルコ軍の基地は、日曜日の夜までに完全に撤去された。トルコの情報筋によると、他の監視拠点や軍事施設も撤去される予定だという。

基地内の管制塔や兵站設備は撤去され、壁も取り除かれている。基地を四方から包囲していたシリア・アラブ軍は、軍事攻撃に対するトルコの最大の弱点となったこの地帯の完全な支配権を握ることになると見られている。

シリア北西部におけるトルコの駐留軍は9月中旬以降、トルコの赤新月社の職員1人が殺害され、他に2人が負傷するなど、高まる圧力にさらされている。アフリン解放軍も9月中旬、アレッポ北西部のアフリンのアル・ガザウィヤ地区にあるトルコの監視拠点を標的にした。

ロシア兵が負傷したM4高速道路のロシア・トルコ共同警備に対する攻撃も懸念材料となっている。

トルコ軍はモレクから隣接するイドリブ県のジャバル・アルザウィヤ地域に移送されたとされている。

トルコ政府はまだ撤退を正式に認めていない。しかし、ロシア国営通信社スプートニクは、トルコが同地域からの撤退決定をロシアに通知したと報じた。

トルコ軍は、2018年のソチ合意に基づき、イドリブの北部と東部に12の監視拠点を開くことしか認められていなかったにもかかわらず、シリア北部全域に50以上の監視拠点を依然として保有しており、シリア政府との間に深刻な緊張を生む要因になっている。

これらの監視拠点のうち8か所と要塞化した軍事拠点の5か所が現在、シリア軍に包囲されている。

イスタンブールのオムラン戦略研究センターの軍事アナリスト、ナヴァール・サバン(Navvar Saban)氏は、トルコは軍事作戦が行われた場合、いかなるリスクを取ることも望んでいなかったと述べた。

「トルコのいくつかの監視拠点が現在包囲されているので、トルコは交渉条件に影響を与える可能性のある不利な立場にあります。ロシアはこれらの包囲された地点の命運を握っているので、有利な立場となるでしょう」と同氏はアラブニュースに語った。

サバン氏は、トルコはこれらすべての拠点から撤退し、M4の南側の地帯に軍を移動することを計画していると述べた。

ロシア政府はトルコ政府に対し、イドリブでの軍事的プレゼンスを減らし、同地域の監視拠点の一部を撤去するよう説得しようとしてきた。

しかし、トルコ政府当局者は、シリア政府やロシア政府との交渉では、地域的なプレゼンスが交渉の切り札になるため、撤退は問題外だと指摘している。一方で、トルコにとって、難民が国境に向かって押し寄せることを防ぐためには、イドリブを制御下に置いておくことが重要となっている。

同地域での軍事展開に対する安全保障上の脅威の高まりに対して、トルコがどのように対処していくのかは大きな問題だ。最近のトルコによるイドリブの南部へ軍事増強を考慮すると、イドリブでの戦争が差し迫っている可能性がある。

トルコとロシアの関係の専門家、アイドゥン・セゼル氏によると、トルコ軍はこの地域での軍事衝突に備えて準備をしているという。

「トルコ・ロシア間の緊張は、特にアルメニアとアゼルバイジャンの紛争に両国が関与し、最近激化しています。ロシア政府はナゴルノ・カラバフ紛争への軍事的解決を推進するトルコ政府を批判しました」と同氏はアラブニュースに語った。

トルコとロシアの3月の合意によると、トルコはイドリブ内やその周辺のテロ地域を半年間で一掃することを約束した。

「この撤退は、トルコの国内動向を考慮して、トルコに対するロシアの圧力によって引き起こされた可能性があります。ロシアの憲兵は、直接的な衝突を防ぐために、すでにアサド(バッシャール・アサド大統領)氏の軍に包囲されていた監視拠点の一部を守ろうとしていました。南コーカサスでの最近の意見の相違は、ロシアがイドリブ問題を最重要課題に掲げるきっかけになりました」とセゼル氏は付け加えた。

しかし同氏は、トルコはM4の南で長期的なプレゼンスを維持できないと考えていた。というのも、ロシアは高速道路での道路交通を開始するために、道路周辺の完全な安全を期待している一方、トルコのプレゼンスはアサド軍との緊張を生むためだ。

イスタンブールのマルマラ大学でトルコ・ロシア関係を専門とするエムレ・エルセン(Emre Ersen)博士は、イドリブの危機に関するトルコとロシアによる3月の合意は、トルコ軍とアサド政権による軍事衝突の可能性を防ぐための一時的な解決策であったと話した。

「しかし、同時期に緊急の問題となったCOVID-19の発生で、両政府は国内の問題に集中することを余儀なくされました。現在ロシアは外交政策において、徐々にパンデミック前の政策に戻りつつあると見られ、これがおそらくイドリブの軍事監視拠点の一部から撤退するようトルコ政府に圧力をかけてきた理由でしょう」と同氏はアラブニュースに語った。

しかし、エルセン氏は、特にナゴルノ・カラバフやリビアなどの他の紛争についてトルコ政府とロシア政府の間の溝が深まっていることを考慮すると、ロシアが圧力をかけたタイミングは興味深いと付け加えた。

「この意味で、ロシア政府はおそらく、コーカサスや中東における他の紛争の解決も含めたトルコ政府とのより大きな交渉の一部として、イドリブ問題を利用しようとするでしょう」

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