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リビアの人々、停戦合意に希望と疑念の声

トリポリに拠点を置く政府に忠実な戦闘員が、首都から南東に約65キロ離れたタルフナの町で戦車の上に立っている。(AFP通信)
トリポリに拠点を置く政府に忠実な戦闘員が、首都から南東に約65キロ離れたタルフナの町で戦車の上に立っている。(AFP通信)
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25 Oct 2020 08:10:55 GMT9
25 Oct 2020 08:10:55 GMT9
  • リビアの複雑な戦争における両陣営は、外国勢力からの広範囲に及ぶ支援を受けている

トリポリ:深刻な紛争の政治的解決に向けた道を開くことを目的とした全土での停戦合意が署名され、リビアの人々は希望と懐疑的な見方が入り混じった反応を示している。

国連の支援を受けたこの合意を歓迎する声はあるが、現地での恒久的な平和につなげることの難しさについて幻想を抱いている者はほとんどいない。

東部ベンガジ市に住む40歳の中等学校教師、ハッサン・マフムード・アル・オベイディ氏は、「過去に多くの合意を見てきた」と語った。
「重要なのはその実現だ」

金曜日の合意は、北アフリカにあるリビアの2つの主要な紛争当事者の軍の代表者により、ジュネーブで署名された。リビアは、2011年にNATOに支援された反乱により元軍人の指導者、カダフィ氏の政権が崩壊し、内戦状態に陥った。

トリポリを拠点とする統一政府と、東部のハリファ・ハフタル司令官が率いる対立勢力は、前線から撤退し、武装グループを解隊して国への統合を開始することで合意した。

重要なのは、この合意はまた、3か月以内にリビア国内からのすべての外国勢力の退去を要求していることだ。

「双方が妥協する準備をしてきたことは良いことだが、肝心なのは細部だ」とピーター・ミレット元駐リビア英国大使は語った。

「多くの疑問がある。重要な疑問の1つは、リビアの軍事組織を支援してきた国々は、この妥協案を支持するだろうかということだ」
リビアの複雑な戦争における両陣営は、外国勢力からの広範囲に及ぶ支援を受けている。

金曜日の合意は、ハフタル氏の軍が首都トリポリを掌握するために続けた1年間の試みをあきらめてから4か月後に行われた。この戦闘では数百人が亡くなり、数万人が住む場所を追われた。

6月には、国民合意政府(GNA)を支持する勢力の猛烈な反撃に直面し、ハフタル氏はリビア西部から撤退した。GNAはトルコが支援している。

この戦いは、リビアの一般市民だけでなく、敵対する政治陣営とその軍事的協力者の間の苦い不信をさらに深めた。

オベイディ氏は「戦争はひどい社会的分裂を引き起こした。立ち直り、リビア社会の深い傷を癒すために、今すぐ成果が必要だ」と話す。

西へ1,000km車で走った所にある首都トリポリで、親GNA戦闘員のサリム・アトウチ氏は停戦が続くかどうかを疑問視している。

「我々には前回の合意の経験がある。合意が成立して5日後にはハフタル氏がトリポリを攻撃した。この攻撃で首都のインフラが破壊され、多くの人が犠牲になった」とアトウチ氏は語った。

「前回の合意のように、再び戦争に戻ることにならないことを願う。我々は合意を遵守するが、合意が破られた場合にはいつでも対応する準備が出来ている」

ジュネーブでの会談は、国連のリビアミッションUNSMILが主導するプロセスのうち、軍事的な部分について行われた。
月曜から始まる個別の政治協議は、新しい統治機構の創設と選挙の準備を目的としている。

地政学的リスクのコンサルタント会社、リビア・デスクの共同創設者兼コンサルティングディレクターのモハメド・ドルダ氏は、停戦は「政治的協議のための基礎を作る」肯定的な一歩だと述べた。

しかし、同氏は「リビアは政府を設立するための安全保障上の取り決めを必要としている。安全保障上の危機に対処しなければ、数年後には同じ状況に陥るだろう」と警告した。

それは、敵対する民兵組織だけでなく、外国の傭兵や反政府組織からなる寄せ集めの餌食になっている国では手間のかかる課題だ。
観測筋は、ジュネーブで交渉している人間が必ずしも現地の軍事的協力者をコントロールしているとは限らないと警告している。

また、リビアにいる外国勢力は、苦労して勝ち取った影響力を簡単に手放すことはないだろう。

シンクタンク大西洋評議会の上級研究員、エマデディン・バディ氏は、ロシアとトルコは軍事介入による経済的な利益配分を望んでいるだろうと警告した。

「ロシアとトルコは単純に退去するほど甘くはない」と同氏は言う。「最良のシナリオは、ロシアとトルコが経済的な利益を得て現地でのプレゼンスを制限することだ。最悪のシナリオは戦闘が再開されることだ」

しかし、すべての障害にもかかわらず、ここ数日で形のある進展が見られるようになった。

今週、両陣営は、国内の交通網を開き、戦闘と封鎖によって打撃を受けたリビアの極めて重要な石油生産を増加させることで合意した。主要な石油設備は、数か月間の操業停止を経てすでに生産を再開している。
ベンガジで食料品店を経営するマサウド・アル・フォトマニ氏(57)は、停戦が続くことを願っていると語った。

「戦争は深刻な不況を引き起こした。道路が閉鎖されたことで東西の商業関係が断たれ、多くのお金を失った」と同氏は話した。
トリポリの私立学校で働く英語教師のメイスン・ハリファさんは、恒久的な平和を求めたアル・フォトマニ氏に同調した。

「多くの人が希望を持っているが、楽観的ではない。この合意が続くことを心から願っている。リビアはもっと良い国になる権利がある」と彼女は話した。

AFP通信

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