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世論調査:イランに関してはトランプ氏を支持、大使館のエルサレム移転に関しては不支持

今回の調査で、イランのガセム・ソレイマニ司令官殺害の地域的影響に関して、アラブ世界全体で意見が割れていることが分かった。AFPワシントンDC - 9月29日:対戦相手のジョー・バイデン氏との最初のテレビ討論のためにクリーブランドに向かう途中、9月29日、ワシントンDCのホワイトハウスを出発する際、記者たちに身振りをするトランプ大統領。(撮影:Bill O’Leary/Washington Post。Getty Imagesを経由)
今回の調査で、イランのガセム・ソレイマニ司令官殺害の地域的影響に関して、アラブ世界全体で意見が割れていることが分かった。AFPワシントンDC - 9月29日:対戦相手のジョー・バイデン氏との最初のテレビ討論のためにクリーブランドに向かう途中、9月29日、ワシントンDCのホワイトハウスを出発する際、記者たちに身振りをするトランプ大統領。(撮影:Bill O’Leary/Washington Post。Getty Imagesを経由)
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26 Oct 2020 09:10:23 GMT9
26 Oct 2020 09:10:23 GMT9
  • アラブニュース/YouGovの汎アラブ調査で、トランプ氏はアラブ地域でライバルのバイデン氏よりもはるかによく知られていることが分かった
  • トランプ氏がイランに対して強い姿勢を示したことへの称賛は、大使館のエルサレム移転に対する反発で消し去られた、とアナリストらは指摘

レベッカ・アン・プロクター

ベイルート:11月3日の大統領選挙の結果に関係なく、トランプ米大統領が心配する必要のないことが一つある。それは、中東の状況を引き継がずに悪化させたと非難されることだ。アラブニュース/YouGovの汎アラブ調査の結果から判断すると、不名誉だとされるのは、トランプ氏の前任者であるバラク・オバマ氏だ。オバマ氏の副大統領だったジョー・バイデン氏は現在、トランプ氏の主要な挑戦者だ。

要するに、この調査で分かったのは、アラブ人は、トランプ氏のイランに対する厳しいアプローチを広く支持しているが、同氏が2018年にテルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転すると決定したことには反対しているということだ。そして、アラブ地域にとっては、トランプ氏は民主党のバイデン氏と比べて良くないと見られているが、バイデン氏よりもトランプ氏を知っている回答者のほうがはるかに多かった。トランプ氏の政策のいくつかは、アラブ世界の特定の地域でも好意的に見られていた。

ホワイトハウスの居住者である大統領が外交政策の成果を挙げて2期目に立候補できる時代は過ぎ去ったが、米国が依然として世界の大国であり、その決断が中米から中東までの人々の生活に影響を与えることは否定できない。このように、アラブ世界が米国の将来の政権に期待していることを理解することの重要性は、どれだけ誇張してもし過ぎることはない。

アラブのニュースメディアによって大きく報道された2020年最初のビッグニュースは、イスラム革命防衛隊(IRGC)の国外での作戦を担当するコッズ部隊の隊長である、イランのガセム・ソレイマニ少将の殺害だった。ソレイマニ氏は、イラクの首相に会いに行く途中、1月3日にバグダッド空港の近くで米国の無人機による攻撃によって殺害された。

今回の調査によると、この殺害の地域的影響に関して、アラブ世界全体で意見が割れている。

イエメンの回答者はこの行動を非常に支持しており、71%が良い動きとしてそれを認め、サウジアラビア(68%)やイラク(57%)の多くの住民も同様だった。一方、レバノンの回答者の約59%、カタールでは62%が、この地域にとって良くない動きだったと答えた。

「この世論調査は、アラブ諸国の利益を正確に評価しています」と、著名な、国際的な政治的リスクに関するコンサルタント業務を行うジョン・C・フルスマン・エンタープライゼズの社長兼業務執行社員であるジョン・フルスマン博士は述べた。

「イラクでソレイマニ氏を知っていた人々にとっては、同氏は問題の一部でした……イランの総督として。彼らは、イランと米国によって漠然と容認されている、漠然と改革主義の首相が現在イラクにいることを喜んでいます。それは、ソレイマニ氏がそこにいれば起こり得なかったでしょう」

一方、フルスマン氏は次のように述べた。「あなたがこの地域の、米国の基地がある場所(カタールなど)に住んでいるなら、ソレイマニ氏の殺害は、次はあなたの番だということを意味するかもしれない。なぜなら、ソレイマニ氏が死んだことをイラン人が忘れるとは誰も思っていないからです」

このような状況の中、アラブニュース/YouGovの調査の回答者のうち、中東にとってより良いだろうと思うのはバイデン氏だと答えたのは40%で、トランプ氏だと答えたのは12%だったのはなぜだろうか。

一つには、アナリストらが指摘しているように、さらに多い49%が、どちらの候補もこの地域にとっては良くないだろうと思っている。

もう一つには、回答者の半数強(53%)がバイデン氏を知っていると答えたのに対し、トランプ氏を知っていると答えた回答者は90%と、非常に多かったことをアナリストらは指摘している。さらに、イラン問題において強硬な姿勢を見せたことでトランプ氏が稼いだ得点は、回答者の89%が反対した、大使館をエルサレムに移転することを決めたことの影響を上回っているという。

ミズーリ州立大学の、トマス G. ストロング賞を受賞した教授で、中東政治が専門のデービッド・ロマーノ氏によると、オバマ政権がアラブ世界に残したしこりを理解する上で、イランは引き続き重要な問題である。同氏はアラブニュースに対し、「アラブ諸国に関して言えば、バイデン氏はオバマ氏によく似ています」と述べた。「ホスニ・ムバラク(元エジプト大統領)を犠牲にした、と多くの人が思っているオバマ氏のように、バイデン氏は自分たちを犠牲にするような大統領なのかどうか、彼らは確信が持てないのです」

トランプ氏は、比較すると、中東の安定を体現するかもしれない。「トランプ氏は約束を果たしました。サウジアラビアにより多くの軍隊を送り込み、イランに対してより強硬な姿勢を取っています」とロマーノ氏は述べた。

おそらく、同様に、トランプ氏が、イランの核合意としてよりよく知られている、オバマ時代の包括的共同行動計画(JCPOA)から離脱したことによって、この地域の安全性が高まった、とGCCの住民の約5分の1は考えている(特に多いのはサウジ国民で26%)。

さらに、選択の余地がなく、イランと密接に関係している国の住民は、次期米大統領に制裁の強化や戦争を辞さない態度など、好戦的な姿勢を取ってほしいと言っている。 これに含まれるのはイラク(53%)、イエメン(54%)、サウジアラビア(49%)だ。

「トランプ・チームが来て、オバマ氏の取り組み、特にJCPOAは大失敗だったと判断しました。JCPOAは、米国にこの地域から出て行ってほしい、地域の安定を望まない、リスト上の人々全員に資金を提供したからです。彼らはこの地域を支配したいのです」とフルスマン氏は言う。

多くの人々が懸念しているのは、イランに対するトランプ氏の「最大圧力」キャンペーンをバイデン氏がやめるかもしれないことだ。

「中東の観点から見れば、これは急ブレーキでむち打ちになってしまうようなものです。あなたがその地域に住んでいるなら、これはジグザグ外交です」とフルスマン氏は言う。

オバマ氏の弱腰で優柔不断と見なされるアプローチに戻ることを恐れ、イランに対するバイデン氏の姿勢に非常に懐疑的なのはアナリストだけではない。

レバノン・アルメニア系米国人の弁護士で、ベイルートに住み、米国で開業しているAgop K氏は、「私たちには、ここ中東では厳しさが必要です。残念ですが。そしてそれを体現するのはトランプ氏です」と話した。

同氏はアラブニュースに対し、次のように話した。「イランに圧力が掛かっていて、イランが制裁を受けていて、融資が断たれてている限り、厳しさが将来レバノンで私たちを助けるかもしれません。私がトランプ氏に投票したいとすれば、私がそうする最大の理由の一つはこれです」

Twitter: @rebeccaaproctor

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